米連邦準備制度がマイナス金利の導入を決めた場合、ビットコイン市場の転換点になる可能性がある。シンガポールのアセットマネージャーであるstack fundsが5月14日付のレポートで報告している。
ビットコインは半減期前にボラティリティが高まり、10%上昇して10,000米ドルに達した後に19%急落して8,200米ドルを付けた。市場が急上昇して急落が続くという、この市場の典型的なパターンだ。stackはこれをデリバティブ主導の動きと見て、トレーダーによる「事実売り」を指摘した。
5月12日(日本時間)に迎えたブロック報酬の「半減期」を経て、ビットコインに再び買いが集まり、9,000ドル台を取り戻した。stackの見方では、トレーダーは既に次の強気相場(2020年末~2021年初頭に期待される)を見据えている。220億ドルのファンドマネージャー ポール・チューダー・ジョーンズが通貨インフレのヘッジとしてビットコインに投資しているというニュースが、上昇圧力を強化している。
米国が日本や欧州に追従してマイナスの政策金利を導入する可能性が高まっている。米連邦準備制度は否定し続けているが、フェデラルファンド(FF)金利先物はマイナス金利の可能性を織り込む方向にシフトしている。
通常、中央銀行は弱体化している経済を押し上げる目的でマイナス金利を導入する。消費者や企業に現金の支出拡大を促すためだ。現下の経済対策で米国は3.5兆ドルの国債を発行し、通貨システムに注入する。stackは、こうした政策が「デフレスパイラルにつながる可能性があり、経済環境にとって有害」と指摘する。
伝統的な金融市場で蔓延している不確実性により、投資家は代替投資を求めるようになるだろう。ストアオブバリュー(価値の保存)性と従来の金融市場とのデカップリング(非連動)のため、「ファンドマネージャーがビットコインをポートフォリオのヘッジとみなさないと言う方が難しい」というのがstackの主張だ。
JPモルガン、HSBC、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズなどの役員を兼任するスタッフで構成されるstack fundsはレポートをこう締めくくった。「ビットコインは不況から生まれた資産であり、その堅調さを不況を通じて一層証明することになるだろう」。
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高橋奈夕
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