ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の人気の高まりによって、脱炭素(カーボンニュートラル)に関する銘柄にも視線が集まっています。この記事では、脱炭素関連の銘柄や投資信託について解説します。時流に沿った投資を検討したい方などご参考ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年2月22日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
- 脱炭素とは
- 脱炭素関連のテーマ
2-1.洋上風力発電関連銘柄
2-2.EV関連銘柄
2-3.水素エネルギー関連銘柄 - 脱炭素関連ファンド
3-1.イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド
3-2.脱炭素関連 世界株式戦略ファンド(資産成長型)
3-3.脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO) - まとめ
1.脱炭素とは
脱炭素(カーボンニュートラル)とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの吸収量と排出量の差をゼロにする取り組みです。2015年のパリ協定で脱炭素化が掲げられ、新しいプロジェクトを始めるエネルギー関連企業や業績を拡大する国際企業が増え、関連銘柄に視線が集まっています。
日本政府も2020年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと宣言しました。
矢野経済研究所の調査によると、2021年度における脱炭素社会を実現するための国内エネルギー設備・システム市場は7,250億円の見込みですが、2050年度には3兆9,850億円になると予測しています(参照:JAcom「2050年度の国内エネルギー設備・システム市場規模 3兆9850億円に成長予測 矢野経済研究所」)。
2.脱炭素関連のテーマ
脱炭層関連の銘柄には様々な産業がありますが、とくに注目度が高いテーマは、以下の3つです。
- 洋上風力発電
- EV(電気自動車)
- 水素エネルギー
それぞれの注目銘柄を紹介します(株価は2022年2月22日時点)。
2-1.洋上風力発電関連銘柄
- レノバ(9519)株価:1,339円
レノバは再生可能エネルギーの新規開発や運営管理を行う企業で、2000年に設立されました。同社は太陽光をはじめ、バイオマスや風力などの再生可能エネルギー開発を手がけています。
脱炭素関連銘柄の中核的企業として注目され、株価は2020年末から2021年にかけて大きく上昇。2021年9月17日には6,390円の上場来高値をつけています。
ただ、2022年度の営業増益予想を47億円の黒字から5億円の赤字に引き下げたことから株価は下落。2022年2月に1,000円台前半まで株価が下落しました。しかし、足元での成長期待はなくなっているものの、再生可能エネルギーの成長ポテンシャル自体は大きく、プロジェクトを積み上げることができれば、再び成長期待が高まる可能性はあると見られています。
2-2.EV関連銘柄
- トヨタ(7203)株価:2,123.5円
EV(電気自動車)は二酸化炭素を走行中に排出しないので、脱酸素化に大きな影響を与えます。世界でのEV保有台数は2020年に1,000万台を突破し、過去3年間で約2倍に拡大しました(参照:IEA “Global EV Outlook 2021“)。
トヨタはEVの次世代基幹技術として注目される全固体電池の搭載車を販売する方針で、脱炭素関連銘柄として注目されています。
株価は2022年1月21日に2,475円をつけ、昨年来高値を更新しました。ボストンコンサルティンググループでは、世界の新車販売に占めるEVの割合は、2030年にガソリン車を上回り、51%まで伸びると予想しています(参照:BCG「世界の電動車(xEV)シェアは2030年に51%へ。日本では2030年に55%、ハイブリッド車が引き続きシェアを維持~BCG調査」。
ESG投資への関心の高まりとともに、トヨタ自動車の株価上昇にも期待が持てます。
2-3.水素エネルギー関連銘柄
- 岩谷産業(8088)株価:5,350円
日本政府が掲げているのは、エネルギー革命を軸とした温室効果ガス排出量の削減です。そして、燃料電池に使われる水素エネルギーを活用した「水素社会の実現」に関心が集まっています。水素エネルギーを活用することで、二酸化炭素を排出しないで発電ができるようになるので、脱炭素の中でも重要度の高いテーマになります。
水素エネルギー関連銘柄で注目は岩谷産業(8088)です。岩谷産業は国内の水素市場で約70%のシェアを握っています。2021年12月にグリーンボンドを総額100億円発行し、調達資金を水素ステーション建設費用に充てるとしています。
脱炭素関連銘柄の中核として、2021年1月に7,470円の上場来高値をつけました。その後は6,000~7,000円のもみあいが続き、2022年になって5,000円台まで下落していますが、再び脱炭素関連銘柄の注目度が上がれば、上昇が期待できる銘柄です。
3.脱炭素関連ファンド
2021年は世界的に環境問題への関心が高まり、脱炭素関連ファンドの設定も増えました。2021年末時点における純資産残高が多いファンドを紹介します(数値は2022年1月末時点)。
3-1.イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド
- 基準価額:10,165円
- 純資産残高:1,951.54億円
脱炭素関連ファンドで、執筆時点でもっとも純資産残高が多いのが「イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド」です。同ファンドは2021年3月30日に新規設定され、世界の上場株式の中から、脱炭素化社会の実現に向けた取り組みやイノベーションに貢献する企業に投資するアクティブファンドです。
組入国では米国が77.5%と、8割近くを占めています。2022年1月末時点における設定来リターンは1.7%です。
3-2.脱炭素関連 世界株式戦略ファンド(資産成長型)
- 基準価額:10,100円
- 純資産残高:1,129.43億円
2021年5月21日に新規設定されたアクティブファンドで、世界の脱炭素関連企業の株式に投資します。産業分野別組入状況は、以下の通りです。
- 脱炭素エネルギー関連 17.95%:クリーンエネルギーを供給する技術を持っている企業に投資します。
- 脱炭素ユーザー関連 40.55%:動力源の電気や、代替素材の利用に必要な技術を開発している企業に投資します。
- 脱炭素マネジメント関連 36.86%:CO2の吸収除去やエネルギーの効率化に必要な技術を開発している企業に投資します。
組入上位国は米国(35.27%)、アイルランド(11.51%)、フランス(8.93%)となっています。
3-3.脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)
- 基準価額:11,223円
- 純資産残高:807億円
(2021年12月末時点)
2021年4月に新規設定されたファンドで、「カーボンZERO」という愛称で親しまれています。同ファンドは、エネルギーの効率的利用、エネルギーの転換、エネルギーの貯蔵に着目し、脱炭素社会の実現に向けたソリューションを提供する企業に投資します。
また、ITソリューションによって脱酸素化をサポートする企業が組み入れられており、IT企業の成長との相乗効果が期待できるのが特徴です。12月末時点における組み入れ銘柄トップはマイクロソフトの5.4%です。
まとめ
「脱炭素」は長期的なテーマなので、一時的に関連株の株価が下がっても慌てないことが大切です。ただ、リスク管理のために1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散投資するようにしてください。また、脱炭素関連ファンドに積立投資する方法も良いでしょう。
山下耕太郎
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