【初心者向け】仮想通貨取引所の板情報を理解してトレードの幅を広げよう!基本的な見方・使い方を紹介

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今回は、仮想通貨取引所の板情報について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 板情報の見方
  2. 板情報で短期動向を予測する
  3. 板情報の注意点
  4. 板を使った仮想通貨の買い方
  5. まとめ

仮想通貨取引所では「板情報」を使った使用されます。板を使った売買注文は株式取引でおなじみですが、FX取引しか経験のない方は馴染みがないかもしれません。今回は仮想通貨(暗号資産)をトレードする上で必須知識となる、板情報の見方や注文方法について解説します。

①板情報の見方

板に並べられた売買注文を読むことを「板読み」と言いますが、株式投資で板読みを行わないトレーダーがいないように仮想通貨でも板を理解することは非常に重要です。板読みを覚えるために、まずは板を介した価格決定の仕組みを理解しましょう。

Trading board

この図はコインチェックの板情報をベースに作成したものです。赤の部分が売りの指値(逆指値)注文で、緑色の部分が買いの指値(逆指値)注文の価格と数量となります。この場合、「6,652,266円で買いたい人」も「6,550,010円で売りたい人」もいない場合は価格は動きません。

「価格×数量」で価格毎の注文総額を算出できます。つまり、6,652,266円で0.05BTC(332,613.3円分)まで買う事ができますが、さらに0.05BTC購入する場合は6,652,280円のレートで購入する必要があります。こうして価格は上昇する事になります。

仮に1.0BTCの成行買い注文を出すと、以下のように合計1.0 BTCに達するまで売り注文の価格が近い順に約定します。

  • 6,652,266円で、0.05BTC=332,613円分の約定
  • 6,652,280円で、0.05BTC=332,614円分の約定
  • 6,652,282円で、0.9BTC=5,987,054円分の約定

この時の平均取得単価は6,652,281円となります。取引直後の売値は6,552,286円となり、購入以前と比べて価格は20円上昇することとなります。なお、仮に6,652,266円に1.0BTC以上の売り板があった場合は、6,652,266円で購入できます。

買い注文の場合も同様の仕組みで価格が動きます。

②板情報で短期動向を予測する

注文数量をリアルタイムで反映する板情報を利用して、相場の動向を予測することができます。板に表示されている注文量を参考に、数秒間の超短期で価格がどちらに向かいやすいか推測するということです。

注文量が多い価格帯を消化するには、相応の反対注文が必要となるため、注文量が少ない価格帯よりも動きづらくなります。このような価格毎の注文量は「板の厚み」と呼ばれ、トレーダーに意識される事になります。

仮想通貨トレーダーは板情報を必ず見て、どの価格が厚くなっているかを確認します。

Trading board1

上図の例だと、6,647,231円に23.0BTCの買い注文がいるため、これ以上は下がりづらいと判断するのが一般的です。このような状況の時は、売りたいと思っているトレーダーは一旦見送ろうと考えたり、買いを考えているトレーダーもここまで下がるのを待って買いに入ろうとします。

③板情報の注意点

板の厚みだけを頼りにトレードするのはリスクもあります。仮想通貨市場では「見せ板」と言う相場操縦の手法も横行しているからです。株式投資の場合は指値注文の量が制限されていますが、仮想通貨にはそのような制限は今のところありません。

先ほどの例で言えば、6,647,231円に取引価格が近づいた段階で23.0BTCの買い注文がキャンセルされ、同時に大量の売り注文が入り、価格が急激に下がるような状況が起こりえます。これがいわゆる「見せ板」と呼ばれるものです。

このケースでは、23.0BTCの買い注文は相場を操作しようとするトレーダーが仕掛けたもので、含み損を抱えているトレーダーが価格の下落を防ぐ目的で使う他、一気に大量の売り注文を入れることで市場のロングポジションを損切りさせ、さらに価格が下がったところでショートを利確するなど様々です。

大量の注文が入っている価格帯は、そのような意味でも注意が必要になります。

④板情報を使った仮想通貨の買い方

以上を踏まえて、取引所では次のような買い方をお勧めします。

①細かく分けて注文を成立させる

2021年にかけて大きく資金が流入している仮想通貨市場ですが、それでも2021年4月時点の時価総額は160兆円前後(約1.5兆ドル)で、米アップル社の株価(時価総額3兆ドル越え)にも届いていません。

日本国内の仮想通貨取引所がそれぞれ設置している板情報の流動性の低さが分かると思います。ビットコインならまだしも、アルトコインの中には数百万円程度の注文でも価格を10%近く動かしてしまうリスクがあります。

以上を踏まえ、仮想通貨を100万円分購入したいと思っても、10万円ずつ小分けに注文することが重要です。板情報を確認しながら少しずつ購入したほうが価格に大きく影響せずに、平均購入価格を抑える事ができます。

②手数料を考えて成行注文と指値注文を使い分ける

取引所によっては、taker(成行注文)とmaker(指値注文)で手数料が異なる場合があります。基本的にはtakerの方が手数料が高めに設定されているケースが一般的です。そのため成行注文で売買するよりも、指値注文を利用したほうがコストを抑えることができます。

取引所方式と販売所方式は使い分けた方がいい?損をしないために知っておくべきポイント

⑤まとめ

仮想通貨取引所の板情報を使ったトレードは非常に奥が深く面白いものです。板情報を使ったトレードには、「歩み値」や「アイスバーグ注文」など、他にもいくつか知っておいた方が良い知識もあります。他にも色々な板情報のポイントがあるため、自身でも調べて頂くといいでしょう。

仮想通貨取引所の中でも、板情報を利用できる「取引所」は「販売所」に比べて実質的な手数料が少ないため、初心者でも積極的に利用することをおすすめします。取引所はコインチェックやGMOコイン、ビットフライヤー、ビットバンクなどの仮想通貨取引所で利用できます。口座開設をして、取引画面を操作してみてください。経験することが一番の勉強となるでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12