米国財務省の管轄下にある金融犯罪取締まりネットワーク(FinCEN)より提出されている、自己管理型ウォレットに対する規制案について、大手決済プラットフォームのSquareや大手暗号資産取引所のKrakenが、反対声明を正式発表した。
FinCENは、金融活動作業部会(FATF)より全世界の暗号資産カストディ事業者(VASP)に対して勧告されている「トラベルルール」に基づき、自己管理型ウォレットの規制強化に乗り出している。
具体的には、暗号資産取引所からの出金額が3,000ドルを超えるものに対して、出金先のウォレットにおける本人確認(KYC)を強化せよというもので、KYCの済んでいないウォレットには3,000ドルを超える資金は送金できないようにすることを意味する。
この規制案に対して、Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏率いるSquareは次のように反対意見を提出している。
「この規制は、米国が暗号資産ユーザーを失うことに繋がりかねないものになるだろう。ユーザーは、KYC不要な国外のウォレットサービスを使用するようになると考えられるため、逆に現状よりも追跡性に欠ける実態が想定される。」
暗号資産取引所大手のKrakenからは、今回の規制案に対応することの難しさが指摘されている。また、同社からはパブリックコメントの募集期間が極端に短いことについても次のように言及された。
「今回の動きは、米国連邦政府が国民からの幅広い意見を受け入れることを義務付けている『行政手続法』に反している可能性が高い。」
FinCENによる今回の規制案が提出されたのは昨年の11月末のことだ。自己管理型ウォレットを規制することは、スマートコントラクトのインターフェースを規制することに繋がるため、例えばDeFiなどの新興市場におけるイノベーションを阻害する恐れがある。
スマートコントラクトは特定の管理者が介在しないことが特徴であるので、そこに規制の余地があっては強みを活かすことができない。
【参照記事】Inc.’s Federal Comment Letter Regarding FinCEN’s Proposed Rulemaking on Requirements for Certain Transactions Involving Convertible Virtual Currency or Digital Assets
【参照記事】https://kraken.docsend.com/view/2fxvkmn77uz9bqjq
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