金融庁長官の中島淳一氏が、米メディアBloombergのインタビューに答える形で日本の暗号資産規制について8月10日に言及した。他国に比べて日本の規制は厳格であるとの認識を持っているという。
中島氏は7月に金融庁長官に就任したばかりであり、暗号資産に関する規制の緩和には慎重な姿勢を取っていくと主張。暗号資産の価格変動が大きいことを考慮し、投資家保護を最優先に考えていくとの見解を示した。
一方で、ビットコインは現金と比べて迅速で安価な送金を実現する潜在的な可能性を秘めているとの評価を持っているとのこと。現状は投資や投機の文脈で使用されることが多くなっているものの、将来性は感じていると言及した。
インタビューでは、7月19日に発表された「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」についても触れられている。中島氏は、「新たな課題はDeFiとして知られる分散型金融に関与する企業のより広範な取り組みから来ている」と述べた。
研究会では、様々な領域でデジタル化が加速する状況において、金融領域でもデジタルシフトを実現するために取り組んでいくとしている。
インタビューの後半では、2018年に起きた日本の取引所による大規模なハッキング事件について触れ、当時の出来事を機に日本の規制が厳格になったことを明言した。中島氏は事件後、未整備だった暗号資産規制の制定に携わったという。
中島氏によると、規制が厳格になったことで多くの取引所のビジネスが厳しい状況に陥ることになったと主張。アンチマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策には一定の効果があるとしつつも、民間への影響は甚大との見解を示した。
暗号資産の知名度が高まるにつれ、各国で規制に関するニュースが多く報じられるようになっている。米国では8月に入り証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が、「株式トークンやステーブルコインだけでなく、ほとんど全ての暗号資産は証券に該当する可能性が高い」と主張していた。
また、中国ではマイニングに関する規制が再び強化され、大手マイニングプールが一斉に国外へ拠点を移すなどの影響を受けている。
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