グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンドの投資先や銘柄選定プロセスは?手数料や成績推移も

グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンドは、2020年7月にアセットマネジメントOne株式会社が設定したアクティブファンドです。投資対象は、世界の株式の中から企業の競争優位性、成長性、ESGへの取り組みなどの評価に基づき選定した企業です。手数料体系は、販売手数料が3.3%(税込)、信託報酬が1.848%(税込)、解約時信託財産留保額が0.3%です。

以下、詳しく各項目に分けて解説していきます。

目次

  1. グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンドの特色
  2. 投資銘柄を選定する際のプロセス
  3. 運用成績と純資産額の推移
  4. 保有銘柄(TOP10)
    4-1.HDFC銀行(HDFC)
    4-2.サービスナウ(NOW)
    4-3.ウーバーテクノロジーズ(UBER)
    4-4.アドビ(ADBE)
    4-5.ウォルト・ディズニー(DIS)
  5. まとめ

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

1 グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンドの特色

グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンドの特色としては、以下の3点があげられます。

  1. 主として世界中の上場株式に投資し、為替ヘッジをしない。
  2. グローバルESGハイクオリティ成長株式マザーファンドへの投資を通じて株式投資を行う。
  3. ポートフォリオの構築にあたっては、投資アイデアの分析・評価や、個別企業の競争優位性、成長力、ESGへの取り組を基準に選定し、その中から市場価格が割安と判断される銘柄を厳選。

2 投資銘柄を選定する際のプロセス

投資対象の銘柄を選定する際のプロセスは、(1)投資アイデアの創出、(2)クオリティ分析、(3)理論価格の算出、(4)ポートフォリオの構築・リスク管理の4段階です。それぞれ見ていきましょう。

(1)投資アイデアの創出

投資アイデアの創出は以下5項目を基に行われます。

  1. 運用チームによる財務諸表の定量スクリーニング、経営者や業界専門家との面談。
  2. 運用チームの有する情報ネットワークの活用。
  3. 成功企業のビジネスモデルを他企業にあてはめて、新規の投資アイデアの発掘につなげるパターン認識。
  4. 新しい価値が既存の価値にどのようなインパクトを与え、長期的かつ巨大な変化になるのかを見極めるディスラプティブ・チェンジ分析。
  5. 長期的に企業の競争優位性や企業価値を高めるような、環境および社会的課題を特定、取り組み状況を調査するESG評価。

(2)クオリティ分析

クオリティ分析は、5つの観点(競争優位性、ディスラプティブ・チェンジ、成長性、財務健全性、ESG評価)から総合的に判断するとしています。

(3)理論株価の算出

理論株価を算出し、市場価格と比較し、割安銘柄を選定しています。

(4)ポートフォリオの構築・リスク管理

ポートフォリオを構築する際には、ESG評価の観点から環境や社会に望ましくないと考えられる業種や、企業統治の面で評価が劣る企業などを排除しています。

3 運用成績と純資産額の推移

2022年9月27日時点の基準価額は9,249円、純資産額が7,812.94億円です。騰落率(設定日=2020年7月20日)がマイナス7.51%、直近1年間はマイナス28.17%です。

日米主要株式指数の騰落率は、2020年7月20日を基準とした場合、日経平均株価がプラス15.2%、S&P500指数がプラス14.3%、直近1年間では日経平均株価はほぼ0%、S&P500がマイナス6.5%です。

グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンドの運用成績は主要な指数を下回っています。米国がインフレ対策として金融引き締め政策を取っているため、成長株が大きく下落したことが一因です。

4 保有銘柄(TOP10)

2022年7月末時点の保有株を見ていきましょう。ファンドは月次レポートを公表しており、運用成績や保有銘柄の確認ができます。

7月末時点の組入銘柄数は24銘柄で、組入上位10銘柄はHDFC銀行(印)、サービスナウ(米)、ウーバーテクノロジーズ(米)、アドビ(米)、ウォルト・ディズニー(米)、アマゾン・ドット・コム(米)、ノボ・ノルディスク(デンマーク)、セールスフォース(米)、クーパン(米)、ビザ(米)です。

ここでは、上位5銘柄のESGへの取り組みや、財務内容などを見ていきましょう(以下、株価は2022年9月27日時点のものです)。

4-1 HDFC銀行(HDFC)

HDFC銀行はインドの民間銀行最大手で、ファンドの組入れ比率は8.7%と最大です。

同行は、カーボンニュートラルを2032年度までに達成する目標を掲げています。融資の際には、環境・社会・ガバナンスに重点がおかれています。

太陽光発電を利用したATMなどテクノロジーを導入。同時に、貧困の削減、飢餓ゼロの達成、清潔な水と衛生設備の提供や質の高い教育など持続可能なコミュニティ構築に力を入れています。

2022年度の純収益は1兆895億ルピー(前期比1.1%減)、EPSは124.97ルピーです。株価*は2,289.15ルピーで、2021年12月に付けた高値3,061.21ルピーの約75%の水準です。予想PERが20.88倍と銀行銘柄しては高いため、株価には割高感がありそうです。

4-2 サービスナウ(NOW)

サービスナウは米国の企業で、企業の業務を効率化するデジタルワークフローを提供している会社です。

ESGへの取り組みとしては、社員や顧客、コミュニティへの支援が挙げられます。例えば、社員が寄付をした場合、同社が同額を上乗せしています。

また、クリーンエネルギーを優先し、炭素の排出量を削減して環境への負荷削減につとめたり、不要となった機器を再利用し、リサイクルするための作業プロセスを開発したりしています。

2021年度の売上高は58.96億ドル(前年比30.4%増)、純利益が2.3億ドル(前期比93.2%増)と好調です。過去5年間の平均売上成長率が31.4%と成長過程にあるようです。

株価は378.95ドル、予想PERが51.84倍と、株価の水準には割高感があると言えそうです。

4-3 ウーバーテクノロジーズ(UBER)

ウーバーテクノロジーズは、世界各地でアプリ上での配車サービスやウーバーイーツを展開する米国企業です。

ESGへの取り組みとしては、2040年までに世界的に使用車両の100%をゼロエミッション車両に転換することを目指していることが挙げられます。また、乗客が配車サービスを利用する際に、ハイブリッド車や電気自動車を指定できるサービスを提供しています。

米国内の同社オフィスで使用するエネルギーには100%再生可能エネルギーが使われています。

2021年度の売上高は174.5億ドル(前年比56.7%増)、純利益がマイナス4.96億ドル(前年マイナス67.68億ドル)です。売上高は大きく伸び、純利益は改善方向にあるようです。株価は27.57ドルで、2021年2月の高値64.05ドルから57%下落しました。

相場の格言に「半値八掛け二割引」があります。相場が下落局面を迎えた時の底値の目安とされ、今回のケースでは20.50ドルです。株価の下値は近いかもしれません。

4-4 アドビ(ADBE)

アドビは米国のソフトウェア・メーカーで、画像編集ソフトウエアなどを提供しています。

ESGの取り組みとしては、世界的に性別や民族間における給与の標準化を実施しました。また、使用エネルギーの100%を2035年までに再生可能エネルギーで調達することを目指しています。

2021年度の売上高は157.85億ドル(前年比22.66%増)、純利益が48.22億ドル(前年比8.3%減)でした。株価は277.57ドル、予想PERが20.38倍です。予想PERが20倍を超しているので、株価は割高な水準であると言えそうです。

4-5 ウォルト・ディズニー(DIS)

ウォルト・ディズニーは、世界的エンターテインメント企業です。遊園地の運営を初め、メディア・ネットワークや映画、インタラクティブメディア配信などを世界中で展開しています。

ESGの取り組みとしては、2018年に米フロリダ州に同社が所有する4つのテーマパークのうち、2つで使用する電力量に相当する太陽光発電施設を導入しました。

また、ディズニー保全基金を設立し、野生動物の保護活動に取り組んでいます。その他、施設内での食料品の袋、ペットボトル、金属製のストローなどの再利用可能なアイテムを使用することで、使い捨てプラスチックの使用を減らしています。

2021年度の売上は674.18億ドル(前年比3.1%増)、純利益が19.95億ドルで前年のマイナス28.64億ドルから黒字転換しました。

株価は95.85ドル、予想PERが25.96倍です。2021年3月に史上高値(203.02ドル)を付けたのち下落基調にあります。株価はコロナショック時の安値(79.07ドル)が視野に入ってきたようです。

一方、黒字転換したことで、復配が株価上昇の転換点となりそうです。

まとめ

注目されているESGですが、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」の運用成績は主要指数を下回っています。米国連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを抑えるために利上げに踏み切ったことがきっかけで、世界各国で株式市場が下落しています。

現時点では運用成績が良くないものの、ESGは株式市場においても重要なテーマであるため、今後の動きに期待がもたれます。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。