過去を振り返ると、マネタリーベース(中央銀行が供給する通貨)が増えるにつれて、ビットコイン(BTC)価格は上昇する傾向があるーこうしたトレンドからか、新型コロナウイルスの脅威に揺れる経済を支えるためのFRBによる何でもありの対応は、今後ビットコインの価値にプラスに作用するという見通しが出ている。独立系リサーチ企業Delphi Digitalが5月11日、報告している。
Delphi Digitalが発行したレポート「ステイト・オブ・ビットコイン 2020」によると、過去10年以上に渡る金融緩和の結果、主要国の中央銀行(FRB、ECB、BOJ、PBOC)の総資産の合計が2011年1月時の10兆ドル強から現在の30兆ドル弱に膨らんだ。さらに、Covid-19に応じて「世界の中央銀行に約束された2020年内の財政支出と救済策は合計10兆ドル以上に相当する」という。
これまで各国政府がより多くの資金を供給するにつれて、供給量が2,100万枚に固定されたデフレ属性のビットコインの価値が後押しされてきた。Delphi Digitalは10年間の価格データに基づいて「中央銀行の資産拡大ペースが減速し始めると、ビットコインの強気サイクルがピークを迎える傾向がある」と強調した。資金供給によるビットコイン価格への影響は遅効性ということだ。
Delphi Digitalはまた、ブロックチェーンデータに基づいてビットコイン保有者数の着実な積み上げを指摘した。それによると、1 BTC未満を保有するアドレス数が2015年比で744%増加しており、一般投資家層の成長が特に顕著だった。
また、未使用の状態のBTCを表すUTXO(Unspent Transaction Output)に基づいて、現存するBTCの22%が5年間動かされておらず、7.7%が10年間不動のまま。1年以上、及び3年以上ビットコインを動かしていないホルダーの割合は2016年時点とほぼ同数となった。つまり、3月のビットコイン価格の暴落にかかわらず、長期保有者はほとんど資産を動かさない傾向が示されている。
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高橋奈夕
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