リップル社は国際的なブロックチェーン市場において優位な地位を維持し続けている。同社の企業向けネットワークRippleNetは拡大を続けており、今では世界中の100を超える金融機関がメンバーに加わっている。
同社はアジアのような新興市場への勢力拡大にも意欲的で、インドや日本といった市場を重視している。これらの国々が国際送金市場に占める存在感の大きさを考えれば、注目するのは当然の成り行きだろう。最近はブラジル、インドの銀行、シンガポール、ブラジル、カナダの資金移動業者が新たにRippleNetに加わったと発表された。
パートナーを組むだけでなく、同社自身も世界各国に新オフィスを開設している。本社のあるサンフランシスコに加え、ニューヨーク、ロンドン、シドニー、インド、シンガポール、ルクセンブルクにオフィスを展開中だ。日本でも2016年の始め頃に、SBIホールディングスとのジョイントベンチャーとしてSBI Ripple Asiaが設立された。
同社とパートナーを組む金融機関のほとんどは未だシステム導入の試験段階にあるが、今年の始め頃から少しずつ実践段階に入る企業も出始めている。その多くはxCurrentを導入しており、xViaを活用するケースも見られる。xRapidおよびXRPについては導入を躊躇する企業が多いが、これはXRPを含む仮想通貨の価格変動が大きいことが理由だろう。
xCurrentを取り入れた企業の例としては、中国の決済サービス会社LianLian、インドの銀行Axis Bank、アラブ首長国連邦の銀行RAKBANKなどがある。LianLianとのパートナーシップはRippleNetがアジアなどの新興市場に広がる大きな足掛かりとなり、Axis BankとRAKBANKの参加はアラブから母国に送金する多くのインド人労働者にとって朗報だ。
SBIホールディングス及びSBI Ripple Asia が主導し、61の邦銀が加盟する内外為替一元化コンソーシアムの参加も、xCurrentを利用した国際送金システムに重要な進展をもたらした。今年の始め頃には共通ゲートウェイをリリースし、金融機関がより簡単にxCurrentに接続できるようになった。また韓国の大手銀行であるウリィ銀行、新韓銀行と共同で送金実験を行うことも発表している。
xRapidを取り入れた企業の例としては、メキシコの金融機関Cuallixやアメリカの大手送金会社マネーグラムなどがある。CuallixはすでにXRPを使った国際取引を何度か行っており、マネーグラムもXRPを使った送金実験を行う予定だ。xViaを取り入れた企業の例としてはブラジルのBeetechやカナダのZip Remitなどがある。
今後同社のネットワークが一層拡大し、Internet of Value(IoV)のビジョンが実現するためには、仮想通貨XRPが多くの金融機関に受け入れられるか否かが重要なポイントになると言われている。法を整備し仮想通貨市場がより安定すれば、XRPを遠ざけがちな銀行に再考を促すきっかけになるかもしれない。
【参照サイト】Ripple is making blockchain waves
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木村つぐみ
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