テクニカル指標は100以上存在しており、どのテクニカル指標を組み合わせるのかは投資家次第です。投資初心者の場合は、まずは基礎的なテクニカル指標の利用方法を覚えることが最初の第一歩となります。基本的な使い方を覚えずに応用するのは難しいでしょう。
ここでは様々にあるテクニカル指標の中でもフィボナッチリトレースメントについての基本的な使い方と、注意点について解説します。
※本記事は6月7日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- フィボナッチリトレースメントの概要
1-1.フィボナッチリトレースメントとは
1-2.フィボナッチリトレースメントの水準6つ - フィボナッチリトレースメントの基本的な使い方
- フィボナッチリトレースメントを利用するときの注意点
3-1.フィボナッチリトレースメントの水準は絶対ではない
3-2.短い時間軸で利用しないこと
3-3.トレンドが継続しているか疑いを持ってトレードすること - フィボナッチリトレースメントの活用方法
1.フィボナッチリトレースメントの概要
1-1.フィボナッチリトレースメントとは
フィボナッチリトレースメントとはイタリアの数学者であるレオナルドフィボナッチが発見した数列をトレードに応用するために開発されたものです。
フィボナッチ比率そのものの細かな計算は、ここでは省きます。自然界における黄金比率と呼ばれており、この比率で国旗等も作られていることは聞いたことがある方もいるかもしれません。
フィボナッチリトレースメントは押し目の水準や戻りの水準を予測するために用いられます。
1-2.フィボナッチリトレースメントの水準6つ
フィボナッチリトレースメントで利用する水準は6つの水準を利用することが一般的です。0%、23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、76.4%、100.0%の6つです。この中でも38.2%、50.0%、61.8%の3つは重要な節目として考えることが多くあるため意識しておくといいでしょう。
では実際にどのようにチャートで表記されるのか解説します。
上記はドル円の日足チャートです。
2021年の安値から2021年3月につけた高値を結ぶと、上記のようなフィボナッチリトレースメントのラインが自動的に表示されます。チャート分析を行うときは、自動的にチャートの機能が表示してくれます。表示方法のみ覚えておけばいいでしょう。
次に上記の基本的な使い方について解説します。
2.フィボナッチリトレースメントの基本的な使い方
フィボナッチリトレースメントの基本的な使い方を上記のチャートを再度利用して説明します。
まずフィボナッチリトレースメントの引き方は高値と安値を結ぶのみになります。高値と安値を結ぶことで自動的に上記のように水準が把握できるようになるため、簡単にチェックできます。
チャートをチェックする場合、38.2%戻しの位置と半値戻しの位置、そして61.8%戻しの位置を中心にチェックするようにしましょう。上記であれば1月から4月以降上昇トレンドが継続する中で、まず方向性は上昇トレンドに沿ってトレードを行うという考えられます。
フィボナッチリトレースメントは、トレンドフォローで利用するということが大事です。上記の場合は右肩上がりであるため、ショートポジション(ドル円売り)を作るタイミングを図るために利用するのではなく、どの水準でロングポジション(ドル円買い)を構築するのかという点を考えてみましょう。
チャートではまず23.6%の戻しの位置で一旦反発する可能性を示すようなタイミングがあったものの、あっさり突破し、38.2%戻しの位置まで調整安となっています。このタイミングで下落は止まるのではないかということを意識してロングポジションを作っていくという使い方がフィボナッチリトレースメントの使い方です。この水準を割れて、半値戻しの位置まで下落したらそこで追加でロングポジションを構築するということが教科書的な使い方となります。
フィボナッチリトレースメントは簡単に使いやすいテクニカル指標であるものの、注意点がいくつかあるため次に解説します。
3.フィボナッチリトレースメントを利用するときの注意点
フィボナッチリトレースメントを利用する場合の注意点を3つ解説します。
3-1.フィボナッチリトレースメントの水準は絶対ではない
フィボナッチリトレースメントの水準というのは、単に黄金比率から導き出した水準です。決して絶対的に表示された水準で相場が反転するわけではないということに注意してください。
前項目のチャートでは38.2%戻しが綺麗に機能しているものの、綺麗に機能しない場合もあります。38.2%戻しの位置まで戻ったタイミングで、利用できる資産の全てを投資しないようにしましょう。あくまで補完的なテクニカル指標であり、他のテクニカル指標と併用することが大切です。
3-2.短い時間軸で利用しないこと
先程説明したチャートはドル円の日足チャートを利用しています。しかし、極端に1分足等で利用することは控えたほうがいいでしょう。
テクニカル指標全般の特徴として、短い時間軸で利用した場合は理論通りの動きにならないことが多いのです。投資初心者にはリスクコントロールがとても難しくなります。
日足等中長期的な時間軸で表示させた場合、フィボナッチリトレースメントで示した水準が機能することが多い傾向があります。最初は日足等のチャートで利用するようにしましょう。
3-3.トレンドが継続しているか疑いを持ってトレードすること
フィボナッチリトレースメントは押し目のタイミングを図るためのテクニカル指標として利用するものです。一方で、トレンドが反転したのか調整安で下落しているのかわからないのが相場です。
先程例で用いたドル円のチャートでは、38.2%戻しの位置で綺麗に止まっていました。しかし、もしもこのまま61.8%戻しの位置を突破して下落した場合、押し目ではなく相場が反転したことを勘違いしていたということになります。しかし途中まではわからないものです。
フィボナッチリトレースメントを利用するときにポイントは、トレンドが継続しているかを疑いながら損切りのラインを決めてトレードを行うようにすることです。
確信が外れることが多いため、常に相場には疑いを保ちつつ、リスク管理を徹底するようにしましょう。
4.フィボナッチリトレースメントの活用方法
初心者向けに簡単なフィボナッチリトレースメントの活用方法を解説します。重要な水準は38.2%、50.0%、61.8%と解説しました。この水準を利用する方法です。
資産を4分割して、ポジションを確保します。
- 38.2%で資産の4分の1のポジションを保有
- 半値戻しの位置で資産の4分の2のポジションを追加
- 61.8%戻しの位置で最後の資産4分の1のポジションを追加
- マイナスが膨らむ場合は損切り
資産を4分の1に分けて考えてください。まず、38.2%で資産の4分の1を利用してポジションを保有します。次に、半値戻しの位置で4分の2利用してポジションを追加します。61.8%戻しの位置で最後の4分の1の資産を利用してポジションを追加します。そこから更にマイナスが膨らんでしまう場合はすぐに損切りを行うという方法です。
これは計画的なドルコスト平均法です。損切りラインを明確することで損失を限定しつつ、トレンドに追随する手法です。
注意点
38.2%戻しの位置で、資産の全てを投入してトレードしないようにしましょう。この場合、61.8%戻しまで下落すれば大きな損失を被ってしまいます。
テクニカル指標はリスク管理を徹底しながら利用するものです。必ずテクニカル指標が示すところで止まるという保証はありません。不透明な部分のリスクを管理することが大切なのです。
慣れてくれば、時間軸まで考えてポジションを取るとより損失が少なくなります。価格の水準という縦軸の考え方は知っている人も多いでしょう。一方で、時間軸という横軸のリスク管理というものはあまり考えられていないため、時間軸を意識したリスク管理を深く考えていくと、よりトレード戦略が広がります。
テクニカルを使ったトレードに興味がある方は、この記事を参考にしてみてください。
中島 翔
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