決済大手マスターカードが、ブロックチェーンの分析サービスを提供する米CipherTraceの買収を9月9日に発表した。CipherTraceの高い技術力が目的のようだ。
CipherTraceは、900種類以上の暗号資産を分析してきた実績を持つテクノロジー企業だ。ブロックチェーンを分析することで、マネーロンダリングやテロ資金供与に利用されていないかどうかをチェックするサービスを企業に提供してきた。大手暗号資産取引所Binance、日本の楽天ウォレットやDMM Bitcoinなども利用している。この領域では、米Chainalysisや英Ellipticが多くのシェアを誇る。
マスターカードは、CipherTraceを買収することで、暗号資産以外のデジタル資産にも分析の対象を広げていくという。顧客に対して暗号資産の利用を推奨するわけではないとしつつも、デジタル資産への移行準備を進めていると説明した。
買収額などの詳細は公表されていないものの、これまでにマスタカードが行なってきたUpholdやGemini、BitPayなどとのパートナーシップに続く投資だとしている。今後は、ステーブルコインをサポートする可能性もあるという。
マスターカードのサイバーインテリジェンス責任者のAjay Bhalla氏は、「デジタル資産のエコシステムが拡大するにつれて、信頼性と安全性を確保する必要が急浮上しています。CipherTraceを取り込むことで、マスターカードに補完的な機能を果たしてくれるでしょう。」とコメントしている。
マスターカードは2021年に入ってから、暗号資産を含むデジタル資産への対応を加速させてきた。2月には世界で初めてCBDCに対応したプリペイドカードを発行、バハマで提供開始している。年内には暗号資産決済に対応する計画も明らかにしていた。
7月には、ステーブルコインUSDCを運営するCircleとの提携を発表しており、マスターカードの提供するサービスにステーブルコインを導入する取り組みを進めている。クレジットカード決済のインフラを抑えたマスターカードが、次世代のデジタル資産の領域でも存在感を強めている。
【参照記事】Mastercard Acquires CipherTrace to Enhance Crypto Capabilities
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