金融庁は10月3日、第6回目となる「仮想通貨交換業等に関する研究会」を開催した。会合では、仮想通貨に係る各種行為と金融規制のあり方、交換業に係る規制のあり方について議論が進められた。
「仮想通貨交換業等に関する研究会」は、金融庁と金融庁認可の仮想通貨登録所16社で構成される日本暗号資産取引業協会(以下、JVCEA)をはじめとする専門家を中心に、今後の仮想通貨市場の健全な発展に向けて議論を行う会合だ。会合は、2018年1月に発生した仮想通貨取引所コインチェックの約580億円の仮想通貨NEM(XEM)の流出事件を受けて始まったものだ。今回の会合は、規制の枠組みを作る最中で起きた仮想通貨取引所Zaifによる仮想通貨流出事件後、初となる会合だ。
会合では、支払・決済手段にとどまらず投資・資金調達手段など、さまざまな側面をもつ仮想通貨を取り扱うにあたり、金融規制の必要性や導入のあり方が具体的に議論された。具体的には、匿名通貨をはじめとする問題がある仮想通貨の取り扱い、仮想通貨流出リスクや交換業者倒産リスクに対する顧客財産の管理・保全の強化、投機的取引に伴うリスクの抑制、取引透明性確保・利益相反の防止といった項目で議論が行われた。
Cointelegraphの報道によると、JVCEA会長でマネーパートナーズCEOを務める奥山泰全氏はZaifの仮想通貨流出事件を受け、3つの自主規制を検討していることを明らかにしている。
ブラウザやメールなどの社内利用についての制限や社内の仮想通貨を管理するネットワークを分離することを自主規制として設ける。2)またホットウォレット、コールドウォレットの定義を協会として行い、その上でホットウォレットに必要以上に仮想通貨を保持しないようにする。3)外部の有識者を招いたセキュリティ面の技術委員会を早急に立ち上げ、業者側の知見を補う形にする。
引用:Cointelegraph 仮想通貨交換業協会「社内のネットワーク制限も検討」 ザイフ不正アクセス受け=金融庁研究会
ブラウザやメールなどの社内利用を制限し、仮想通貨の管理ネットワークを分離する案は、メールのマルウェアに感染しNEM大量流出を起こすこととなったコインチェック社を意識してのものだろう。ホットウォレットとコールドウォレットでの資産保有比率を調整するなど、Zaifの事件も考慮されている。インターネットに接続するホットウォレットの仕組み上、サイバー攻撃やハッキング被害にさらされてしまうことは仕方ないという意見もある一方、現在の仮想通貨取引所のセキュリティ対策や内部管理態勢のずさんさは仮想通貨への投資意欲を削ぐものとなってしまっている。今後、枠組みづくりが進む中で、投資家保護はもちろん、仮想通貨取引所も金融サービスを提供する意識を高めていくことが望まれる。
【参照記事】仮想通貨交換業協会「社内のネットワーク制限も検討」 ザイフ不正アクセス受け=金融庁研究会
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