英BP、EV充電ステーション導入でマークス&スペンサーと独占契約。低炭素交通後押し

英石油大手BP(ティッカーシンボル:BP)と英小売り大手マークスアンドスペンサー(MKS、以下M&S)は12月8日、英国内のM&S店舗でBPの電気自動車(EV)充電ステーション「bp pulse」を導入する独占契約を締結したと発表した(*1)。向こう2年間でM&S70店舗に900基の導入を目指す。

今回の導入により、bp pulseおよび英国の充電ネットワークを拡充すると共に、充電能力を最大4万キロワット時(kWhs)向上できる。それぞれの顧客ニーズに対応すべく、超急速充電器(出力150kW超)と急速充電器(出力50kW超)を併用する。既にM&Sのメイドストーン・エクリプスおよびサウスゲート店で急速充電器15基を導入済みだ。

BPとM&Sは長期的な関係性を構築している。最初に提携した2005年には、BPのガソリンスタンドにM&Sの食料品店を併設しており、M&S食料品店を併設したBPの給油所60カ所以上でbp pulse250基超を導入することができる。

bp pulseのアキラ・カートン最高経営責任者(CEO)は「我々は多忙な日々を送る顧客を対象に、信頼性と利便性のあるEV急速充電サービスの提供を目指している。M&Sとの関係性を拡大して同社の店舗に急速充電ステーションを導入することは、英国が求める低炭素交通への移行加速を後押しするものになる」と述べた(*1)。

bp pulseは英国で最も利用されているEV充電サービス事業者である。普通乗用車、軽商用車、トラック向けの急速充電ネットワークを世界中で拡充し、遅くとも50年までにネットゼロの達成を目指す。英国から支援を受けるBPは、30年までに英国のエネルギーシステム向けに最大180億ポンド(約2兆9,000億円)を投じる計画だ。その内、最大10億ポンドをEV充電インフラに充て、30年までに世界で10万基超の充電器の導入を目指す。

7月には、スペイン、ポルトガル、英国でのEV急速充電インフラの大幅拡充と大規模なグリーン水素製造ハブの構築に向け、スペイン電力大手イベルドローラ(IBE)と協業すると発表した(*2)。9月には米レンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングス(HTZ)の北米店舗で、bp pluseのネットワーク構築に向けた覚書(MOU)を締結した(*3)。

また、BPは2022年11月、モーリタニア政府とモーリタニアでグリーン水素の大規模量産の可能性を探るプログラム実施に向けた覚書(MoU)を締結している(*4)。BPはモーリタニアとの関係性を強化し、エネルギー・トランジション(#1)に向けた取り組みを推進する。

これを受け、BPはモーリタニアでグリーン水素の生産に関する複数の技術的・商業的フィージビリティスタディ(新規プロジェクトの実現可能性を探るための調査)を実施する計画だ。電解槽を用いて再生可能エネルギー由来の電力からグリーン水素を生成する。BPはまず、再生エネとグリーン水素の大規模量産に向けて、太陽光・風力発電に適した場所を調査するためのデータ収集から始める。

BPは既にモーリタニアと長期的な関係性を構築している。BPとモーリタニア炭化水素公社(SMH)を含むパートナー企業は、液化天然ガス(LNG)事業「Greater Tortue Ahmeyim(GTA)」のフェーズ1の完成に向けて協働する。同事業はモーリタニアとセネガルの国境沿いのオフショア開発プロジェクトとして、2018年12月に最終投資決定(FID)された。GTAは年間約230万トンのLNGを生産する計画であり、20年超生産するのに十分な埋蔵量を誇る。22年10月にはBirAllahガス田の生産分与契約(EPSA)を締結した。そして今回、低炭素エネルギー分野でもパートナーシップを拡充する方針だ。

BPにとって、水素は5つあるエネルギー・トランジションの成長エンジンのひとつだ。英国、オランダ、ドイツ、スペイン、中東など世界各国で、グリーン水素およびブルー水素(化石燃料由来の電気で生成した水素)プロジェクトを推進する。

BPは他業界の企業と連携している。今後もBPの動向に注目だ。

(#1)エネルギー・トランジション…従来の石炭や石油などの化石燃料を中心とするエネルギー構成から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを中心としたものに大きく転換していくこと。

【参照記事】*1 BP「Sparking change: M&S and bp pulse to bring EV charging to customers
【関連記事】*2 BPとイベルドローラ EV急速充電インフラとグリーン水素製造で協業
【関連記事】*3 英BP、北米でEV充電ステーション拡充へ。米レンタカー大手ハーツと提携
【参照記事】*4 BP「bp and Mauritania to explore green hydrogen at scale

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フォルトゥナ

フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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