NEC(日本電気)は日本を代表する電子機器メーカーの1つです。社会的なシステム基盤、ITソリューション、ソフトウェア、ネットワークなどの事業を手掛けています。
またNECはESGを重視している企業でもありますが、どのような取り組みを行っているのでしょうか。この記事ではNECの事業概要や業績、ESGの取り組みなどを紹介します。NECについて知りたい方、将来性を判断したい方は参考としてください。
※2022年11月14日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- NECの概要
- NECのESGに関する取り組み
2-1.ICTソリューションで環境課題の解決を目指す
2-2.Smart Work 2.0 - NECの10年間の株価推移と業績
3-1.業績トレンド
3-2.直近の業績 - NECの将来性
- NECの配当・優待情報
- まとめ
1.NECの概要
銘柄 | NEC |
証券コード | 6701 |
株価 | 4,855円 |
PER | 11.3倍 |
PBR | 0.83倍 |
配当利回り(会社予想) | 2.27% |
※2022年11月11日時点のデータ
NECは1899年創立、120年以上の歴史のある大企業で、商号は「日本電気株式会社」です。2021年の売上収益は約3兆円、従業員数は単独で約21,000名、連結で約11万7,000人、連結子会社は289社に及ぶ規模となっています。
主要な事業をいくつか紹介すると、まず「社会公共事業」はITシステムやネットワークシステムを提供し、各地域に密着した事業を展開しています。主な顧客は電力会社、医療機関などです。
「エンタープライズ事業」は製造業、流通・サービス業、金融業などを顧客としてITソリューションを提供。デジタル技術によって人・モノ・プロセスをつなぎ、バリューチェーンで新たな価値を生み出すことを目指しています。
「ネットワークサービス事業」では、ネットワーク構築に必要な機器や運用管理の基盤システムなどを、通信事業者向けに提供しています。過去の事業運営で培ったネットワークの強みがあり、サービスプロバイダなどの市場に展開しています。
2.NECのESGに関する取り組み
NECは外部機関からもESGの取り組みが評価されており、Dow Jones Sustainability Indices (DJSI)において、NECは2020年から2年連続で、DJSI World Index および DJSI Asia Pacific Indexの構成銘柄に選定されました。これは米国S&P Dow Jones Indices社のサステナビリティに関する評価指標であり、ガバナンス/経済・環境・社会の3つの要素から各国の大手企業を評価するものです。
ここではNECのESGやサステナビリティに関する具体的な取り組みをいくつか紹介します。
2-1.ICTソリューションで環境課題の解決を目指す
NECではESGにおける最重要課題の1つとして気候変動(脱炭素)を指定。2050年までのカーボンニュートラル達成のため、顧客がICTを活用した脱炭素への移行をサポートしています。
NECのICTソリューションは、人やモノの移動、ペーパーレス化などの実現により、トータルでのCO2削減につながるとしています。
たとえば企業などが保有する発電設備や蓄電池など分散された電源について、新たなエネルギーマネジメント技術により統合・遠隔制御を行っています。全体で1つの発電所のように機能させる「バーチャルパワープラント(VPP)」を実現することで、電力系統の安定化と再エネ主力電源化を行っています。
また「RAクラウド」は複数のエネルギー設備や蓄電池などの装置を、需要予測も含めたICTによって最適化するサービスです。需給バランスの状況に応じて蓄電池などを遠隔で制御し、電力系統の安定化、太陽光発電のムラや無駄の解消につながります。
2-2.Smart Work 2.0
Smart Work 2.0とはNECが推進する働き方改革で、コロナ禍においても内容を深化させてきました。DXを推進し、社員が自律的に働くことによるハイブリッドワークを定着させ、「働きやすさ」だけでなく「働きがい」も向上させることを目的とする取り組みです。
Smart Work 2.0では、ロケーションフリーが原則であり、働く場所や時間などを社員が自律的に選択する仕組みです。完全フリーアドレスで、オフィスも再定義し、サイズを最適化するとしています。
たとえばある営業職の社員は週に1~2回、社外のサテライトオフィスを利用しています。顧客訪問の合間のスキマ時間を活用し、会社に戻らなくても事務作業やWeb会議ができるため、時間を有効活用できているとのことです。
3.NECの10年間の株価推移と業績
10年前の株価は1,200円~1,300円でした。まず2012年から2016年にかけて4,000円の手前まで上昇し、2016年にいったん2,500円程度まで下落しました。その後は伸び悩みの時期が続きますが、2020年には4,500円程度まで伸びました。
新型コロナショックで短期では大きく下げましたが、そこからの回復も早く、2021年12月には6,500円程度に上昇しました。2022年に入ってからは下落が続いています。
3-1.業績トレンド
NECの2015年度からの業績トレンドは下記のとおりです。
年度 | 売上 | 営業利益 |
---|---|---|
2015年度 | 2,824,833 | 91,418 |
2016年度 | 2,665,035 | 41,838 |
2017年度 | 2,844,447 | 63,850 |
2018年度 | 2,913,446 | 57,780 |
2019年度 | 3,095,234 | 127,609 |
2020年度 | 2,994023 | 153,759 |
2021年度 | 3,014,095 | 132,525 |
2022年度(予想) | 3,130,000 | - |
※単位:百万円
業績に関して、2021年度は、売上は対前年で0.7%増、営業利益は13.8%減、当期利益は3.2%減となりました。売上は毎年およそ3兆円前後で推移し、営業利益は2019年度から1,000億円を超えています。
大幅な売上の減少や赤字などの状況にはなっていませんが、逆に言うとこの数年の業績は大きく伸びていないとも言えます。
3-2.直近の業績
2022年第1四半期の業績を見ると売上収益は6,597億円で前年比1.2%増、営業収益は153億円の赤字となりました。事業セグメント別に見ると、赤字の要因となったのは社会公共事業とネットワークサービスです。
同社はこの結果について、世界的な部材不足と為替の影響など、マクロ環境の変化が主な要因と説明しています。部材不足は継続しており、今後もリスクを想定したうえで対策を実施し、業績への影響を最小化していく計画です。
為替に関しても円安によって部材購入でマイナスの影響を受けています。ただし2022年7月から売価への転嫁を行っているため、今後の業績への影響は小さくなっていくとのことです。
4.NECの将来性
NECの将来性について、業績とESGの両面から見ると、まず業績に関してはここ数年は安定している状況です。コロナによる悪影響も、他業界に比べれば比較的軽く済んだようです。
現在はDXビジネスに注力しており、日本政府や経済産業省もDX化を非常に重視していることから、今後も安定して需要は見込めるのではないでしょうか。
ESGに関しては、NECのテクノロジーが貢献できる分野も多く、今後も期待が持てそうです。ICTソリューションやSmart Work 2.0など他社のESGに資する取り組みを拡大できれば、売上を伸ばせる可能性もあります。
ただし海外勢もこの分野を重視しているため、今後競争は激化すると思われます。NECならではの強みや付加価値をどうつけるか、マーケットのニーズにどう対応するかが重要です。
5.NECの配当・優待情報
1株あたり年間配当(2023年予定) | 100円 |
主な株主優待 | なし |
1株あたりの年間配当は100円が予定されています。第2四半期に50円、期末に50円で、昨年と同額です。
6.まとめ
NECの業績や将来性、ESGの取り組みなどについて解説してきました。パソコンのイメージが強い方もいると思いますが、近年はITソリューションやDXに注力しています。
直近の業績は安定しており、ESGに関してはNECの技術で貢献できる分野も数多くあります。今後、売上をどう拡大していけるかが鍵となるでしょう。
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