初心者が仮想通貨に投資する前にチェックしておきたい6つのポイント

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仮想通貨投資を始める投資家の中には他の金融商品への投資経験がなく、仮想通貨投資が初めてという方が多いというレポートが公開されたのは皆様の記憶にも新しいことかと思います。投資初心者であるためなのか、筆者からすると仮想通貨投資家では違和感を感じる部分が多い印象です。中には最低限投資で覚えておくべき知識を身につけないまま、危険な投資を繰り返している方も多いように見られます。

筆者は、前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。

ここでは、こうした経験を踏まえ、現在仮想通貨取引所でトレーダーを行う筆者が相場に投資する上で抑えておくべきこと、そして仮想通貨に投資する上でチェックしておきたいことをご紹介していきます。

目次

  1. 初心者が仮想通貨に投資する前にチェックしておきたい6つのポイント
    1-1.投資する資金は余裕資金ですか?
    1-2.自分の性格を客観的に分析しましたか?
    1-3.取引の注文方法など仮想通貨投資の基礎を勉強しましたか?
    1-4.投資おいて危険な行為があることを理解していますか?
    1-5.取引ルールを決めていますか?
    1-6.仮想通貨が他の投資商品と異なる点を理解していますか?
  2. 大事なこと、気をつけることは他の投資と同じ

初心者が仮想通貨に投資する前にチェックしておきたい6つのポイント

それはまず6つのポイントの一覧でご紹介します。この表をご覧頂くだけでも何が重要なのかお分かり頂けることでしょう。

この6項目は最低限守るべきものです。そしてこれは理解しておかないといつまで経ってもマーケットの猛者達にただ自分のお金を寄付していることと同じと言っても過言ではないでしょう。ではこの項目を一つひとつご紹介していきます。

投資する資金は余裕資金ですか?

最初にご紹介する項目は「投資する資金は余裕資金かどうか」ということです。これは仮想通貨だけではなく、投資全般に当てはまるものです。

投資はあくまで余裕資金で行うことが鉄則です。その理由は「投資に絶対はないから」です。投資というのは利益も損失も可能性としてあり、投資で成功するために一番大事なことは「投資する際心理的な負担がなく余裕を持って取引を行うこと」なのです。

一時的に投資がうまくいっている方の中でも、いつかは大きく損失を出してしまうだろうなと感じる方は、教育資金など生活に必要な資金を投入し、心理的に負担が大きいまま投資を行っている方です。投資では心に余裕がないと負けてしまいやすいということは肝に命じておきましょう。投資したお金がなくなっても生活に支障が出ない範囲を常に保ちながらで投資を行うことが重要です。

自分の性格を客観的に分析しましたか?

次に大事なことは「自分の性格を客観的に分析したか」ということです。これはつまり、自己分析を徹底的に行ったかということでもあり、自分を知らずしてトレードで利益を出し続けるのは難しいという意味でもあります。これはどういうことなのでしょうか?

これは「自分の性格を知らずして自分に合ったトレードを行うことは難しい」という意味です。トレードと言っても、「スキャルピングトレード」「デイトレード」「スイングトレード」「中長期運用」など、投資を行う期間ごとに投資手法が分かれることをご存知でしょうか。

人間の性格は様々で、評価損が出ているときの感情の揺れ動き、評価益が出ているときに利益確定をしたい衝動など、人によって感情の振れ幅やその振れ幅に耐えられる限界は異なります。負けん気が強い人が最初にトレードをすると、評価損が出ていても、「いつか戻ってくるだろう」という楽観的な思考に陥りやすく、温厚で浮き沈みのない性格の人は評価益が出ていても「まだ上がるだろうからゆっくり持っておこう」という余裕があるため利益の幅を伸ばしやすいなど、人それぞれトレードの判断基準には色々な特徴が現れてきます。

もちろん投資がうまくいっているときであれば問題ありませんが、決断が必要になるタイミングで投資家は自分自身を理解していないと正しく感情をコントロールすることができず、無駄に損失を増やすことになりかねません。トレードではルールを守る「メンタルコントロール」が大事と言われていますが、その前に行うべきことが「自己分析」なのです。

普段生活をする中では、あまり自分自身の性格を見つめ直す機会というのはなかなかないかもしれません。ですが、これから本格的にトレードをしようと考えている方は、これを機会に自分がどのような場面で焦ってしまうのか、どこまで冷静でいられるのかなど、どういう特徴があるのかを見つめ直してみることをおすすめします。マーケットの知識を持ち合わせていても、自分の性格を理解していない場合は、投資で損失を出す可能性が高いと言っても過言ではありません。

取引の注文方法など仮想通貨投資の基礎を勉強しましたか?

次にご紹介するのは今までのような精神的な話ではなく、投資をする際の基礎的な知識についてです。仮想通貨投資であれば、仮想通貨に関するリスク、値動きの特徴、利用する仮想通貨取引所の仕組みや注文方法などがこれにあたります。

例えば、仮想通貨取引所には「販売所」と「取引所」という二種類の購入場所があります。販売所は仮想通貨取引所が持っている在庫から仮想通貨を購入する取引形式を指します。つまり、仮想通貨取引所は仮想通貨の卸問屋のようにマーケットから仮想通貨を仕入れて、顧客へ販売することで利益を得ています。

次に、取引所は、「いくらで買いたい」「いくらで売りたい」という注文が出されるマーケットで買いたい人と売りたい人の価格が一致してはじめて取引が成立する取引形式を指します。イメージとしては株式投資における東京証券取引所が仮想通貨取引所にあたるイメージですが、仮想通貨は東京証券取引所における株のように一括で管理されているもでのはなく、取引所金融商品市場外取引が行われる私設取引所「PTS市場」のように取引所が乱立していると考えるとより正確です。

取引所と販売所は手数料が大きく異なっており、販売所の手数料は取引所と比較して高額な手数料となっています。取引をする上で必要となるこうした情報を学ぶためにも、いろいろなサイトや書籍をも読んで理解するようにしましょう。

投資おいて危険な行為があることを理解していますか?

次にご紹介するのは「必ず投資をする上で行ってはいけないことを理解したか」です。投資家でも損失を出す投資家、利益を出す投資家にはそれぞれ共通点が色々あります。

今では、こうした特徴を分析して、投資をする上で行ってはいけないことや、守るべきことなどさまざまなルールや考え方がまとめられた本やインターネットで紹介されています。投資には「投資の格言」というものがあり、この事実を裏返して考えると、それだけ投資家はいろいろな失敗をしてきていてその中で気をつけるべきポイントがたくさんあるということでもあります。

すべてがすべてルールや格言の通り、というわけにはいきませんが、自分なりに理解・処理をして投資に臨むことがおすすめです。ここでは筆者が個人的に投資において行ってはいけないことを一部ご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

ナンピンで平均単価を下げていつか戻ってくると信じている

ナンピンは、仮想通貨の価格が下がっていくに従って、追加でその仮想通貨を買うことで平均単価を下げることを意味しています。この手法を取る人が珍しくありませんが、筆者としてはおすすめしていません。

例えば、FX(外国為替)であれば、過去長く推移しているものですので、レンジがある程度決まっていれば取り返すチャンスもありますし金利も影響するので有利に進めることも可能です。しかし、仮想通貨は歴史が浅くどの程度まで上昇するのか、そしてどの程度まで下落するのかが未知数です。その中でどんどん下落したところでいつか上昇すると信じ切っていると大きな損失を被ることになるでしょう。

仮想通貨は価格が1,000分の1になってもおかしくない商品です。逆に1,000倍になっても特に違和感はなく、それだけどの価格が適正なのか誰も知らないという、大きなリスクの伴うものなのです。

以下では、ナンピンがどのようなものなのか下記のビットコインチャートを参考に説明していきます。

上記は2017年の仮想通貨バブルからの下落チャートを示しています。

この際、それまでビットコインが上昇基調だったことを理由に、18,000ドルから2,000ドル下落する毎に買いポジションを増加させると、平均購入単価は14,000ドルとなります。投資家は心理的に「多分戻るだろう」と思ってナンピンを行うのですが、結果的にこの後4,000ドル以下まで下落することになり、ナンピンを行うことによって傷口を広げる結果となります。

通常であれば損切りをして、一旦冷静になってから投資を見直すことがセオリーなのですが、安易にナンピンを行うと一回の大幅な下落で全ての資産を失う可能性があります。それだけナンピンは危険な行為ということです。

他人の言うことを信じてトレードをする

仮想通貨のマーケットでは個人が作り上げているマーケットであるため、色々な情報がツイッターやSNSなどから入ってきます。世界的に見ても、仮想通貨界隈ではメッセージアプリ「テレグラム」が利用されており、グループチャットでポジショントークで溢れています。

しかし、最終的にトレードするのは自分自身であり、他の人ではありません。勝っても負けても自分のおかげであり、自分のせいでもあります。人のアイデアを参考にするのはいいですが、その背景にある考え方を理解せず言うがままにトレードしても最終的に自分のためになりませんのでやめましょう。

取引ルールを決めていますか?

次にご紹介するポイントは「取引ルールを決めているか」です。

人間は弱い生き物で負けることを極端に嫌がる生き物です。先人達はこうした人間の心理も理解してか、「投資の世界ではトレードに感情が入ってしまうと負ける」と言われています。利益をあげるか、損失を出すかは一見すると二分の一の確立に思えますが、投資において勝者が2割もいないと言われる理由を考えると取引ルールの重要性を理解しやすいかもしれません。

人間の感情を出来るだけ排除するために行うべきこと、それが「取引ルールを決めること」です。勝ちやすいルールを自分自身で模索しながら発見し、そのトレードルールを項目に分類して、その項目すべてに当てはまった場合にはトレードを行い、利益確定や損切りを行うことで、感情を排除し無駄な損失や早すぎる利益確定を避けることができます。もしも負けが続く場合、取引ルール自体を見直すことで修正を図ることも出来るため、失敗の原因を突き止めやすいというメリットもあります。

取引ルールを利用する際のポイントは、取引ルールは1つだけでなく複数作成し、色々なパターンで利益を出すことです。最初のうちは、自分にあったルールが何かを1つでも見つけることに集中し、そしてルールが決まればそのルールを遵守することができるか試してみましょう。

最初のうちは、損失が拡大する場面でかなり心理的な負担がかかるかもしれません。しかし、ルールを決めておけばその心理的な負担から発生する負の感情を軽減できるため、初心者こそ取引ルールを定めることをおすすめします。

仮想通貨が他の投資商品と異なる点を理解していますか?

最後のポイントは「他の投資商品と仮想通貨が異なる点を理解したか」です。仮想通貨投資にあたっては、仮想通貨という特有の商品性は必ず意識しておかないといけません。では、どのような点が仮想通貨に特有で、他の金融商品と異なっているのでしょうか?以下でそのいくつか簡単にご紹介します。

仮想通貨は他の投資商品と違い値動きがとても大きい

最初にご紹介する特徴は、仮想通貨は「値動きが他の投資商品と違いとても大きいということ」です。下記はビットコイン、日経平均株価、そしてドル円の値動きの幅をパーセントにして表記しています。

ご覧頂くとわかる通り、ビットコインの上下の幅がとても大きいことが視覚的に理解できるでしょう。これほどビットコインは値幅が大きいもので、それゆえリスク管理が難しいとも言われています。

ハッキングリスクがある

次に紹介する仮想通貨の特徴は「ハッキングリスクがある」ということです。仮想通貨はオンライン上に存在しているウォレット(仮想通貨の銀行口座のようなもの)に保管されているため、秘密鍵(銀行口座のパスワードのようなもの)が何かしらのきっかけで漏洩してしまうと、第三者であっても不正に送金することができてしまうのです。ハッキング事件としては、仮想通貨バブル崩壊の引き金ともなったコインチェックのネム(XEM)が500億円以上も流出してしまった事件が記憶に新しいのではないでしょうか。

仮想通貨取引所は現在、金融庁や仮想通貨の自主規制団体JVCEA(日本暗号資産取引業協会)によって消費者保護に向けて厳しい規制を敷いているため、仮想通貨取引所のウォレットから仮想通貨が盗まれたとしても顧客の資産については返還されることが一般的な対応となりつつあります。(海外では返還が行われないのが常態化していましたし、コインチェックの事件発生当時には日本においても返還は行われなくても仕方ないと考える人が多くいました)

こうした補償が整備されたことで資産が毀損する可能性は減りましたが、資産返還までに仮想通貨取引所は入出金停止を行うため、その間の価格変動リスクを負うことになります。これはつまりリスクヘッジができないということでもありますので、ハッキングリスクについては重々認識を深めておくと良いでしょう。

法定通貨と同様にモノの決済に利用できる

世界に目を向けてみるとビットコイン専用のATMが普及する国もあったり、日本ではビックカメラなどでビットコイン決済が行われているなど、現在は仮想通貨が日本円をはじめとする法廷通貨と同様に決済が行えるフレームワークが作られようとしています。

しかし、仮想通貨はその値動きの大きさから決済通貨として利用するマーケットは限られているのが現状です。決済分野では今後、ステーブルコインなど法定通貨とのペッグ(価格を連動させること)通貨が広まることが期待されています。

この特徴は値動きに直接的に影響するものではないですが、仮想通貨が誕生した目的でもあるので知識として覚えておきましょう。

仮想通貨に金利はない

この特徴はある意味、「コモディティ」と呼ばれる原油や金と同じと言えるでしょう。仮想通貨にはFX(外国為替)のようなスワップポイントは存在せず、値動きだけで利益を取るしか稼ぐ方法がないのです。

そのため、利益を生むポイントの多さやチャンスという意味では、外国為替FXのほうが金利がある分取引しやすいでしょう。しかし、仮想通貨は外国為替FXにはない値動きの大きさがあるため、何を目的に投資をするかでどちらの商品に投資するべきかは大きく変わってきます。

大事なこと、気をつけることは他の投資と同じ

仮想通貨に投資するにあたって一番重要なことは、他の金融商品に投資する際に気をつけることと何も変わりません。守るべきことも同じですし、注意すべきことも同じです。

本質的な部分を理解せず表面上の知識だけ勉強して取り組んでも、損失を出してしまう可能性が高いでしょう。しかし、本質をしっかり理解して取り組むさえできれば、仮想通貨はもちろんその他の金融商品に投資する場合であっても利益をある程度の確立で出すことは可能になります。もちろん、投資する対象を変える時にはそれぞれの商品の特徴を抑え、微修正を加えていく必要があることを覚えておいてください。

仮想通貨に限らず投資を行う際には、事前にここでご説明したポイント6つをチェックし、自分自身で整理してから投資を行うことをおすすめします。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12