米国証券市場の集中管理機関である証券保管振替機構(DTCC)は5月18日、分散型台帳技術を活用した未公開株のトークン化モデル「Project Whitney」のケーススタディを公開した。DTCCはデジタル未公開株をイーサリアム・パブリックチェーン上で発行し、流通市場を促進するスキームを構想している。
Project Whitneyは未公開株や私募をトークン化し、発行から流通市場までプライベート証券の各段階のデジタル化の実現性を探るプロトタイプだ。DTCCは毎年2,000兆米ドル(アメリカの証券市場全体規模)の有価証券を清算・決済するが、インフラが整っていないプライベート市場の活用が念頭にある。
プロジェクト設計によると、トークンはイーサリアムのパブリックチェーンで発行されたが、トランザクションの承認/拒否が可能なコンプライアンス・オラクルが設置された。また、証券の所有権はAmazon QLDBを用いてチェーン外で管理された。
12週間の試行の結果、ガス(手数料)の高騰や、トランザクション処理の遅延といった、イーサリアムネットワークのスケーリング問題に直面したという。DTCCはまた、機関レベルのオープンソースツールが無いと指摘している。
ケーススタディによると、今後のフェーズ2でAPIを提供し、参加を希望する企業を交えてテストする。そこで得たフィードバックに基づいて、フェーズ3ではHyperledger FabricやR3のCordaで構築した分散型台帳にコア基盤を統合する計画だ。
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【参照PDF】PROJECT WHITNEY CASE STUDY
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高橋奈夕
国際基督教大学4年。NYに支社を置くブロックチェーン専門のベンチャーキャピタルで半年以上インターンとして勤める。バイリンガルを生かして海外の記事を翻訳し、よりよい情報を国内に広めることにコミットしている。
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