本日は仮想通貨取引所でトレーダーを行い、日本の仮想通貨取引所だけでも様々な通貨を取り扱っていた著者が仮想通貨の特徴や役割についてご紹介します。
相場という中で取引することだけをフォーカスすると、あまり各仮想通貨に大きな変化は見られないのではないかと思います。しかしそれぞれの仮想通貨には特徴があり、用途が全く違っているものばかりです。
目次
- 仮想通貨のタイプとは?
1-1. 決済通貨型
1-2. 匿名型
1-3. アプリケーション型、プラットフォーム型
1-4. ステーブルコイン型
1-5. 企業トークン型 - 投資の前には仮想通貨のホワイトペーパーを読みましょう
仮想通貨のタイプとは?
最初に仮想通貨の種類は何種類存在するかご存知でしょうか?海外取引所や草コインを合わせると数千種類と言われており、現在も日々通貨の種類が増え続けています。
もちろんそれだけあるということは価値のない仮想通貨も多く、詐欺やスキャムとして利用されたりしているのが多いことも事実です。しかし元々仮想通貨が出てきた本質的な理由は人間の痒い所に手が届くような利便性向上を目的としたものや、人との資金のやりとりを自由に素早く行いたいというドラえもんにお願いするような思いから作られたのも事実です。そのため価値があるものや現在でも今後の役割として大きく期待されているものも多く存在します。
ではどのようなタイプが仮想通貨の中で存在するのか確認してみましょう。
大きくこの5つに分類されるでしょう。ではこの1つひとつがどのような役割を担っているのか、機能を持っているのかを解説したいと思います。
決済通貨型
これは物の決済を行うときに利用する仮想通貨で、仮想通貨の最初の通貨であるビットコインはこの代表となっています。
個人間の送金や決済の利便性を中央集権的なシステムで行うのではなく、非中央集権的なシステム構築を行ってより自由に行えるような仕組みを考案したところからスタートしました。生みの親やサトシ・ナカモトという日本人のような名前ですが、実際には日本人かも誰なのかもわかっていません。
決済型は法定通貨である日本円やベイドル、ユーロ、イギリスポンドのような国の通貨の代替として利用するイメージだと理解しやすいでしょう。通貨という名前だけに通貨の機能を一番イメージしやすいのが決済型の仮想通貨です。
決済型の仮想通貨はビットコインキャッシュや、ライトコインもビットコインの浮かび上がった課題に対しての解決策を持ち合わせた通貨として発行され売買されていますが、現在はビットコインの流動性が圧倒的な状況です。
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匿名型
次に匿名型について解説します。この匿名型仮想通貨は個人の情報をオープンソース上で見せたくないということから秘匿性の強い通貨として開発されました。
ブロックチェーンはトランザクションが組み込まれたブロックがチェーン状に連なっており、過去まで取引を遡ることができるというのが特徴です。しかしこの匿名型の仮想通貨は、そのチェーンが過去に遡ってトレースできないようになっており、どこから送金されたのかわからない仕組みとなっています。
こうした特徴から、匿名型の仮想通貨はテロ資金のために利用されたりしていると指摘をされており、日本では匿名性仮想通貨の売買が禁止されています。海外でもこうした動きに追随し、売買を禁止しようとしている地域が増えてきています。
匿名型でも代表的な通貨は「モネロ」と呼ばれているものです。匿名性の高い仮想通貨の種類では一番時価総額が高く、流動性が大きいと言える通貨です。次に流動性が大きいのは「ジーキャッシュ」になります。
ジーキャッシュには「ゼロ知識証明」という考えが組み込まれていることが大きな特徴と鳴っています。このゼロ知識証明とは、詳細を相手側に伝えることなく、情報が正しいことを証明してくれるというものです。とても高い技術で作られた通貨で、米国の最大の銀行とも言われるJPモルガンもこのジーキャッシュの技術を採用すると言われていました。
ゼロ知識証明のメリットは個人情報を出さずに(もしくは一部必要な部分だけ抽出して提出可能)相手をチェックすることができるためプライバシーの保護に繋がる技術です。匿名性の通貨=テロ資金やダークプールのようなイメージがありますが一切そうではありません。使い方次第というのが一番重要なポイントです。
アプリケーション型、プラットフォーム型
このアプリケーション型は通貨というよりはプラットフォームそのものを表しています。通貨という印象とは少し違った印象を受けるかもしれません。
代表的なのはイーサリアムです。イーサリアムはプラットフォームの名前を示しており、そのプラットフォームを動かすために利用されるのがイーサというトークンになります。イーサは通貨というよりはプラットフォームを動かすための燃料とも言われており、この燃料価格を売買しているイメージだと理解しやすいかもしれません。仮想通貨の世界では、このイーサリアムのプラットフォームや技術を利用して新しい通貨が生まれており、現在の仮想通貨ではなくてはならないプラットフォームの1つとも言えるでしょう。
他にこのタイプで代表的なプロジェクトには中国版イーサリアムと言われる「ネオ」という仮想通貨があります。ネオはイーサリアムと同様にスマートコントラクトを実装しており、契約の履行等を素早く行えるような仕組みになっています。決済の時間の短縮にも繋がるため、中国ではこの技術を拡大しようとしており、中国ではイーサリアムとネオが競合しているような状況です。
ネオとイーサリアムの違いは「コンセンサスアルゴリズム」です。コンセンサスアルゴリズムとはブロックチェーン上で行う認証方法を意味しており、イーサリアムがPoWを採用しているのに対して、ネオはDBFTという方法を用いています。DBFTにより、ネオはイーサリアムの50倍以上の処理速度を実現することに成功しました。両者には一長一短がありますが、ネオは昨今流動性が増加傾向にあるためチェックしておくべき通貨のひとつです。
最後に、トロンという通貨もこのプラットフォーム型に分類される代表通貨ですが、上記の2通貨と比較すると目新しい機能はありませんが、エンターテイメントを発展させたいという理念で開発されたという特徴をもっています。
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ステーブルコイン型
ステーブルコイン型とは法定通貨と価格が同じ割合で動くことを目指している仮想通貨です。
最初にご説明した「決済通貨型」のビットコインやビットコインキャッシュ等の仮想通貨は値動きが大きすぎることから、通貨の本来の目的である「価値の貯蔵手段」としての機能を果たすことができない状況となっています。通貨というよりは投機商品としての側面が強いことから決済型ではあるものの、事実上決済のために利用されていることはほとんどありません。ダークプールと呼ばれるテロ資金等で利用されている実績はありますが、あくまでイレギュラーな利用方法です。
こうした中、仮想通貨内でも価格が法定通貨と同等程度の動きしかしないような仮想通貨のニーズが高まりました。そこで誕生したのがステーブルコインです。これは現在米ドルと連動するUSDTやTUSD、USDC等、米ドルを裏付け資産として、その分を仮想通貨として発行したものです。米ドルとの大きな違いは、お金を発行しているのは中央銀行ではなく、事業会社という点にあるでしょう。
現在はアメリカのテザー社が発行しているUSDTが世界で最も流通されているものですが、これにも問題がある状況です。USDTがあまりにも多く発行され過ぎたことから、ビットコインの相場を作り出しているのではないかという疑念が生まれているのです。USDTは価格が安定しているものの、信用のある通貨としてはまだ道半ばという状況になってしまったのです。しかし、価格が大きく変動しない仮想通貨の需要はなくなることはないため、今後も使われることは多くなるでしょう。
世界でもイギリス中銀やカナダ中銀、東南アジアの各国の中銀等がパブリックコインという法定通貨を裏付けとした中央銀行が発行する仮想通貨の研究が進んでおり、将来的には企業が法定通貨を裏付けとするステーブルコインから、このパブリックコインに時代が変化することもありうるでしょう。シンプルに考えて企業が発行したものか、国の中央銀行が発行したもの、どちらの信用力があるかと考えると答えは簡単です。
しかしハッキングやまだ事件が多い分野であるため、実現するのは相応の時間がかかりそうな状況です。世界各国の中央銀行に研究論文等も掲載されているため、興味のある方はチェックしてもいいでしょう。
企業トークン型
これは企業・プロジェクトが現存する課題解決のために発行しているトークンを指しています。その中でも一番有名なのはXRPです。XRPは日本でも大人気の通貨であり、今でも個人の売買では日本のXRPの取引量が多いということで知られています。
XRPはスムーズな国際送金を行う利便性の向上を目的として普及が始まっています。国際送金では、相手にお金が届くまでの間に数多くの銀行を経由する必要があり、時間・コストがネックとなっています。さらにいうと送金に失敗することすらあります。こうした課題に対し、スムーズな資金決済スキームを提供するために活動しているプロジェクトで利用されるトークンがXRPなのです。
XRPを巡るファンダメンタルズとしては、XRPエコシステムの普及を進めるリップルがSBIグループと共同で内外為替一元化コンソーシアムを立ち上げているなど、日本国内でもさまざまな動きがあるという意味で身近に進捗を感じることができるという特徴もXRP人気の理由でしょう。
仮想通貨はビットコインのような管理者不在のものばかりでなく、いまや企業が主導するトークンも数多く発行されています。今話題のFacebookが関与するLibraもそのひとつです。企業型のトークンは、事業者がそれぞれ機能を設定するため一括りにどのようなものという定義をすることができません。
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投資の前には仮想通貨のホワイトペーパーを読みましょう
資産運用目的で仮想通貨へ投資をするのであれば、チャートだけを見ているのではなく、対象となる仮想通貨がどのような目的で作られたのかや目標を達成できるのかという視点で見定めるとよいでしょう。
短期的な売買であれば各仮想通貨の特徴は気にする必要はありません。しかし、仮想通貨の世界では、法定通貨のような決済型の通貨やプラットフォームのトークンとして機能している通貨、プラットフォームの利用券としての役割にとどまる通貨のすべて「仮想通貨」と一括にされて売買されています。長期視点では今後さまざまな仮想通貨が淘汰されていくことは明らかです。
もちろん、今後も仮想通貨は数多く生まれていくでしょう。そうした中で資産運用を目的とする投資家が見極めなければならないのは、仮想通貨が実際に社会へ普及していくかどうかです。株式取引では「企業を応援するためにその企業の株を買いましょう」と言われますが、仮想通貨もある意味で同じかもしれません。
仮想通貨プロジェクトではホワイトペーパーという概要書が発行されており、その中にはプロジェクトで実現したいことやプロジェクトの仕組みなどが記載されています。ホワイトペーパーをチェックするだけでも真贋を見極める目が養われることになりますので、投資を決める前には一度読んでみることをおすすめします。
仮想通貨は必ずしもみなさんがイメージする通貨ではないものもあるということを念頭に色々調べてみてください。そうすることでまた違った景色が見えてくると思います。
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中島 翔
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