新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済苦境は、経済のデジタル化の必要性を強調し、暗号通貨の利点を強調するー先般開催されたブロックチェーン・カンファレンス「Consensus(コンセンサス)」のセッションでは、暗号通貨の専門家が集い、経済がデジタル通貨に移行する利点と課題について議論された。米国のビジネスニュースメディアDecryptが5月12日、伝えている。
暗号通貨銀行アバンティのケイトリン・ロングCEOは、ブロックチェーンに統合することで米ドルの「世界の準備通貨としての地位」を維持するのに役立つと主張した。デジタル化により効率的な決済プラットフォームが構築されると、個人と企業の資本がベストな場所に向かうことになる。ワイオミング州で企業による暗号通貨の銀行業務を許可する法律を作ったロング氏は、デジタル化のプラットフォーム競争は始まっていると強調した。
米商品先物取引員会(CFTC)の元委員長であるJ・クリストファー・ジャンカルロ氏は、伝統的な通貨システムが国際送金・決済におけるコスト、遅延、摩擦といった問題に直面していると述べた。アクセンチュアと「デジタルドルプロジェクト」を立ち上げたジャンカルロ氏は、世界がインターネットの第2段階に移行するにつれ、公共財とも言えるインフラの重要な部分である米ドルを「デジタル化してプラグラマブルにする」必要性について語った。
ジャンカルロ氏によると、世界的なロックダウンにより金融システムの問題と欠陥が浮き彫りになっている。経済的な支援を必要とする人々をサポートしきれないという銀行口座ベースのアナログな通貨システムの限界が露呈したのだ。また貨幣自体がウイルスの感染源として認識される見方も出てくるなど混迷を極めている。
しかし、デジタル通貨にもリスクがないわけではない。ジャンカルロ氏はデジタルドルがプライバシーと法規制のバランスを取る必要があると指摘。ロング氏もまた、通貨のデジタル化が個人のプライバシーに大きなリスクをもたらす可能性があることを認めており「金融機関は規制を遵守する必要があるが、規制が過度になってはいけない」と語った。
ジャンカルロ氏は「資本が最も効率的な場所に向かう」とのロング氏の主張に同調して、米国のデジタルドルはプライバシー性を適切にする必要があるため、その使用が強制されるのではなく「好ましい準備通貨の一つ」になると留意した。
【参照記事】The economy is crumbling. This is why it’s time to go digital
高橋奈夕
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