ビットコインとイーサリアムの違いとは?初心者でもわかる主要仮想通貨の比較

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筆者は前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、マーケットサイドで長年携わってきました。トレーディングの視点も盛り込みながら、仮想通貨自体の特徴を踏まえて解説していきます。

仮想通貨には、法定通貨のように価値の貯蔵手段や決済手段として作られたものから、決済スピードを早めるためのもの、プラットフォームの動かすためのトークン等利用方法は様々です。ここでは主要通貨であるビットコインとイーサリアムの2つに絞ってどのような違いがあるのかを解説したいと思います。

目次

  1. ビットコインとイーサリアムの比較・違い
    1-1. 「決済手段」のビットコインと「プラットフォーム」のイーサリアム
    1-2. コンセンサスアルゴリズムの比較・違い
    1-3. ブロック生成時間の比較・違い
    1-5. 発行枚数の比較・違い
    1-6. 通貨単位の比較・違い
  2. ビットコインとイーサリアムは本質的にまったく別のもの

ビットコインとイーサリアムの比較・違い

最初にビットコインとイーサリアムの違いを表にしてまとめてみました。この表の順番に1つひとつ解説していきたいと思います。

ビットコイン イーサリアム 比較

「決済手段」のビットコインと「プラットフォーム」のイーサリアム

ビットコインとイーサリアムの大きな違いはこの決済手段かプラットフォームなのかという点が一番のポイントとなります。

ビットコインの特徴

ビットコインは冒頭で述べた価値貯蔵の手段、そして物の対価として支払うための決済手段という法廷通貨の代替としての役割を、中央集権的な状態から抜け出すために作られたと言われています。中央集権的という意味は、誰かがその通貨を管理しており、管理下でユーザーが利用している状態と考えるとわかりやすいでしょう。しかしビットコインは中央集権的なものではありません。そのためビットコインは需要が高まることとなりました。

しかしビットコインはご存知の通り、価格の値動きが大き過ぎることから、価値の貯蔵手段としては変動が大き過ぎるために利用できず、現在は価値貯蔵の手段という役割ではなく、投機商品の1つとして利用されている面が大きくなっています。自国通貨の信任がない(自国通貨の下落リスクが大きい国々)国の国民は資産を守るために自国通貨を売ってビットコインを保有し、通貨としての価値貯蔵の手段のいう認識で保有している国々もある様子ですが、これはあくまでイレギュラーな動きと言えるでしょう。
コモディティのゴールドと同じように危険な時に保有すべきリスク回避手段としてのアセットとして認識されようとしている状態でもあります。

イーサリアムの特徴

次に、イーサリアムはというと、これはビットコインのような通貨を指す言葉ではなく、プラットフォームの名称となっています。このイーサリアムという分散型プラットフォームの中で利用される「燃料」のようなものが、私達が仮想通貨取引所で取引しているether(イーサ)と呼ばれるトークンなのです。

イーサリアムの大きな特徴はスマートコントラクトです。これは契約をプラットフォーム上で締結し、あらかじめ契約内容や履行義務をプログラム上で入れておくことで手続きを簡便化することができるようになります。スマートコントラクトを簡単に説明すると、「人が手を入れずに契約を正確に完結できる仕組み」です。

イーサリアムはあくまでプラットフォームであり、技術の汎用性のあるものになっています。そのためこの技術を用いて新しいトークンの発行が行われる等イーサリアムのベースとなる技術が利用されて生み出されているものの数多くあります。
このように同じ仮想通貨取引所で売買されているものでも、使われ方やその通貨の特徴は大きく違うものです。

コンセンサスアルゴリズムの比較・違い

コンセンサスアルゴリズムとは簡単に説明すると「発生した取引が正しいものであると合意するための方法」を指しています。仮想通貨は中央集権的な仕組みではないため、ノードの取引承認を誰かしらが行う必要があります。その取引の承認方法としてPoW(Proof of Work:プルーフ・オブ・ワーク)やPoS(Proof of Stake:プルーフ・オブ・ステーク)等様々な合意方法が存在します。

ビットコインが採用している方法はPoWと呼ばれている方法です。これはマイナーがマイニングをすることで、一番早く正しい答えを導き出した人に報酬を与えるというものです。一方で、イーサリアムはビットコインと同様のPoWですが、今後PoS承認方法に変更となります。

PoSとは通貨の保有している量に比例して新たなブロックを生成し承認する権利が付与されます。PoSはPoWで問題となっている電力消費による環境への影響から考え出されたコンセンサスアルゴリズムです。しかし、両者ともにメリット、デメリットがあるため一概にどちらがいいとは言えません。

ブロック生成時間の比較・違い

両者の違いとしてこの点も大きいと言えるでしょう。ブロックチェーンでは、取引内容が入ったブロックがチェーンのように連なっており、ある程度の取引数が積み上がると次のブロックが生成されます。この時間が両者で違います。

ビットコインのブロック生成時間は10分毎です。そのため送金作業等行ってもすぐに着金しない経験がある方は理解しやすいかもしれませんが、この次のブロックが生成されるタイミングで送金が完了します。そのため最低10分以上はかかることになります。

これに対し、イーサリアムは約15秒程度と言われています。ビットコインと比較すると40分の1程度のスピードで完了するため、大きな違いなのが理解しやすいでしょう。取引の承認に時間がかかることがビットコインのデメリットということで紹介しましたが、この点を改善させたのがイーサリアムです。

発行枚数の比較・違い

ビットコインの発行上限は2,100万枚と決まっています。そのためそれ以上の発行はないため、ある意味有限資産として着目されてきました。そのためマーケットでも、リスク回避資産のゴールドと同じような動き方をするのではないかと思われていた部分もありますがこの点についてはまだ明確ではありません。イーサリアムは現在発行上限が定められていません。しかし今後どこかで設定される可能性もあるためアップデート待ちという状況です。

通貨単位の比較・違い

通貨単位の最少桁数はビットコインが0.00000001BTCに対してイーサリアムは0.000000000000000001etherが最少単位となっています。そのため取引の桁数を見たときにどの通貨が安いかを比較しにくいことに注意しましょう。見た感じは相当小数点が多いから安いと思われがちかもしれませんが、そもそも通貨によって最少単位が違うため、比較しにくいのが仮想通貨の特徴です。

ビットコインとイーサリアムは本質的にまったく別のもの

ビットコインとイーサリアムは、仮想通貨取引所では同じように投資対象として売買されているため、何も知らない場合は「デジタル通貨」というくらいしか印象がないと思います。しかし、両者はそもそもの本質的な役割というものが全く違い、このような違いがありながらも、同じように売買されているのが仮想通貨マーケットの特徴とも言えるでしょう。

今回はビットコインとイーサリアムの2つに絞ってご説明しましたが、実際にはリップルのような決済スピード、利便性を高めるためのものであったり、匿名性をより求められて作られた仮想通貨等色々種類があります。もし仮想通貨というそのもの自体に興味を持たれた方がいましたら一度調べて見て、様々な違いを勉強して理解することも面白いでしょう。

仮想通貨のファンの中ではこの本質的な特徴を理解して、どんどん惹き込まれる方も多いです。実際はどれも人の利便性向上や、人間が「こういうのがあれば面白いのに」という点を解決すべく作られたものが多いので色々レポート等チェックしてみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12