TCFD提言に基づいた情報開示が加速。ブルームバーグが69カ国・1650社以上の報告書を調査

ブルームバーグは10月14日、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が「2021年版現状報告レポート(2021 Status Report)」を提出したことを受け、見解を発表した。同レポートの8つの産業における69カ国・1650社以上の報告書を調査した結果、「TCFD提言」に基づいた情報開示は過去1年間で加速し、2018年から19年にかけて4%ポイント増加、19年から20年は9%ポイント増加と加速した。

調査を受けた企業の50%以上が気候関連のリスクや機会を開示しており、同社は「複数の国や地域でTCFD提言に沿った気候関連の報告義務に関する公式発表があったことに加え、 投資家や国際的な基準設定機関、 規制当局によるTCFDへの賛同が得られたのが要因」と見る。しかし「全体的には情報開示は依然として不足している」と付言している。

昨年のレポート以降、TCFDへ賛同する企業・組織の数は3分の1以上増加した。現在、 新たに1000以上の企業・組織がTCFD提言に賛同し、総数は全世界で2600以上、89カ国ほぼすべての経済セクターに及び、時価総額で計25兆1000億ドルと前年比99%増に拡大した。「民間セクターからの賛同が多く得られるにつれ、世界中の政府や組織も法律や規制を通じて気候関連の情報開示を義務付ける方向に進み始めている。今年だけでも8つの国・地域の公的機関が気候関連の報告を義務付けることを発表する際にTCFDを言及している」と同社は注目する。G7やG20の財務大臣や中央銀行総裁、IFRS財団、欧州委員会といった国際的な基準設定機関や規制当局もTCFD提言に沿った取り組みへの賛同を表明した。

TCFDはレポートとともに発表した実施ガイダンス(付録文書)の改訂版を発表した。改訂版の発表は2017年の初版の以来初めて。 改訂版では、TCFD提言の「戦略」「指標」「目標」の中で推奨されている特定の情報開示について、あらゆるセクターに対する実施ガイダンスの具体的な要素と、金融セクターに対する補足ガイダンスが更新されている。

報告書の比較可能性を高めるため、財務的影響を評価する上で特に重要な7つのカテゴリにおける業界横断的な指標を紹介している。スコープ1、スコープ2、スコープ3の温室効果ガス排出量、気候関連の移行や物理的なリスクと機会に関する指標、資本分散、内部炭素価格、 報酬などを含む。また、ネットゼロエコノミーへの移行を目指す企業の計画に関する情報開示なども追加している。 また、財務諸表を作成する企業が意思決定に役立つ情報を開示し、それらを財務的影響の推定値と関連付けることができるよう「指標」「目標」 「移行計画」に関するガイダンスを公表。利用者が投資、 融資、 引受業務のリスクをより適切に評価するのに役立ち、 ネットゼロに向けた道筋や進捗状況を知ることができるよう配慮した。

TCFD は15年12月、金融安定理事会(FSB)が、産業界主導によるタスクフォースとして設立、議長はブルームバーグ創業者のマイケル・R・ブルームバーグ氏で、現在、32名の参加メンバーで構成されている。提言報告書は、企業が貸し手、保険会社、投資家などのステークホルダーへの情報開示のため策定され、17年6月に公表された。

【関連サイト】ブルームバーグ

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HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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