各国中央銀行間の決済ブリッジを担う国際決済銀行(BIS)が、「Innovation Summit 2021」を3月22日から25日にかけて開催した。中央銀行はデジタル時代にどのようなイノベーションを起こすことができるか、といったテーマの元に各国中央銀行の首脳陣が集っている。
議題となったのは主に中央銀行デジタル通貨(CBDC)だ。「国境を超えたマルチCBDCの設計」や「CBDC間ブリッジ」、「ポストコロナのグローバル決済」といったアジェンダが組まれている。「CeFiからDeFiへ:グローバルファイナンスの解体と再構築」といったセッションも用意され、ConsenSysのJoseph Lubin氏や米証券取引委員会(SEC)理事のHester Peirce氏などが登壇した。
中でも注目を集めたのが「リテール領域におけるCBDC」と称したセッションで、中国人民銀行デジタル通貨研究所で所長を務めるのMu Changchun氏が登壇している。Changchun氏は、CBDCの発行に際して国際的なルールを定義することを提案し、世界に先行する中国のCBDCについて仕組みを解説した。
中国は、2019年頃より世界に先駆けてCBDCの発行を開始しており、既に民間での使用を開始している。Changchun氏は、CBDCの発行理由として暗号資産の普及による自国通貨の存在価値が薄まる可能性を指摘した。
また、キャッシュレス決済の急速な浸透に伴い、万が一システムに不具合が生じた場合にCBDCのネットワークがそのバックアップになる可能性があることを主張。銀行口座を持たない人々への金融アクセスの提供も、CBDCを発行する重要な理由だと説明した。
中国のCBDCは、民間のキャッシュレス決済と互換性を持たせられるよう設計しているという。CBDCの開発を行政だけでなく、幅広く民間企業を巻き込んで行なっているのはそのためだ。
Changchun氏は、近年需要の高まる国際間決済についても触れ、各国CBDC間での互換性が欠かせないことを主張した。ブロックチェーンを活用することで、各国の決済システムに依存することなくCBDCの交換が可能となる。
【参照URL】BIS Innovation Summit 2021: How can central banks innovate in the digital age?
株式会社techtec リサーチチーム
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