大手会計事務所KPMGが、フィンテック市場の動向を示すレポートを8月付で公開した。2021年上半期の暗号資産・ブロックチェーン領域への投資額は、すでに過去の3年分それぞれの通年額を上回っているという。
「Pulse of Fintech H1’21」と題されたレポートによると、暗号資産・ブロックチェーン領域への投資額は、今年上半期だけで87億ドル(約9,600億円)を突破した。過去3年分の通年投資額は、2018年が72億ドル、2019年が50億ドル、2020年が43億ドルとなっており、上半期だけで各年の通年分を上回っていることがわかる。
レポートで算出された投資額には、個人投資家によるビットコインやイーサリアムなどの暗号資産への投資以外に、機関投資家による投資やベンチャーキャピタルによる企業への投資も含まれている。2021年の投資を牽引したのは主に企業投資となっており、次のような例をあげた。
- BlockFi:3億5,000万ドル
- Paxos:3億ドル
- Blockchain.com:3億ドル
- Bitso:2億5,000万ドル
ベンチャーキャピタルや企業による投資件数も増加傾向にあるようだ。2018年は887件、2019年は639件、2020年は580件となっている一方で、2021年は上半期だけで548件が完了しているという。
引用元:Pulse of Fintech H1’21 – P.24より
レポート内ではCBDCやNFT、規制当局からの関心の高まりについても言及された。CBDC市場をリードするのは引き続き中国であるとし、2021年上半期時点ですでに一部地域での商用化が開始されている点を高く評価している。
NFTについては、ゲームやコレクション以外に不動産などの新たな領域での活用が検討されているという。規制当局からの関心では、世界で初めてビットコインを法定通貨として認めたエルサルバドルの取り組みを紹介した。
なお、フィンテック市場における暗号資産・ブロックチェーン以外の領域としては、Payments(決済)、Insurtech(保険×テクノロジー)、Regtech(規制×テクノロジー)、Wealthtech(資産運用)、Cybersecurity(サイバーセキュリティ)がセグメントごとに分けられている。
【参照記事】Pulse of Fintech H1’21
株式会社techtec リサーチチーム
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