バイデン政権下の証券取引委員会(SEC)長官に就任したGary Gensler氏が、5月27日に開催された下院の金融サービスおよび一般政府小委員会の公聴会で、5つの資本市場動向について言及した。
SECは、100兆ドル規模の資本市場を監督し、28,000の登録企業、3,700以上のブローカーディーラー、24の証券取引所、7つの決済機関、2,300以上の自主規制団体を抱えている。Gensler氏は、その中でも次の5つを資本市場における主要な領域として捉えているようだ。
- 新規株式公開(IPO)と特別目的買収会社(SPAC)
- プライベートファンド
- 暗号資産
- FinTech
- データ分析
暗号資産については、投機性が高く不安定な市場であると言及した。1日あたりの取引量は1,300億ドルから3,300億ドルとなっており、そのほとんどが未登録の暗号資産取引所で取引されているため、SECの監督が追いついていない状態だという。
Gensler氏によると、SECはこれまでに暗号資産に関する75件の訴訟を起こしてきたとのことだ。特にICOを通して資金調達を行なったプロジェクトに対して起訴することが多く、依然としてICOは証券法に準拠しなければならないとしている。
なお、この数字については非常に少ないとした上で、引き続き証券法に準拠しないプロジェクトについては法的措置を実行する準備があることを強調した。
Gensler氏は、暗号資産規制に関しては投資家保護の文脈で多くの課題が残されていると感じていると発言。従来の証券市場と比べて投資家を保護するための仕組みが大幅に不足しており、それに伴い詐欺や不正行為の機会が増えているとした。中でも、DeFi市場はSECにとって未開拓の領域として認識しているという。
DeFiにおける投資家保護の仕組みを進めるために、SECはブローカー・ディーラーによる暗号資産カストディの整備について意見を求めているとのこと。他の規制当局や議会と協力することで、DeFiを含む暗号資産市場における投資家保護のギャップを埋めていきたいとの見解を示した。
株式会社techtec リサーチチーム
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