一般社団法人日本仮想通貨事業者協会(以下、仮想通貨協会)は12月8日、ICOマーケットの健全な発展と投資家保護を目的とした対応指針「イニシャル・コイン・オファリングへの対応について」を公表した。
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)は企業などが電子的にトークンを発行し、投資家から資金を調達する手法だ。仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーン技術を利用したサービスやベンチャー企業の新たな資金調達方法として注目されている。一方で、日本法上でICOを規制対象とした法令が存在しないことを逆手にとった詐欺的行為やその他不適切な事案が問題視されていることから、今回の対応指針の発表に至った。
対応指針では、トークンを①トークンが仮想通貨に該当する場合②トークンが前払式支払手段に該当する場合③トークンが集団投資スキーム持分(第二項有価証券)に該当する場合の3パターンに分け、仮想通貨協会のICOに関する法規制の見解と会員(仮想通貨交換業者)に対してトークンを取り扱う上での留意点を公開した。あわせて、ICOトークンの審査の必要性と会員の投資家に対する説明責任、留意すべきリスク項目も明記している。
昨今増加しているICOプロジェクトで販売されるトークンは投資家から注目されており、最近では日本初のICOプラットフォームとしてリリースされたCOMSAのトークンセールでの売上が最大100億円を超えたというニュースが記憶に新しい。こうした輝かしいニュースがある一方、ICOは「絵に描いた餅」状態のプロジェクトも多いといわれており、各国で規制が設けられているという現状もある。規制や法整備も追いついていないICOマーケットにおいて、投資家は仮想通貨交換業者やプロジェクトチームが発表するホワイトペーパーだけを頼りにするのではなく、プロジェクトを客観的に評価し選別していく力を自身でも養う必要がある。
平井真理
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