仏エネルギー大手のトタル・エナジーズ(ティッカーシンボル:TTE)は2022年12月5日、仏蘭エールフランスKLM(AF)と持続可能な航空燃料(SAF)の供給契約を締結した(*1)。2023年から10年間にわたり、100万立方メートル(80万トン)超を供給する。
トタル所有のバイオ精製所でSAFを製造し、エールフランスKLMの主にフランスおよびオランダを出発する航空機に利用する。SAFは化石燃料由来のジェット燃料と比較して、ライフサイクル全体で約80%の二酸化炭素(CO2)を削減できる。
エールフランスKLMは、食料や飼料用途との競合を避けるSAFのみを調達することにコミットする。持続可能なバイオマテリアル円卓会議(RSB)または国際持続可能性カーボン認証(ISCC)の認証を取得し、パーム油に由来しないSAFのみ購入する厳格な調達方針を敷く。
トタルとエールフランスKLMの提携は、14年の「Lab Line for the Future」より開始された。その際には、パリ・オルリー-トゥールーズ間およびパリ・オルリー-ニース間の78便でトタル製SAFを10%使用した。両社は2020年、フランス政府が開始した同国でのSAF産業創出に向けたイニシアティブ「関心表明の呼びかけ(CEI)」に参画した。直近2年間でも、トタルはエールフランスKLMの航空機にSAFを供給した複数の実績を誇る。
トタルのパトリック・プイヤネ会長兼最高経営責任者(CEO)は「バイオ燃料は当社の戦略的優先事項のひとつとなる。航空業界の顧客が利用するエネルギー製品の炭素強度を直接削減することで、顧客と積極的に協働して50年までのネットゼロ達成を目指す」と述べた(*1)。同社は30年までに150万トンのSAF製造を目標として掲げる。
航空業界のCO2を削減するための取り組みのひとつとして、CO2削減効果の大きいSAFの導入に注目が集まっている。2022年8月には、英石油大手シェル(SHEL)と独ルフトハンザ航空(LHA)が、24年から7年間にわたり最大180万トンのSAFの供給に向けて覚書(MoU)を締結した(*2)。同年10月には、国際民間航空機関(ICAO)が50年までに国際線が排出するCO2を実質ゼロにする、気候変動に係る国際航空分野の長期目標(LTAG)を採択した(*3)。
CO2の排出削減が困難な産業(hard-to-abate産業)である航空業界の脱炭素化に向けた取り組みを加速させる。
【参照記事】*1 トタルエナジーズ「TotalEnergies and Air France-KLM sign a Memorandum of Understanding to supply sustainable aviation fuel for 10 years」
【関連記事】*2 英シェルと独ルフトハンザ航空 最大180万tの持続可能な航空燃料供給に向けて覚書締結
【関連記事】*3 国際民間航空、50年CO2排出実質ゼロへ。国連の専門機関で目標採択
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