暗号資産(仮想通貨)投資の一般的な収益ポイントは、価格が高騰したところで売却して利益を得る「売却益(キャピタルゲイン)」でした。しかし、暗号資産を売却せず、保有し続けることで「インカムゲイン」を得る仕組みも増えてきています。
その一つが暗号資産取引所コインチェックが提供している暗号資産リスク(LSK)のステーキングサービスです。ここでは暗号資産リスク(LSK)、そしてコインチェックのステーキングサービスについて解説します。
目次
①暗号資産のステーキングとは?
ステーキングとは、暗号資産を保有することでネットワークセキュリティに貢献し、その対価として報酬を得る仕組みです。専用のウォレットなどを介して、ネットワークの条件に沿った形で暗号資産を保管する必要があります。初心者にとってウォレットの設定はハードルが高いので、暗号資産取引所が代行し、報酬のみをユーザーに分配するケースが近年増えています。
②ステーキングを提供する暗号資産「Lisk(リスク)」とは?
リスク(LSK)はdApps(分散型アプリケーション)を構築するためのスマートコントラクト・プラットフォームです。リスクの開発者は、メインのチェーンとは別のサイドチェーンをdAppsごとに構築できるので、スケーラビリティや開発の柔軟性、安全性に利点があります。リスクは世界的にも幅広く利用されるJavaScriptを採用しているので、世界中の開発者が容易に開発に取り組めることも特徴の1つです。
暗号資産名 | Lisk(リスク) |
ティッカーシンボル | LSK |
発行開始年月 | 2016年2月 |
主な利用用途 | 送金、決済、スマートコントラクト |
コンセンサスアルゴリズム | Delegated Proof of Stake(DPOS) |
発行主体 | Lisk Foundation(スイス) |
発行方法 | プログラムによる自動発行 |
上限発行量 | 1.6億LSK |
時価総額 | 時価総額 ¥13,876,177,721(市場71位) |
③コインチェックが提供するステーキングサービス
暗号資産取引所コインチェックは、2020年1月にリスク(LISK)のステーキングサービス(β)を開始しました。これはコインチェックがLSKネットワークの投票プロセス(デリゲート)に参加し、その報酬をユーザーの保有量に応じてLSKで付与する仕組みです。報酬は毎週水曜日に付与されています。(FAQによるとデリゲーションの結果によっては報酬が得られないこともあります)。
コインチェックのステーキングサービスに参加するためには、コインチェックの取引アカウントに1日平均10 LSK以上保有する必要があります。記事執筆時点で1 LSK=119円なので大体1,200円相当分を購入することで条件をクリアできます。少額とはいえ、保有しているだけでローリスクで報酬を入手できるので、初心者でも利用しやすいサービスです。
現在のところ、コインチェックは国内で唯一ステーキングサービスを提供している取引所です。Liskステーキングサービス(β)のネットワーク報酬の累計額は、2020年1月にスタートしてから同6月までに955万円となっています。この数字はコインチェックがLiskネットワークから受領した報酬額であり、ユーザーは保有量に応じてその一部を受け取ることになります。
④まとめ
ステーキングは暗号資産を長期保有する投資家にとっては利用しておきたいサービスと言えます。コインチェックは17種類の暗号資産(ビットコイン、イーサリアム、XRP、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、リスク、イーサリアムクラシック、モナコイン、ネム、ファクトム、ステラルーメン、クアンタム、BAT、IOST、Enjin Coin、OMG、PLT)を取り扱っています。これらの中でPoSを採用しているものにはリスク以外にクアンタムやネム、IOSTがありますが、現時点でコインチェックのステーキングサービスはLSKに限定されています。
ステーキングは要件がネットワークによって異なり、中には罰則を設けているブロックチェーンもあります。簡単に導入できるものではないので、「コインチェックがステーキング対応の資産を追加するだろう」と安易に期待しないほうが良いでしょう。興味をお持ちの方は自身でウォレットを取得してステーキングをするほうが早いことには注意して起きましょう。手数料がかからない分、利率的にもお得になるのではないかと思います。
暗号資産は種類毎に目指しているビジョンや性質が異なります。それぞれのプロジェクトの開発、採用、性能を見定める部分も、暗号資産投資の醍醐味です。ステーキングという切り口で興味を持った方は、ぜひ個別のプロジェクトについてリサーチしてみてください。
立花 佑
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