大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の日本法人PwC Japanグループは1月21日、「第23回世界CEO(最高経営責任者)意識調査」の日本調査結果を発表した。PwCグローバルが同日に発表した調査から、日本企業のCEO139名の回答を世界全体や他地域と比較、日本企業が置かれている状況や今後の課題について考察したもの。それによると、世界経済に対して「減速」と回答したCEOの比率は29%から53%まで大幅に増え、「改善」は昨年の42%から22%と大幅に減少、警戒感が広がっている。中国だけは11ポイント伸ばし、84%が「改善する」と回答した。
今後12カ月間の自社の成長に対し「非常に自信がある」と回答した日本のCEOは、昨年の19%から11%に減少。今後12カ月の世界経済の成長が「減速する」と回答した日本のCEOは、昨年の27%から68%へ大幅増、反対に「改善する」という回答は12%で昨年の33%より21ポイント下がり、これは主要国の中で最も低い割合だ。総じて、日本のCEOは世界水準よりも悲観的な見方が強い。
日本のCEOが成長見通しの上での脅威として挙げるのは「鍵となる人材の獲得(53%)」、「技術変化のスピード(47%)」、「貿易摩擦(45%)」および「不透明な経済見通し(45%)」。貿易摩擦が自社に与える影響については「サプライチェーンと調達戦略を調整(32%)」、「成長戦略を代替国・地域にシフト(24%)」となった。
一方で、近年の気候変動とその取り組みについては「自社にとって重要な新しい製品やサービスの機会につながる」「従業員を含む主要な利害関係者に有利な評判をもたらす」「グリーンな投資に対する政府基金や財務的インセンティブから恩恵を受ける」など、企業の成長機会としてとらえていることがわかった。
10年前と比べて、気候変動への取り組みに対する世界のCEOの意識が変化している。「従業員を含む主要な利害関係者に有利な評判をもたらす」との考えに「強く同意する」と回答したCEOの割合は2010年の16%に対し2020年は30%に上昇、「自社にとって重要な新しい製品やサービスの機会につながる」と考えるCEOの割合は2010年の13%に対し、2020年は25%とほぼ倍になった。
日本でも「自社にとって重要な新しい製品やサービスの機会につながる(22%)」「従業員を含む主要な利害関係者に有利な評判をもたらす(19%)」に強く同意する一方、「グリーンな投資に対する政府基金や財務的インセンティブから恩恵を受ける(6%)」という結果で、気候変動への対策次第で、何らかの好影響に繋がると捉えているようだ。
調査は2019年9月~10月にかけて全世界83カ国1581名から回答を得た。データのサンプル数は全ての主要国におけるCEOの見解を公平に反映するため、各国のGDP加重で算出されている。売上高別では10億米ドル以上の企業のCEOが46%、1億~10億未満が35%、1億米ドル未満が15%。非上場企業が55%。日本の回答数は139名で、売上高別では10億米ドル以上の企業が54%、1億~10億未満の企業が42%、1億米ドル未満の企業が1%、非上場企業は55%。
PwCは世界157カ国にグローバルネットワークに27万6千人以上のスタッフを持ち、監査、税務、アドバイザリーサービスを提供している。
【参照記事】PwC Japan、「第23回世界CEO意識調査」の日本調査結果を発表
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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