4月24日、世界中で2億人が利用する決済サービスであるペイパルの元CEOビル・ハリス氏が「ビットコインは史上最大の詐欺」と題した記事をシリコンバレーのビジネスに特化したニュースサイトrecodeで公開した。同氏は、ビットコインにおいて価格を吊り上げて投機熱を高めた後に高値で売り抜き利益を得るパンプ・アンド・ダンプが行われているとし、米国証券取引委員会(SEC)などの規制当局はこういった不正なスキームから一般投資家を守るべきだとの見方を示した。
同氏が仮想通貨に批判的な姿勢を示すのは、支払手段・価値の保存手段としても機能しておらず、ビットコイン自体に本質的価値もないためだとしている。日々価格が10%以上も変動する支払手段として使い勝手の悪さや、価値を保存するよりもむしろボラティリティの存在が望まれていること、ビットコインの価値上昇は自分がビットコインを購入した価格よりも他の人々が高値で購入することを前提としていることが、同氏がビットコインを認めない理由だ。
同氏はビットコインのヘビーユーザーの多くが犯罪者だとし、その例としてかつて存在した米国の違法薬物などの販売サイトであるシルクロード、PCの不正プログラムであるランサムウェアのワナクライにおいてビットコインが利用されていたことを挙げている。
また、スロベニアの仮想通貨マイニングサイトNiceHashや国内大手仮想通貨取引所のコインチェックではハッキング被害が起き、かつて最大のビットコイン取引所であったMt.Goxや米国の仮想通貨取引所Bitfunderにおいても明らかな詐欺が行われたりすると指摘している。数多くのICO(イニシャル・コイン・オファリング)においても詐欺が行われていると述べており、その根拠として2017年に行われた902のICOのうち418がすでに失敗したことを挙げている。
さらには一般の人たちですら、しばしば法を無視していると言う。他の資産と同じく仮想通貨は課税対象とされているが、多くの人は取引の記録をきっちりつけないため、結果的に法を無視していることになる。
また、同氏はビットコインの取引が即座にほぼ無料で行うことができると謳われているのに対して、実際には1秒間に5回のトランザクション処理が限界で取引完了までにおよそ1時間を要し、100米ドルの送金の手数料には仮想通貨取引所を経由して6米ドルがかかると批判している。マスターカードでは1秒間38,000回のトランザクション処理が可能で、電子小切手では100米ドルの送金に対して1ドル以下の手数料で済むとし、ビットコインが現存するサービスと比較しても遥かに劣っていることを指摘した。
同氏は、被害に遭う人がいなければビットコインのこうした詐欺的な側面もコミカルな一風景として片づけられるが、実際は一般の人が蓄えを仮想通貨につぎ込むといった事態が起こっており看過できることではないと述べた。同氏はビットコインのことを「投機的だ」「ギャンブルだ」「バブルだ」と言い続けるのにも疲れ、とうとう「ビットコインは詐欺」と言うことにしたそうだ。
【参照記事】Bitcoin is the greatest scam in history
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木村つぐみ
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