今回は、Skeb CoinのIEO検討について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- Skebとは?
1-1.Skebの概要
1-2.Skebのサービス内容 - IEOの概要とメリット・デメリット
2-1.取引所が審査を行うので信頼性が高い
2-2.安値で購入できるので値上がり期待が持てる
2-3.発行元のサービスの宣伝広告を代行する - SkebがIEOを利用する狙い
3-1.宣伝広告としての活用
3-2.ブロックチェーン技術を使ったサービス展開
3-3.発行元のサービスの宣伝広告を代行する - Zaif(ザイフ)とは?
4-1.Zaifの取扱い銘柄 - まとめ
22年6月、日本でイラストコミッションの支援サービスサイト『Skeb』を運営する株式会社スケブが、暗号資産(仮想通貨)取引所Zaifを運営する株式会社カイカエクスチェンジとIEOの実施を検討する覚書を締結したことを発表しました。Skebは、140文字以内でイラストを有償依頼することができるサービスです。
今回は、ZaifでのIEOを検討するSkebのサービス概要、IEOを行うメリット、また、SkebがIEOを利用する狙いなどについて解説していきます。
①Skebとは?
1-1..Skebの概要
17年8月に設立された株式会社スケブが運営するSkeb(スケブ)は、国内外から日本のクリエイターに対して、イラストや音声、映像等を有償でリクエストすることができるコミッションサービスです。
100以上の言語に対応した自動翻訳機能と越境決済機能によって、利用者の約30%が海外からとなっています。22年6月現在で、登録者数は約210万人、クリエイター登録者は約11万人、月間取引高4億円以上と、コミッションサービスの規模としては国内最大級となってます。サービス利用手数料も業界最安値である、6.8%〜ということに加えて、最短翌日入金という、入金スピードの速さも人気の理由となっており、現在も利用者が増え続けています。
1-2.Skebのサービス内容
Skebは、クリエイターがイラストや映像などのコンテンツを有償で販売するサービスになりますが、抱えているクリエイターは日本人が中心です。
クリエイターにコンテンツをリクエストする顧客は、日本だけでなく、海外も視野に入れています。Skebは、100以上の言語に対応している自動翻訳機能と、海外の顧客でも決済を可能にする越境決済機能を備えているため、利用者の約30%が海外からの顧客と言われています。
②IEOの概要とメリット・デメリット
IEO(Initial Exchange Offering)とは、プロジェクトの資金調達を目的に仮想通貨取引所のユーザーを対象に行うトークンセールです。セール後にはトークンが仮想通貨取引所で上場するため、証券会社が幹事となって株式を公開するIPOと似た仕組みになっています。
IEOは、以下のようなプロセスで実施されます。
- プロジェクトがトークンを発行
- 仮想通貨取引所がトークンを引き受け、指定価格で投資家に販売
- 仮想通貨取引所でトークンが上場、一般取引が開始される
投資家としては仮想通貨取引所のデューデリジェンスをクリアした信頼性の高いプロジェクトの資金調達に参加できます。プロジェクトとしては、早い段階で取引所の正規ユーザーにリーチできます。このようにIEOはプロジェクトにとっても投資家にとっても相互にメリットがある仕組みとなります。
メリット | デメリット |
・販売主体が仮想通貨取引所なので信頼性が高い ・プロジェクトの実現可能性についてある程度信用できる ・日本暗号資産取引業協会(JVCEA)でも審査が行われる ・IEO後に仮想通貨取引所でトークンが上場する ・プロジェクトにとって、マーケティングのプロセスや顧客対応のコスト削減につながる |
・プロジェクトは仮想通貨取引所に委託手数料を支払う ・プロジェクトの初期段階であり、将来性を約束するものではない |
2-1.取引所が審査を行うので信頼性がとても高い
IEOは、仮想通貨取引所が上場するにふさわしいサービスか審査した上で上場を許可するので、信頼性が高いです。
一昔前であれば、上場するにあたってはICOが主流でしたが、詐欺まがいの案件も多かったことから、今ではIEOが主流になりつつあります。ICOでは、発行元が上場前の暗号資産だということを理由に、上場した時の値上がり期待を抱くユーザーに仮想通貨を購入させるが、結局上場はせず投資した仮想通貨を持ち逃げするという事例が多くありました。
しかしIEOでは、しっかり仮想通貨取引所が発行元のサービスの審査を行うことに加えて、上場する日も決まっているため、非常に信頼性が高いです。
2-2.安値で購入できるので値上がり期待が持てる
仮想通貨取引所のユーザー視点でいくと、値上がり期待が持てるというメリットがあります。
上場したばかりの仮想通貨は、基本的に一時的に値段が上がる傾向にあるため、上場したばかりの仮想通貨を安値で購入して、高値で売却出来る可能性があります。事業に将来性を期待される場合、その後も順調に値上がりしていくこともあるため、いずれの場合においてもユーザーには大きな恩恵があります。
2-3.発行元のサービスの宣伝広告を代行する
IEOを行うと、仮想通貨取引所が、IEOを実施することをユーザーに宣伝しますが、これは発行元のサービスの宣伝を行なうことにもなるため、サービスの宣伝広告を代行していることになります。
発行元からすると、自分のサービスの認知が広がることはとてもメリットとなるため、IEOはサービスの宣伝広告という観点からも大きなメリットを発行元にもたらします。
③SkebがIEOを利用する狙い
3-1.宣伝広告としての活用
SkebがZaifにてIEOを行う理由の一つとして宣伝広告としての活用が挙げられます。
前述したように、IEOは仮想通貨取引所が発行元の厳重な審査を行なった上で自社の取引所に上場することを許可します。IEOすることを交換所が許可すれば、仮想通貨取引所であるZaifが新たなサービスをIEOするとユーザーに発表します。これは、Skebにとっても自社のサービスの大きな宣伝効果になります。
このように、自社のサービスを宣伝広告に回すことなく、宣伝することが出来るので、これはSkebにとっても大きなメリットになります。
3-2.ブロックチェーン技術を使ったサービス展開
Skebは、Skeb Coinという仮想通貨をIEOにてローンチする予定ですが、このSkeb Coinはもちろんブロックチェーン技術が搭載されています。
Skebは、クリエイターによる『表現の自由』をミッションとして掲げています。ここにブロックチェーン技術が果たす役割は非常に大きいと言えるでしょう。ブロックチェーン技術を介さない決済サービスの中では、中央集権的なプラットフォーマーが規制対象となるため、表現の自由を確保することが困難な場合があります。
例として21年2月に出版会社が商品の表題に問題があるとして、大手クレジット会社の決済サービスが停止された事例がありました。出版会社は、『◯◯殺人事件』という表題を扱っていたのですが、この表現がクレジットカード会社のコンプライアンスに違反したとして、クレジットカード決済を取り止められました。
こうした中、新たな決済手段としてのブロックチェーンに注目したのがSkeb Coinです。既存のSNS上でクリエイターへ投げ銭が可能となる新サービス(現在開発中)での利用や、Zaif Paymentでの決済可能資産にSkeb Coinを追加するなど、Skebをはじめとした国内のECサイトでの決済に利用できるユーティリティトークンとしてSkeb Coinが発行される予定です。
①Zaif(ザイフ)とは?
Zaifは株式会社カイカエクスチェンジが運営する仮想通貨取引所です。Zaifは2016年4月に設立後、2017年9月に暗号資産交換業登録を行いました。取引サービスとしては、初心者にとって使いやすい販売所(簡単売買)と、短期トレーディングにも使いやすい取引所(Orderbook Trading)を利用できます。主要な仮想通貨だけでなく、COMSA(CMS)やコスプレトークン(COT)など、国内では取り扱いの少ないトークンも積極的に揃えており注目度の高い取引所です。
Zaifの取扱い銘柄
簡単売買の取り扱い銘柄 | 24種類:ビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、モナコイン、ネム、ポルカドット、シンボル、フィスココイン、カイカコイン、ネクスコイン、ザイフトークン、カウンターパーティートークン、コムサ・ネム、コムサ・イーサリアム、コスプレトークン、ポリゴン、トロン、クレイ、ディープコイン、MV、ロンド、マーブルエックス、スケブコイン、ボラ |
Orderbook Tradingの取り扱い銘柄 | 19銘柄:ビットコイン、イーサリアム、モナコイン、ネム、ポルカドット、シンボル、フィスココイン、カイカコイン、ネクスコイン、コスプレトークン、ポリゴン、トロン、クレイ、ディープコイン、MV、ロンド、マーブルエックス、スケブコイン、ボラ |
④まとめ
Skebは、ZaifでIEOを行うことによって、サービスの認知拡大やブロックチェーン技術を使ったサービスの拡大を視野に入れています。
昨今、大手プラットフォーマーによる表現の規制が大きな問題になっていてクリエイター達も頭を悩ませています。Skebはこういった問題を解決するにあたって、ブロックチェーン技術を活用して表現の自由があるコミッションサービスを運営するためにZaifでのIEOを行う予定です。
Skebは今後エアドロップなどによるSkeb Coinの配布も視野に入れており、今後の動向に注目が集まります。
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中島 翔
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