XRP Ledgerはリップル社によって開発された分散型の台帳です。異なる台帳間の取引を可能とする国際標準規格であるILP(Interledger Protocol:インターレジャープロトコル)をベースとしたXRP Ledgerは、トランザクション(取引データ)などの情報を管理し、ネットワークに参加しているユーザーが従来の国際送金よりも低コストで迅速に、消失リスクに悩まされることなく送金ができる仕組みとして開発されました。
XRP Ledgerの仕組み
もともとXRP Ledgerの前身として開発されたRCL(Ripple Consensus Ledger:リップルコンセンサスレジャー)は、XRPを利用したIOU(債権)のやりとりによって決済を効率化する決済システムでした。RCLでは、IOUが無価値になっても現物資産となるXRPを保有しておくことで、カウンターパーティーリスクを回避することが可能です。
RCLではその仕組から口座間の送金額が可視化されてしまうため、リップル社がターゲットとする金融機関のコンプライアンスに抵触することから現在のXRP Ledgerが開発されました。XRP Ledgerでは、取引の仲介を自動で行う暗号エスクロー機能が実装されており、資金を直接相手に振り込むのではなく、リップルネットワーク内で流動性プロバイダーとしての役割をもつ「コネクター」を仲介して資金を送金します。XRP Ledgerでは各金融機関の台帳をそのまま利用でき、送金元や送金先が秘匿されるよう開発されたことから、現在では中央銀行をはじめとする金融機関や送金プロバイダーとの提携が進んでいます。
XRP Ledgerのコンセンサスプロセス
XRP Ledgerのネットワークでは、トランザクションの承認を行う承認ノード(Validating Node)と、受け取ったトランザクションを他のノードに送るトラッキングノード(Tracking Node)が存在します。トランザクションが行われるとトラッキンングノードが隣接するノードにトランザクションを送ることでネットワーク全体に伝播させ、承認ノードがトランザクションを受け取った後に承認が行われます。その際、十分な数の承認ノードによって承認が得られなければ次回の承認に回され、承認作業が完了した場合にはノード全体に共有されます。PoW(プルーフオブワーク)のような膨大な計算による承認作業が必要ないXRP Ledgerでのコンセンサスプロセスでは、送金完了までの時間が4秒かつ取引手数料が安いという特徴があります。
XRP Ledgerの課題
XRP Ledgerでは信頼される複数の企業がノードになるとされていますが、特定の企業に権力が集中することによって悪意のあるノードに取引を操作される可能性が指摘されています。承認者のリストであるUNL(Unique Node List:ユニーク・ノード・リスト)の数を増やしながら、UNL内で結託をしないように分散化を促す必要があり、リップル社では分散化を促すためにリップル社以外の第三者により認められたUNLを2つ追加するごとに、リップル社が指定したUNLを1つ除くというプロセスを実施しています。また、リップル社のイーサン・マクブラフが発表したCobalt(コバルト)によって、従来80%以上のバリデータの承認が必要だったプロセスを60%に抑えネットワークの健全性を容易に分析できるようにするなど、分散化に向けた多くの取り組みを進めています。
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