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※本レポート中に記載された見解は、執筆時点での妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
※本レポートは情報提供を目的としており、有価証券の売買の申し込みやその他勧誘を目的とするものではありません。投資の決定に関しては、ご自身でもよくお調べの上、ご判断いただきますようお願いいたします。
債券市場の動向・振り返り
米国債
米国債市場は米消費者物価指数を受けて、金利は大幅上昇する動きとなりました。
10年金利は1.44%付近から1.58%付近まで上昇しており、短いゾーンから全体的に金利上昇が進行しました。また、20年金利が30年金利を逆転しており、足元はインフレ懸念からの早期利上げ観測は高まっているものの、長期的な経済成長は期待されていないような動きが継続しています。
足元原油価格の上昇が続いていますが、上昇がある程度止まり落ち着きを見せる過程では物価上昇分名目経済成長率が高くなっていると考えられるため、長期金利の上昇が進行しない地合いは株価等下支え要因になると見られます。
米国債金利は長期ゾーンの金利が上昇しにくいものの、インフレ懸念から低下もしにくいため、低下したタイミングではショートで淡々とエントリーする方法がトレードしやすいと考えます。
日本国債
日本国債は米国の金利上昇や週後半の株高を受けて売られる展開となりました。引き続き、10月後半からの日本国債10年の金利低下から戻りも弱い印象で、株高を背景にどこまで戻るかが注目ポイントです。
ターゲットは0.10%付近ですが、ショートしやすいのは日本国債5年の金利の方がトレードしやすい印象でした。
株式市場の動向・振り返り
11月8日~12日の株式市場はユーロ圏の株式市場が底堅い地合いの中、米国市場は調整安の展開となりました。
米国株
11月10日に注目されていた経済指標である米国消費者物価指数が前年比+6.2%と31年振りの上昇幅を見せたことで株式市場が反応し、それまで連騰していた米国株が反落するきっかけとなりました。
【参照記事】ジェトロ「10月の米消費者物価、前年同月比6.2%上昇、6%台は31年ぶり」
米国株は早期利上げ期待が再燃したことで週なかばでは調整安となりましたが、週末は若干反発する動きとなりました。
足元米国株をチェックする上で覚えておくべきことは「悪い金利上昇」が起きるのかどうかという点であり、悪い金利上昇となった場合は株式市場はある程度の調整が必要になると考えられます。
特に、ハイテク関連銘柄は金利に敏感なところもあることから注意しておきたいセクターでしょう。
その他の国
また、ブラジル市場でもインフレ懸念から利上げを進めていることもあり、上値が重く推移していました。中国市場は、中国恒大のデフォルトがなんとか留まっていることもあり、利払いがされているとの報道から下落する動きが止まりつつあります。
中国では不動産セクターへの規制を緩和する可能性が指摘されており、緩和方向に舵を切った場合はある程度中国市場は底堅い動きになる可能性があります。
日本株
日本株は、米国株につられて10日あたりまでは反落し日経平均株価は一時29,000円付近まで下落するも、岸田内閣が発足し反発する地合いとなる中29,600円台で引けました。
日経平均株価は来週30,000円を目指す展開を予想しており強気の地合いが続きそうな印象です。
為替市場の動向・振り返り
米ドル
11月8日~12日の為替市場は、米国消費者物価指数の受けて金利が上昇する中、ドルインデックスは上昇し対主要通貨に対して強含む展開となりました。
ドル円は今週113円台半ばでスタートするも一時112.73付近まで下落しました。
インフラ法案可決や堅調な労働市場の回復が確認されたことで、金利低下からドルの上値を重くしていましたが、CPI公表後のドル高の流れから一気に上昇し114円台を回復しました。
しかし先物市場では、日本円のショートポジションが大幅に積み上がっており、また先週の日本円は米ドルの次に主要通貨の中では強い通貨だったこともあり、ここから更なる円安が進むとは思いにくい状況となっています。
円
現在、円の名目実効相場も10月を底に上昇基調に入りつつあり、日本の経済対策もちょっとした国民所得からの押し上げ効果は見込みにくいため、ドル円は114円台後半の高値を抜けてくるということは難しいと想定しています。
短期的には再度高値を目指すような動きにある可能性はありますが、大幅な円安は期待せずトレーディングタッチで細かく利益を積み上げることが望ましいでしょう。
ユーロ
ユーロに目新しい要素はなく、マーケットはECBの2022年12月に20bpの利上げを織り込んだ格好となっていますが、緩和姿勢が強いECBとも捉えられているためユーロの上値は重い状況です。
【参照記事】ブルームバーグ「ECBは22年12月に20bp利上げか-短期金融市場が織り込む」
ユーロドルも下落傾向が続いており、短期的なユーロのショートカバーから上昇する可能性がありますが、まだチャートを見ても下落方向が続きそうな印象です。
欧州ではコロナ感染者が拡大してきており、コロナ感染者が落ち着くまではECBがタカ派に転じることはないと考え、11月15日の週のユーロはショート選好で検討したいところです。
ブラジルレアル
新興国通貨市場はブラジルレアルが強含む展開の中、トルコリラの弱い地合いが継続しています。
ブラジルレアルは、中国恒大がデフォルトを回避したことによってコモディティ関連の価格が上昇、鉄鉱石や銅価格の上昇がブラジルレアルの支援材料となりました。
トルコリラは最安値の更新が止まらず今月、来月ともに利下げを行うとの見通しから弱い地合いが継続しています。
中島 翔
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