現在のあらゆる国際送金はSWIFT(国際銀行間通信協会)とよばれる世界の銀行を繋ぐメッセージサービスを通じて行われています。現在、SWIFTは200以上の国や地域で11,000以上の銀行や証券会社、法人を結ぶ国際送金のインフラとなっています。
国際送金というと普段から私達が行う銀行振込のようなものを想像するかもしれませんが、国際送金の仕組みは複雑で、さまざまな問題を抱えています。以下では国際送金の仕組みを見ながら、従来の国際送金システムが抱える問題について説明していきます。
国際送金の仕組み
日本の銀行から海外の銀行に国際送金をしたい場合、日本の銀行は送金先の国の銀行(コルレス銀行)にあらかじめ銀行口座(ノストロ口座)を開設しておきます。また、このノストロ口座には口座を開設した日本の銀行が送金先の国の法定通貨を入金します。
日本から送金の指示が行われると、日本の銀行は送金先の国の銀行口座から指定金額を受取人の口座に入金するように手続きを開始します。実際には現金を送ることなく、口座間の振替によって送金を実現するというのが現在の国際送金の仕組みなのです。
現在の国際送金システムが抱える3つの問題
1.高い手数料
国際送金を行うために、銀行は受取人の口座がある国に海外口座を開設する必要があります。ですが、口座の維持費を考慮すると海外の銀行すべてで口座を作ることは現実的ではありません。そのため、実際にはノストロ口座を持たない銀行への送金指示があった場合には、海外の銀行同士の取引関係を利用して立て替えをすることで決済を完了させています。
送金先がマイナーな通貨の場合、送金を立て替えてもらう中継の銀行がどんどん増えていくことで、手数料や為替の影響を大きく受けることになります。1万円を送ったつもりでも数千円が手数料として差し引かれてしまう国際送金にはこうしたからくりがあるのです。
2.送金完了に時間がかかる
国際送金は複数の銀行を経由して支払いを立て替えていくため、さまざまな手続きや確認が行われることで時間がかかるほか、時差や金融機関の営業時間といった影響から送金完了まで数日かかることが一般的です。
また、送金依頼をそれぞれの銀行で確認していくなかでどうしても人為的なミスが発生することが多く、このミスが原因で送金が失敗となってしまうことも珍しくありません。SWIFTではこの送金失敗のエラー率を6%と公表しています。
3.ノストロ口座維持の費用
ノストロ口座の維持には口座維持手数料以外に、通貨両替のための莫大な準備金を口座にあらかじめ入金しておく必要があります。いつ、どの程度の額の送金があるかわからないため、ノストロ口座に入金されている現金は基本的に利用することができません。
国際送金ネットワークのソリューションを手がけるリップル社CTOのステファン・トーマスによると、約27兆ドルもの資産が市場に循環することなく、世界中のノストロ口座に保管されているそうです。
リップル社が解決する国際送金、そのソリューションとは?
上記で挙げた国際送金の抱える課題を解決するために、リップル社が開発を進めているのがILP(Interledger Protocol:インターレジャープロトコル)です。ILPは世界中の異なる台帳やネットワークをまたぐ取引における決済方法の国際標準規格化プロジェクトです。ILPによってさまざまなコネクター(銀行や仮想通貨取引所など)が価値を送金しあうことが可能になります。さらに、暗号エスクローを導入することによって資金の流れを外部から秘匿することで銀行をはじめとする金融機関のコンプライアンスで問題とならないように開発を進めました。
リップル社はこのILPをベースに、送金のすべてを可視化しリアルタイムメッセージングを可能にするxCurrent、流動性コストを最小化する金融機関・送金プロバイダを対象としたxRapid、リップルネットワークに接続可能なAPIのxViaの3つのソリューションを開発しており、さまざまな事業者を対象として統一された送金規格づくりに注力していることが特徴です。
XRPが使用されるとどうなるか?
XRPはリップルネットワーク上で使用可能なデジタル資産で送金を効率化させる役割を担っています。XRPを利用することによって、債務不履行などのカウンターパーティリスクを請け負うことなくILP上での価値交換が可能となります。
具体的に言うと、銀行はXRPを使うことでノストロ口座を用意することなく流動性を確保することができ、送金プロバイダは外国為替コストを低減と高速決済の両方を実現することで新たな市場へのアクセスも可能になるのです。
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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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