英銀大手ロイズ・バンキング・グループ(ティッカーシンボル:LLOY)は10月21日、新規の石油・ガス田開発へのプロジェクトファイナンスおよびリザーブ・ベース・レンディング(石油・ガスの埋蔵量を担保とした融資)を行わない方針を明らかにした(*1)。英国の五大銀行で初となる。
ロイズは気候ポリシーを改定し、未開発(グリーンフィールド)の石油・ガス田プロジェクトへの融資を制限する。この動きは、11月にエジプトで開催予定の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)を前に、銀行に対して低炭素社会への移行を加速させる対策を求める圧力に対応するものだとみられる。また、ウクライナ問題を背景としたエネルギーの安全保障の確保に懸念が高まるなか、英国政府が北海での新規探鉱を許可した数週間後、同行はその方針に反した決断を下したことになる。
ロイズは石油・ガス業界へのエクスポージャーが小さい。2021年には同業界に属する顧客向けに総融資額の0.2%に当たる約10億ポンド(約1,700億円)の融資を行った。石油・ガス企業への一般貸付はこれまで通り行う模様だ。
欧州の金融機関は気候変動分野への取り組みで業界をリードする。3月にはオランダ金融大手ING(INGA)が新規の石油・ガス田への融資を停止すると発表した。一方で、25年までに再生可能エネルギー向けの融資を50%増加する目標も明らかにしている。
独保険大手アリアンツ(ALV)は4月、気候変動に関する新たなコミットメントを公表し、一部の石油・ガス事業への投資・保険引受を停止する。独ミュンヘン再保険(MUV2)は10月、新たに石油・ガス業界向けの投資、保険引き受け方針を公表。自社の投資、(再)保険取引、および事業オペレーションの脱炭素化を推進すべく、2023年4月から新規の石油・ガス田開発事業への投資、保険引き受けを停止する意向だ。
【参照記事】*1 ロイター「UK’s Lloyds ditches project finance for new oil and gas fields」
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