コンサルティング会社PwCと資産運用会社Elwood が公開した年次レポート「2020 Crypto Hedge Fund Report」によると、暗号資産ヘッジファンドの預かり資産の総額(AUM:Assets Under Management)は20 億米ドルで前年比2倍に増大している。
2020年第1四半期の調査時点に暗号資産ヘッジファンドは約150社あるとされ、そのうち63%が2018年から2019年に設立された。ファンドの立ち上げはビットコイン価格と高い相関が確認できる。また、独立したカストディアンを使用したファンドも52%から81%へと増加傾向となった。
AUMが2,000万米ドルを超える規模のヘッジファンドの割合は、1年間で19%から35%へと増加した。ファンドの平均 AUM は 2018年の2,190 万米ドルから4,400万米ドルへ、AUMの中央値は430万米ドルから820万米ドルへとそれぞれ100%近く拡大した。
暗号資産ヘッジファンドの収益中央値は、2018年のマイナス46%に対して2019年にプラス30%となった。裁量によるロングオンリー戦略が最も優れたパフォーマンス(+40%)を上げており、空売りを併用するロング・ショート戦略がプラス33%、システマティックなクオンツ戦略がプラス30%、複合型がプラス15%と続いた。
ファンド全体の97%がビットコインを取引し、イーサリアムが67%と続いた。全体の56%の暗号資産ヘッジファンドがデリバティブ取引を行い、42%がステーキングを、38%がレンディングを、27%が借入に関与する傾向があった。
ファンドの顧客の90%がファミリーオフィス(48%)または個人の富裕層(42%)で構成された。チケットサイズの中央値は30万ドルで、平均チケットサイズは310万ドル。ファンドの保有する顧客数の中央値は28件となった。管理報酬ないし運用報酬の中央値はそれぞれ2%と20%で前年と同水準だが、平均管理報酬は1.7%から2.3%に増加し、平均運用報酬は23.5%から21.1%に減少した。暗号資産ヘッジファンドの65%はロックアップを要求し、63%は投資家レベルまたはファンドレベルのゲート(解約制限)条項を持っている。
暗号資産ヘッジファンドはケイマン諸島(42%)や米国(38%)で登記されたが、投資チームの拠点は米国(52%)、英国(15%)、ドイツ(10%)に置かれている。
【参照記事】2020 Crypto Hedge Fund Report
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高橋奈夕
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