大手会計事務所PwCが、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について、各国の開発状況をまとめたレポートを公開した。リテール型とホールセール型それぞれでランキングなどを作成している。
リテール型のCBDCにおいては、バハマが1位、次いでカンボジア、中国となっいる。バハマでは、2020年10月時点で既にデジタルサンドドルが発行されており、世界で初めて実用化されたCBDCとなっていた。
2021年2月には、クレジットカード決済大手のマスターカードが、バハマのデジタルサンドドルに対応したプリペイドカードを提供することを発表している。
CBDCの開発で世界をリードしている中国だが、実態としてはバハマとカンボジアに次ぐ結果となった。既に実用化が進められているものの、上位2国と比べると普及具合で劣るという。
中国のCBDCについては、日本銀行決済機構局長を務める神山一成氏がBloombergのインタビューに答える形で、「中国のデジタル人民元(DC/EP)が世界を席巻することはない」との見解を示していた。
第2位のカンボジアでも、2020年10月にデジタル通貨バコンを実用化している。開発を担ったのは日本企業ソラミツだ。
一方のホールセール型CBDCでは、タイと香港が同率1位、次いでシンガポールとなっている。こちらのランキングには、第10位に日本が入った。
タイと香港は、2019年よりCBDCを使ったクロスボーダー取引のための共同研究を行なっている。シンガポールは、2020年7月にブロックチェーンを使った決済ネットワークの構築を行う実証実験を完了していた。中国とも連携する意向を示しており、アジアを中心に引き続きホールセール型のCBDCが普及する気配が伺える。
日本の評価ポイントとしては、2016年より参加している欧州中央銀行(ECB)との共同プロジェクト「Project Stella」があげられている。4月からは概念実証の第一段階がスタートしており、約1年かけて要件やシステム設計などを詰めていく予定だ。
【参照URL】19/04/21 PwC CBDC global index April 2021 1st edition
株式会社techtec リサーチチーム
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