米金融規制当局のワーキンググループが、ステーブルコインに関する規制レポートを公開した。SECやCFTC、FDICなどが作成に関与しているという。
バイデン大統領直属の金融ワーキンググループ(PWG)の名前で公開されたレポートでは、ステーブルコインはデジタル資産の取引を促進したり支払い手段として定着しつつあると評価。一方で、不安定な運用実態、決済システムの混乱、経済力の集権化といった様々な課題が指摘された。
PWGは、ステーブルコインが決済手段として拡大する可能性を秘めていることから、適切な規制を整備することで、より安全に利用されるだろうと言及している。
今回のレポートには、PWGを中心に財務省、通貨監督庁(OCC)、証券取引委員会(SEC、商品先物取引委員会(CFTC)、連邦預金保険公社(FDIC)が関与しているという。ステーブルコインに関しては、SEC委員長のゲンスラー氏が度々規制の必要性を唱えている。
10月にはCFTCがUSDTを運営するテザー社に対して4,100万ドルの和解金を請求しており、また、同月にFDICからステーブルコインを含む暗号資産に銀行規制と同等水準の規制を整備する意向を表明していた。これらの主要当局が協力し、今回のレポート作成に至ったようだ。
なお、レポートの作成には民間企業からも計18社が参加したことが報告されている。具体的には、USDC運営のCircleとCoinbase、テザー、BlockFi、マスターカード、Visa、Square、Diem Associationなどだ。
レポートでは、投資家保護や金融市場の安定性、AML/CFTなどの不正防止などについて枠組みを規定。ステーブルコインの発行体に対して銀行と同等水準の規制を設けるよう提言されている。
また、顧客の秘密鍵を預かる形でサービスを提供するカストディ事業者を規制監督下に置き、取引データの制限を検討するなどについても触れられた。特に、ステーブルコイン発行体の銀行規制の適用に関しては、市場の拡大速度を考慮すると早急な対応が必要だとの見解を伺わせた。
今回はレポートの公開であり、明確な規制が定められたわけではないものの、今後の議論については概ねレポートに記載の内容に沿って進められていくことになるだろう。
【参照記事】President’s Working Group on Financial Markets Releases Report and Recommendations on Stablecoins
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