KDDIのESG・サステナビリティの取組実績と今後の方針は?株主優待や配当推移も

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KDDI株式会社(9433)は、auブランドで知られる携帯電話事業やケーブルテレビ・インターネットサービスなどを手掛ける大手通信会社で、安全で強靭な通信環境の提供により、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献しています。また、国内の通信会社として初めてCO2排出量の総量削減を掲げており、環境に対しても高い意識を持つ企業となっています。

この記事では、KDDIのESG・サステナビリティの取り組みや実績を紹介していきます。株価動向や株主優待、配当情報なども解説しているので、ESG投資に興味がある方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年2月12日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. KDDIの特徴
  2. KDDIのESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.環境への取り組み(E)
    2-2.社会への取り組み(S)
    2-3.コーポレート・ガバナンスへの取り組み(G)
    2-4.KDDIのESG・サステナビリティに関する外部評価
  3. KDDIの業績・株価動向
  4. KDDIの株主優待・配当推移
  5. まとめ

1 KDDIの特徴

KDDIは、携帯電話事業や固定電話事業、インターネットサービス、ケーブルテレビなどの総合通信事業者として、個人・法人向けに幅広くサービスを提供している企業です。

主な事業は、「パーソナルセグメント」「ビジネスセグメント」に分類され、パーソナルセグメントでは、個人向けに「au」ブランドによる携帯電話事業・固定電話事業をはじめ、ブロードバンドサービスやインターネット接続サービス、電気サービス、銀行・証券・保険などの金融サービスなどを提供しています。

ビジネスセグメントでは、法人向けに、au携帯電話とオフィスの内線電話間にて内線通話が可能になるモバイルソリューションや、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービスなど、多様なソリューションを提供しています。

今後は、5Gを中核に据えた事業変革の推進を中期経営戦略に掲げ、DX(デジタルトランスフォーメーション)、金融、エネルギー、LX(ライフトランスフォーメーション)、地域共創の5つの注力領域への設備投資を活発化する予定です。

2 KDDIのESG・サステナビリティの取り組み

KDDIは、地球規模で大きな課題となっている気候変動問題の取り組みや、安全で強靭な通信環境および革新的なソリューションを提供することで、人々の生活や産業に大きく貢献しています。

それでは、KDDIのESG・サステナビリティの取り組みについて詳しく見ていきましょう。

2-1 環境への取り組み(E)

KDDIでは、2030年に向けた環境保全計画「KDDI GREEN PLAN 2030」を策定しており、「気候変動対策」「循環型社会の形成」「生物多様性保全」の3つを重点課題として挙げています。

例えば、「気候変動対策」では、2030年までにCO2排出量実質ゼロの実現を目指しており、消費電力の多いau携帯電話の基地局においては、「トライブリッド基地局」を設置することで、消費電力低減に努めています。トライブリッド基地局とは、通常の商用電力・太陽光パネルによる発電・深夜電力により蓄電池に充電された電力を時間帯や天候に応じて効率よく活用する基地局であり、2022年3月末時点で全国100局設置されています。

また、基地局と同じく消費電力の多いデータセンターでも、高効率の電源設備、省電力の空調設備、LED照明、風力・太陽光を利用した街路灯など、最新の省エネルギー設備を導入し、環境負荷低減に貢献しています。

「循環型社会の形成」では、事業活動に伴い発生する廃棄物を削減することはもとより、資源の有効活用を徹底することで、環境負荷低減に努めています。紙資源に関しては、請求書のWeb化を進めているほか、プラスチックにおいては、auショップなどで使用する手提げ袋を紙製の袋やバイオマス25%配合素材製に変更するなどの取り組みを行っています。

auショップで回収した使用済み携帯電話に関しては、できる限り無駄なく再資源化を行うために、セキュリティの施された室内で全て手作業で分解されます。分解された鉄やプラスチックなどは、KDDI指定のリサイクル工場へ運ばれ、再び製品化されます。その結果、2021年度の廃棄物削減の実績は、1,714tとなっています(2020年度実績は1,073.2t)。

「生物多様性保全」では、生物多様性に配慮したプロジェクトや環境教育を通じて生物多様性保全に取り組んでいます。例えば、国内希少動物に指定されているコウノトリの人工飼育・野生復帰に取り組む兵庫県豊岡市とKDDIは、「豊岡市スマート農業プロジェクト」を協働で推し進めています。

コウノトリは、農薬・化学肥料の使用、水田の乾田化等により、エサとなる生き物の多くが姿を消し、絶滅危惧種となっています。そこでKDDIは、IoTを活用した水田管理省力化により、害虫を食べてくれるカエルやヤゴを増殖させることで、農薬に頼らない農業に取り組んでいます。

また、環境教育に関しては、子供向けに環境保全や生物多様性への理解促進を図る無料出張授業を、これまでに8校約450名の生徒に実施するなどの実績があります。

2-2 社会への取り組み(S)

KDDIは、安全で強靭な通信環境の提供により、情報格差のない社会を目指しているほか、地域経済活性化に向けた地域共創や、多様な人財の育成と働きがいのある労働環境の実現などに取り組んでいます。

「安全で強靭な通信環境の提供」では、情報通信サービスが最も重要なライフラインと認識し、24時間365日、安定した通信環境の提供を使命とした上で、災害に強い通信環境の構築に努めています。

KDDIでは、光ケーブルや基地局において、全国に設置したテクニカルセンターなどの運用部門で保守・管理を行っており、24時間365日体制で集中監視しています。また、4G LTEのエリア拡大に加え、全国の5G通信網の構築に着手することで、低遅延・大容量の通信環境の提供に努めています。

災害対策においては、安定した通信を確保するため、通信線路の多ルート化・経路分散を図ることで災害時の通信サービスを確保しています。万が一、災害が発生した場合、災害状況等の情報を一元管理できる「au災害復旧支援システム」により効率的な復旧対応が可能になります。

KDDIの「地域共創」では、各地域が抱える人口流出や少子高齢化、労働力不足などの課題解決に向けて地域企業やベンチャー企業、教育機関などと協働し、地域社会と地域企業がともに価値創造できる社会の実現に努めています。

地域共創に向けた取り組みでは、地域企業やベンチャー企業などに5G、ICT、IoT等の情報技術を提供することでビジネスの高効率化に貢献しているほか、「地域共創ファンド」を通じた資金提供により、サステナブルなビジネスの構築を支援しています。

また、地域の教育機関と連携して、ICTや最新の経営ノウハウを持った人財育成に取り組むことで、地域経済活性化に貢献しています。「多様な人財の育成と働きがいのある労働環境の実現」では、社員力の向上において、多様な人財の活用を経営戦略の一つとしており、労働生産性の向上を目的に、働き方変革推進を行っています。

このほか、KDDIでは、「KDDI行動指針」においてダイバーシティの推進を掲げており、障がい者のある従業員、女性社員、外国籍社員、エルダー(50歳以上)社員の積極採用を行っています。

人財育成においては、KDDI全社員を対象とする基本・応用スキル研修をはじめ、DX基礎スキル研修、専門領域別の専門スキル研修、グローバルスタンダードを学ぶ海外ビジネス留学など、スキルアップやキャリア形成を支援する様々な制度が用意されています。

また、KDDIには多様な働き方を支える制度も多数あり、例えば、仕事と育児・介護の両立支援制度では、出産、育児、介護などの状況でも仕事と両立できるように、復職後の短時間業務、変形労働時間制業務(所定労働時間を変更できる制度)、在宅勤務など、柔軟な働き方をできる環境が整っています。実際、育児休業を取得した従業員は、2021年度時点で男女ともに100%の復職実績があります。

2-3 コーポレート・ガバナンスへの取り組み(G)

KDDIは、コーポレート・ガバナンスを持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための重要な課題であると認識し、グループ全体のガバナンス強化による強固な経営基盤の確立に取り組んでいます。また、2022年7月2日に発生したau大規模通信障害を重く受け止め、再発防止やサービスの安定運用に努めています。

KDDIのガバナンス体制では、監督機関の役割を「取締役会」が担い、経営計画の審議・決定を「経営会議」と共に行っています。取締役の職務に関しては、「監査役会」が監査を行い、監査の実効性を高めることで、社会的信頼に応えるガバナンス体制構築に努めています。

KDDIのガバナンス強化の取り組みでは、企業倫理や法令遵守について全社員が利用できる相談窓口「企業倫理ヘルプライン」を設置することで、不正・不祥事の早期発見、未然防止に努めているほか、ガバナンスを支える情報セキュリティに関しては、暗号や認証等の技術をはじめとした情報セキュリティ分野全般の研究開発を行い、サイバー攻撃などの脅威から情報資産を守るセキュリティ対策強化に取り組んでいます。

2-4 KDDIのESG・サステナビリティに関する外部評価

KDDIのESG・サステナビリティの取り組みは、外部から高い評価を受けています。KDDIが構成銘柄として選定されているESG指数と受賞実績は以下の通りです。

ESG指数/受賞実績 概要
FTSE4Good Index Series FTSE Russell社が発表するESGを強力に実践する企業を選定するESG指数
MSCI ESG Leaders Indexes MSCI社が発表するESGに優れた企業を選定するESG指数
MSCI 日本株女性活躍指数 MSCI社が発表する性別多様性に優れた企業を選定するESG指数
「DBJ環境格付」において最高ランクを取得 日本政策投資銀行が発表する企業の環境経営度を評点化した環境格付
「DX銘柄」に選定 経済産業省と東京証券取引所が共同で発表する優れたデジタル活用の実績がある企業を選定する制度
「CDP」気候変動調査において最高評価「Aリスト」に認定 国際的な非営利団体CDPが主催する企業の気候変動対応の取り組みを評価する情報公開プログラム
「健康経営優良法人」において「ホワイト500」に認定 経済産業省と日本健康会議が進める優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度

3 KDDIの業績・株価動向

KDDI(9433)は、生活インフラを支える内需中心の通信セクターなので、業績が景気に左右されにくい傾向があり、ディフェンシブ銘柄に該当します。また、最近は、5Gを中核として事業領域拡大を模索しているため、将来成長性も期待されています。

2020年(3月期)は、携帯料金の値下げ規制の影響もあり、端末販売収入が減少したものの、非通信事業であるエネルギー事業、金融事業、ライフデザイン領域の収入増加により、純利益は前期比3.6%増、株価は1年を通じて5.7%の下落となっています。

2021年(3月期)は、2020年に続き携帯料金の値下げ規制が逆風となり、端末販売収入が減少したものの、法人向けソリューションや個人向け金融サービスなどの増収増益により、純利益は前期比1.8%増、株価は1年を通じて9.6%の上昇となっています。

2022年(3月期)は、通信回路を他社に貸して得るローミング収入が増加したほか、法人向け事業や金融事業も好調だったことで、純利益は前期比3.2%増の6,724億円と過去最高となりました。また、自社株買いや増配も発表されたことで、株価は1年を通じて18.4%の大幅上昇となっています。

2023年(3月期)は、引き続き非通信事業であるエネルギー事業や金融事業の収益増加が見込まれていますが、モバイル通信料収入の減少など一部不透明材料も残ります。2023年2月10日時点の株価は、3,973円台で推移しています。

4 KDDIの株主優待・配当推移

KDDIでは、KDDI株式会社の株式を100株以上保有している株主に対して、年1回、株主優待を実施しています。KDDIの株主優待は、「保有株式数」と「保有期間」に応じて、全国のグルメやKDDIグループのサービスクーポンなどから1点選択できる商品カタログギフトが贈呈されます。

項目 5年未満 5年以上
100~999株 3,000円相当 5,000円相当
1000株以上 5,000円相当 10,000円相当

カタログギフト商品の一例としては、「山野井ロースハムとソーセージセット」「デリシャエール氷温熟成牛ボンドグリルステーキ」「山形牛ローストビーフ」などがあります(※今後、仕入れや在庫の状況によって商品が変わる場合もあります)。

また、KDDIの株主になると配当を受けられるメリットもあります。KDDIの配当推移は以下の通りです。2023年3月期は、前期比10円増の135円(配当性向42.9%)を予定しており、実現すれば21期連続増配となります。

項目 1株当たり配当(円)
中間 期末 年間
2019年3月期 50 55 105
2020年3月期 55 60 115
2021年3月期 60 60 120
2022年3月期 60 65 125
2023年3月期(予定) 65 70 135

まとめ

KDDIは、携帯電話やケーブルテレビ、インターネットサービスなどの提供により、人々の生活や日々の経済活動を支えているほか、5GやIoT、ビッグデータなどの先進技術を活用した地域共創を推進することで、経済発展や社会課題解決にも貢献しています。

今後は5Gを中核とした金融、エネルギー、DXなどの領域の事業拡大を図ることで、通信と非通信の両立を目指しています。KDDIは業績を裏付けに増配・高配当銘柄としても位置付けられているので、ESG投資に関心のある方は、ご自身でも調査を進めてみてください。

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