英石油大手シェル(ティッカーシンボル:SHEL)と独ルフトハンザ航空(LHA)は8月1日、2024年から7年間にわたり最大180万トンの持続可能な航空燃料(SAF)の供給に向けて覚書(MoU)を締結したと発表した(*1)。独占購入に関する交渉がまとまれば、航空業界およびシェルにとって最大規模のSAF供給契約になる。
航空分野の二酸化炭素(CO2)排出量は世界全体の2.6%を占める。同分野では温室効果ガス(GHG)を50年に05年比で半減させるという国際的な合意目標がすでに存在する。その目標実現に向けて、航空機の電動化や市場メカニズム(カーボンクレジット)の活用などに加え、航空業界のCO2削減の切り札として注目されるSAFの導入を組み合わせていく必要がある。
SAFはバイオマスや廃食油、排ガスなど原材料の生産から、製造、燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来燃料より約80%削減できる。シェルとルフトハンザ航空によるSAF供給契約下において、シェルは最大4つの認証済み製造技術を活用するとともに、幅広い持続可能な原料を用いてSAFを製造する計画だ。
シェル・アビエーションのプレジデントを務めるジャン・トスチカ氏は「SAFは向こう数十年間の航空業界の脱炭素化に向けた最も重要なツールである」と述べた(*1)。一方、ルフトハンザ航空の燃料管理供給部門ヘッドを務めるカトジャ・クレフマン氏は「われわれはより持続可能な飛行と50年までのネットゼロエミッションの実現に向けて協働していかなければならず、シェルはジェット燃料のグローバル供給において非常に豊富な経験を有している」とコメントした(*1)。
今回の契約は、シェルにとって30年までにグローバル航空燃料販売の最低10%をSAFへ移行するという目標の達成につながる。ルフトハンザ航空にとっても自社のサステナビリティ戦略の中核をなすSAFの導入を進められる。ルフトハンザ航空は欧州最大のSAF購入企業、かつ認証を受けた排出削減に関するレポートを公表する航空会社のひとつである。
コンテナ船大手デンマークのAPモラー・マースク(MAERSKB)や独物流大手ドイツポストDHLグループ(DPW)なども、カーボンニュートラルの実現に向けてSAFを活用する。
【参照記事】*1 シェル「Shell and Lufthansa Group sign non-binding Memorandum of Understanding for sustainable aviation fuel (SAF) supply」
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