ドル円は一時145円付近まで上昇、今後のトレードのポイントは?日銀政策決定会合についても【2023年12月】

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2023年12月現在、日銀政策決定会合を受けて、ドル円は急上昇しています。

本稿ではプロトレーダーの筆者が、日銀政策決定会合のポイントや市場の動き、今後のドル円動向のポイントを解説します。是非参考にしてみてください。

※本記事は2023年12月22日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. 日銀政策決定会合の結果
  2. 日銀政策決定会合を受けた市場の動き
  3. 今後のドル円動向のポイント
    3-1.アメリカの利下げ見通し
    3-2.日銀の緩和政策
  4. トレードのコツは感情に負けない損切り
  5. まとめ

1.日銀政策決定会合の結果

2023年12月の日銀政策会合では、政策金利の変更はありませんでした。一部のアナリストからは、12月に政策変更があり、マイナス金利を脱却する可能性があると予想されていたものの、多くの市場予想通り緩和路線維持し、サプライズとはなりませんでした。

植田総裁の会見のポイントは4つです。

  • チャレンジングという言葉は来年で2年目となるため、仕事の意気込みとして発言しただけであり、何かしら金融政策の変更を意図したものではない。
  • 企業業績等は回復しており、インフレ転換のトレンドは強まっているものの、先行きは不透明であり、まだ緩和政策は継続する必要がある。
  • アメリカが利下げ方向に政策を変更したからと言って、日本銀行がその前に焦って利上げを行うという選択肢はない
  • 基本的な方針として、市場に大きくインパクトを与えるサプライズは避けるべきと考えており、どのような政策を行うかは丁寧に説明していく

参照:ブルームバーグ「植田日銀総裁、出口までの距離明確にせず

市場では2024年の金融政策の変更のために、何かしらのヒントを発信するのではないかという思惑が広がったものの、結果として、植田総裁の会見でもヒントすらなく、緩和路線を継続しました。

2.日銀政策決定会合を受けた市場の動き

日銀を受けたドル円の動き
※図はTradingView[PR]より筆者作成

次に、日銀を受けた市場の動きを確認しましょう。

市場は政策金利発表後に、緩和政策変更のヒントを得られず、一気に円売りに傾く動きとなり、143円台後半まで上昇しました。緩和を意識した市場の動きとなり、日経平均株価と日経平均株価先物は上昇しています。

植田総裁の会見でも特段の緩和政策変更の動きが見られなかったことから、再度円売りがスタートしており、ドル円は145円手前まで急上昇しました。しかしその後は、短期的な利益確定の動きが出たことから、143円台半ばまで大きく調整する動きとなっています。

日銀政策決定会合後に、タカ派を警戒したポジションが解消されたことが、ドル円が上昇した要因です。植田総裁の会見を受けて、更に買い戻しが誘発されました。

3.今後のドル円動向のポイント

今後のドル円のポイントを、プロトレーダーの筆者が解説します。

3-1.アメリカの利下げ見通し

一つ目のポイントは、アメリカの利下げ見通しです。

2023年12月現在、FOMCでのパウエル議長の発言を受け、市場では3月からの利下げが始まる可能性を織り込んでいましたが、パウエル議長の発言を否定するかのような、FRBの高官によるタカ派的な発言が相次いでいます。政策運営内部では、意見が分かれているようです。

参照:ブルームバーグ「来年早期の米利下げ観測、FRB当局者2人が冷や水

3月に利下げがスタート、年間6回の利下げが織り込まれていたものの、修正される可能性が出てきました。仮に利下げ見通しが修正されると、金利上昇・ドル高圧力が掛かりやすくなるため、ドルが底堅くなり、ドル円の下落幅は限定的となるでしょう。一方でFRB高官の発言を無視して、市場が更に利下げを織り込む動きを加速させた場合は、ドル売り圧力となり、ドル円は下落するでしょう。

2024年の政策金利の見通しに米ドルの動きが左右されるため、FRB高官発言と米国債金利の動向には注意しましょう。

3-2.日銀の緩和政策

二つ目のポイントは、日銀の動向です。

日本銀行は、緩和路線を維持しています。植田総裁は、「来月上げますといきなり言うことになる可能性はあまりない」と発言しており、市場へのインパクトに配慮しているため、段階を踏んで緩和路線を脱却すると考えられます。

参照:ブルームバーグ「植田日銀総裁、出口までの距離明確にせず

ただし、2024年1月の日銀政策決定会合にて、出口戦略やマイナス金利解除等のアナウンスが出る可能性は残っています。一部の市場参加者からは、日銀は12月に動かなかったものの、マイナス金利解除を視野に、3月あたりに何かしらアナウンスがある可能性が指摘されています。

そのため、緩和路線継続だから円安が継続するとは言えず、日本円のショートポジションが残っていることからも、引き続き円の買い戻し圧力は継続する可能性があります。日本円のショートポジションがある程度解消されるまでは、2024年以降も円買い圧力が継続するでしょう。

プロトレーダーの筆者としては、クロス円で円をロングにする、円高方向でのトレードが引き続き有効だと考えています。

4.トレードのコツは感情に負けない損切り

FX初心者の方で、あらかじめ設定していた水準まで損失が拡大しても、「また再度上昇するかもしれない」と希望的観測が生まれ、損失を拡大させてしまうといった悩みを持つ方は、多いのではないでしょうか。人間の心理として、損失を回避したくなることは当然の行動ですが、損切りが適切にできないと負け続けてしまいます。

感情に左右されずに損切りを行う方法として、ノックアウトオプションの利用が挙げられます。ノックアウトオプションとは、エントリーと損切りがセットになっている商品であり、一度エントリーを行うと損切りの位置を変更することができません。エントリーと損切りをワンセットにした商品を利用することで、FX初心者でも必ず損切りができます。

このノックアウトオプションは、IG証券にて提供されています。IG証券では、100種類以上の通貨ペアを扱っており、選択肢の多さもメリットの一つです。

興味のある方は、利用を検討してみてください。

5.まとめ

本稿では日銀政策決定会合の結果と市場の動き、今後のドル円のポイントやノックアウトオプションのメリットについて解説しました。

12月は年末にかけて流動性が薄くなり値幅が大きくなりやすいので、突発的な動きには注意しましょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12