大阪ガスのESG・サステナビリティの取り組みや将来性は?株価・配当推移も

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国連でSDGsが採択されて以降、ESGやサステナビリティを重視する流れは強まっています。企業も自社の利益追求のみならず、環境や人権など幅広い課題の解決に貢献するよう求められています。

エネルギー事業はサステナビリティと非常に大きな関連がありますが、大阪でガス供給事業を展開する大阪ガスは、どのような取り組みを行っているのでしょうか。今回は大阪ガスのESGの取り組み、長期の株価推移や近年の業績について解説します。


※2023年2月24日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 大阪ガスの概要
  2. 大阪ガスのESGに関する取り組み
    2-1.エネルギーの低・脱炭素化
    2-2.再生可能エネルギーと親和性の高い都市ガスシステム
    2-3.エネルギーレジリエンスの確保
  3. 大阪ガスの10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. 大阪ガスの将来性
  5. 大阪ガスの配当・優待情報
  6. まとめ

1.大阪ガスの概要

銘柄 大阪ガス
証券コード 9532
株価 2,193円
PER(会社予想) 25.32倍
PBR 0.67倍
配当利回り(会社予想) 2.74%

※2023年2月24日のデータ

大阪ガスは1897年設立、1905年に事業開始したエネルギー企業です。従業員数は単体で3,000名以上、連結では20,000名以上の規模となっています。

以前は「大阪ガスグループ」として運営していましたが、2018年に「Daigasグループ」に生まれ変わりました。Daigasグループではコミュニケーションワードとして「持続可能な社会を実現するために進化を続けます」を掲げており、サステナビリティ重視の一端が見受けられます。

Daigasグループの主要な事業は国内エネルギー供給事業で、以下の領域に及びます。

  • 都市ガスの製造・供給および販売
  • ガス機器販売
  • ガス配管工事
  • LNG販売
  • LNG輸送
  • LPG販売
  • 産業ガス販売
  • 発電および電気の販売

Daigasグループは、近畿エリアの都市ガス供給事業を手掛けています。都市ガスの普及拡大と安定供給能力向上のため、計画的にガス導管網を整備・拡充しています。24時間体制でガスの供給状況を一元的に監視・制御し、通報に対しても迅速に出動できる体制を構築しています。

2.大阪ガスのESGに関する取り組み

ガスなどのエネルギー事業は、サステナビリティの特に環境面で積極的な取り組みを求められている分野の1つです。ここからは、大阪ガスにおけるカーボンニュートラルに向けた取り組みをいくつか紹介します。

2-1.エネルギーの低・脱炭素化

産業用のエネルギー事業では石炭や石油が多く利用され、CO2排出量も多くなっています。大阪ガスではこれらの領域において、天然ガス、将来的にカーボンニュートラルメタンを活用することによって、CO2削減やカーボンニュートラルの実現に貢献可能と考えています。

そのための取り組みの1つが「リジェネバーナシステム」で、工業炉において非常に高い効率で排熱回収を行える燃焼加熱システムです。高い燃費削減効果から、省エネルギー・CO2削減の切り札として、高温の炉に採用され普及しています。

例えば1200℃の排気から1000℃以上の予熱空気を得られ、この場合は約50%もの省エネルギー(排熱回収無しと比較した場合)が達成できます。大阪ガスでもリジェネバーナシステムの累計販売実績台数は年々増え続けています。

2-2.再生可能エネルギーと親和性の高い都市ガスシステム

発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギーは、日本において将来的に主力電源になる可能性があります。その一方で、太陽光発電や風力発電は、日射量や風の強弱などの気象条件に大きく左右されることから、電力系統の需給バランスの調整問題が生じます。

燃料電池は発電出力を自由に制御できる特徴があり、再生可能エネルギー大量導入社会における需給調整に貢献できるリソースとして注目されています。そこで大阪ガスでは、再エネだけでなく、燃料電池などの分散型電源との併用が重要と考えています。

同社は、家庭用燃料電池「エネファーム」によるバーチャルパワープラント(VPP)構築実証実験を開始しました。家庭用燃料電池エネファーム約3,600台をエネルギーリソースとして、あたかも1つの発電所のように制御するバーチャルパワープラント(VPP)を構築し、需給調整に活用する実証実験です。

2-3.エネルギーレジリエンスの確保

レジリエンスとは、回復力や弾性(しなやかさ)を意味する単語です。レジリエンスが高いほど、困難な問題や危機的な状況に遭遇しても短期間で立ち直ることができます。近年の自然災害の増加で、エネルギーでもレジリエンス確保の重要性が認識されるようになりました。カーボンニュートラルは複数のエネルギー源を持つことも重要なため、レジリエンスは関連深いテーマです。

大阪ガスが低酸素社会の実現のため取り組んできたのが、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの「エネファーム」です。2020年4月に発売された新製品は、発電効率55%、小型化による設置性の向上、耐久性の向上などが特徴です。

それに加え、レジリエンス機能として自立運転機能も備えています。発電中に停電すると90秒後に自動で自立運転に切り替わり、専用コンセントに出力を開始し、700Wの電気を取り出すことが可能です。

停電中でもある程度発電機能を継続できることで、台風などの気象災害の際にも役立ちます。さらに「ヒーター給湯モード」により、都市ガスの停止中にも温水を使用できるようになりました。

3.大阪ガスの10年間の株価推移と業績

ここからは、大阪ガスの株価推移と近年の業績について解説します。

3-1.10年間の株価推移

同社の10年間の株価推移を見ると、結論としては横ばいとなっています。2014年から205年前半にかけて上昇しましたが、2015年後半に下落して元の水準に戻りました。2022年に高騰して2,500円以上になりましたが、その後すぐ下落しました。

この10年間はおおむね2,000円前後で推移しており、下落こそしていないものの、上昇もしていない結果となっています。

3-2.業績

直近6年間の業績推移は下記のとおりです。

項目 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
売上高 11,838 12,962 13,718 13,686 13,641 15,868
経常利益 962 770 631 860 1,277 1,104
当期純利益 612 440 336 449 808 1,282

※いずれも連結の数字
※単位:億円(1億円未満は切り捨て)

売上高は、資源価格の高騰などもあり、2021年度は1兆5,000億円を超えるほど増大しました。経常利益・当期純利益も1,000億円以上を記録しています。売上高上昇の背景は世界的なエネルギー価格の高騰で、LNGやガス販売単価の上昇が要因です。

2023年度について売上高は引き続き前年増の見通しですが、経常利益や当期純利益は減益の見通しです。その主な要因が米国・テキサス州のフリーポートLNGプロジェクトでの火災に関する損失拡大です。同社はこちらのプロジェクトに年間232万トンのLNG調達に加え、出資にも参画しています。2022年6月の火災によって操業停止となったため、通期で1,495億円の損失となる見通しです。

4.大阪ガスの将来性

大阪ガスの将来性について、ESGと業績の両面から考察していきます。まずESGに関して、カーボンニュートラルを中心にさまざまな施策を実行しています。同社ホームページでは環境面に関する指標や実績値なども数多く公開されており、情報公開に積極的な姿勢が見られます。

目標値と実績値にまだ大きな乖離が見られる項目もありますが、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、今後もさらなる取り組みの推進が期待されます。中期経営計画でも「ミライ価値の共創」が掲げられ、その中で低・脱炭素社会の実現が挙げられています。

次に業績に関して、近年はほぼ好調を維持しています。2021年は特に売上高が大きく伸び、当期純利益も過去最大を記録しました。資源価格の高騰で国内エネルギー事業も堅調ですが、今後の成長では海外エネルギー事業やライフ&ビジネスソリューション事業が鍵となるでしょう。

5.大阪ガスの配当・優待情報

1株あたり年間配当 2022年3月期実績:57.5円
2023年3月期予定:60円
主な株主優待 なし

1株あたり年間配当について、2023年3月期は60円を予定しています。実現すれば、対前年で+2.5円の増配となります。すでに第2四半期に+2.5円の増配があり、第4四半期は前年と同額の配当が行われれば良いため、増配となる確率は高いと思われます。

まとめ

大阪ガスのESG関連の取り組み、近年の業績や株価推移について解説してきました。ガスや電気などの国内エネルギー事業を中心に展開しており、近畿圏での都市ガス供給を手掛けています。

サステナビリティに関してカーボンニュートラルを中心とした取り組みを行っており、今後もさらなる推進が期待されます。


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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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