暗号資産リスクマネジメント企業Ellipticは11月18日、分散型金融(DeFi)に関する損失額についてレポートを発表した。DeFiに供給されている資金の盗難や詐欺による過去1年間の損失額は、昨年の15億ドルから大きく膨れ上がり105億ドルにまで達しているという。
DeFi Llamaのデータによると、現在DeFiには2,500億ドルを超えるデジタル資産が流入している。2020年6月時点では、この数字は10億ドルにも満たなかったことを考えるとDeFi全体の人気が高まっていると言えるだろう。
この人気の要因には、DeFiプロトコルの使用が増加していることに加え、それぞれのプロトコルの基盤になるガバナンストークンの価格が上昇し、投資家の利益が高まっている点があげられる。
DeFi全体の加熱は、イーサリアムからソラナ、バイナンススマートチェーンなどのネットワークの拡大を及ぼした。しかし、それにつれて盗難や詐欺による損失も増えている。
Ellipticによると、盗難による損失には2種類あるという。一つ目は、DeFiプロトコルから資産が盗まれることによる直接的な損失。もう一つは、盗難が行われたことで、その資産の価値が低下してしまう間接的な損失だ。過去2年間では、直接的な損失は20億ドル、間接的な損失は100億ドルに上るという。
またEllipticは、ユーザーが最も懸念すべきはレンディングプロトコルであると警鐘を鳴らす。レンディングプロトコルに関する損失は全体の3分の1以上を占めており、DeFiプロトコルのバグやサービスの抜け穴を悪用した攻撃が行われている点に注意を促した。
さらに、マネーロンダリング対策も必要であると言及している。DeFiが可能にするDEXやクロスチェーンブリッジはマネーロンダリングの手段になり得るとして、ユーザーの本人確認などの対策が有効だと主張した。
Ellipticはレポートの中で、「多くのプロジェクトのサイバーセキュリティは未熟なままだ。そのため単独のハッカーから国家ぐるみのハッキングまで、様々な攻撃の標的となっている」と言及し、警戒するよう呼びかけた。
DeFi分野が成熟し、主要なプロトコルのセキュリティが強化されれば攻撃の対象となるプロトコルは限られていくと思われる。しかし、今のところはどのプロトコルを使用するときもハッキングのリスクを忘れてはならない。
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【参照記事】DeFi: Risk, Regulation, and the Rise of DeCrime
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