米国財務省の管轄下にあり銀行規制の役割を担う通貨監督庁(OCC)は1月4日、銀行がステーブルコインやパブリック型のブロックチェーンを使って決済処理を行うことができるようになる旨の書簡を公開している。
OCCは今回の書簡の中で、法律に準拠した状態で通常の銀行業務を全うしている限り、といった前提を加えた上で次のように解釈を述べている。
「国立銀行または連邦貯蓄協会は、INVN(Independent Node Verification Networks:独立型ノード検証ネットワーク)のノードとして稼働することで、パブリックチェーンおよびステーブルコインを使用した支払いその他のサービスを提供することができる。」
具体的には、ステーブルコインを決済システムに組み込むことで国際間送金に活用したり、場合によっては銀行独自のステーブルコインを発行することができるようになるとしている。
元Coinbaseの幹部であり、現在はOCCで通貨管理官代行を務めるブライアン・ブルックス氏によると、今回OCCが銀行によるステーブルコインの導入を認可する方針を打ち出した背景には、他国の政府がより高速な決済システムを構築し始めている点があると説明した。
OCCのプレスリリース内でも、「パブリック型のブロックチェーンを活用することで、既存の銀行システムよりも安価に効率良く、それでいてスピーディーに決済処理ができる可能性が高い。」と述べられている。一方で、INVNに参加する銀行に対しては、運用上のリスクやコンプライアンス上のリスクを十分に理解しなければならないことも警告している。
今回の取り組み対して、ステーブルコインの代表例であるUSDCを運営するCircle社のCEOを務めるジェレミー・アレア氏は、自身のTwitterで次のようにツイートした。
「OCCの発表は暗号資産業界そしてステーブルコインにとって非常に大きな出来事だ。我々は、全ての経済活動がブロックチェーン上で行われる未来がくると信じている。米国政府がこの未来を後押しするような意向を持っていることは、大変喜ばしいことである。」
銀行とステーブルコインというワードからは、2020年に日本でも大きく話題となった「CBDC(Central Bank Digital Currency:中央銀行デジタル通貨)」を連想させる。米国でもデジタルドルの是非が議論されており、中央銀行だけでなく政府からも類似する取り組みが出てきた格好だ。
今回のニュースは、ブロックチェーンや暗号資産が単なる投資対象としてではなく、その特性に注目が集まり始め、徐々に実用化が進んできていることの表れではないだろうか。
【参照記事】Interpretive Letter 1174 January 2021 OCC Chief Counsel’s Interpretation on National Bank and Federal Savings Association Auth
【参照URL】Jeremy Allaire Twitter
株式会社techtec リサーチチーム
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