米日用品大手コルゲート・パルモリーブ(ティッカーシンボル:CL)は9月14日、ネットゼロエミッション(温室効果ガス(GHG)排出量の実質ゼロ)目標について、SBT(#1)イニシアチブより認定を取得したと発表した(*1)。耐久消費財・家庭用品・パーソナルケア製品を取り扱う大手の多国籍企業として初になるという。
コルゲートは20年以上にわたり気候変動対策に取り組み、排出量データを公表してきている。気候変動への取り組みを加速させることは、同社のESG戦略「2025サステナビリティ・ソーシャルインパクト戦略」の主要アクションにもなる。
自社オペレーションおよびサプライチェーン(供給網)で、40年までのネットゼロエミッションにコミットする。コルゲートのネットゼロ目標は、気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」の1.5℃目標や、SBTイニシアチブの長期的目標である、50年までまたはそれ以前のネットゼロ達成にむけた1.5℃シナリオに沿うという。
コルゲートのネットゼロ目標は、①30年までにスコープ1(#2)とスコープ2(#2)のGHG絶対排出量を20年比で42%の削減をめざす。②再生可能エネルギー由来の電力の調達割合(年間)を20年の35%から30年までに100%とする。③30年までにスコープ3(#2)のGHG絶対排出量を20年比42%削減する。④40年までにバリューチェーン(価値連鎖、#3)全体でGHG排出量のネットゼロを達成するというものだ。
多くの企業がSBTイニシアチブの認定を取得する形でネットゼロ目標を策定および公表している。英高級ファッションブランドのバーバリー・グループ(BRBY)は8月中旬、40年ネットゼロエミッション目標についてSBTイニシアチブより認定を取得(*2)。高級ファッション業界初となるという。
米製薬大手ファイザー(ティッカーシンボル:PFE)は6月末、40年までのネットゼロにコミットすると発表した(*3)。SBTイニシアチブが公表した「ネットゼロ基準」における50年の排出実質ゼロ目標より10年前倒しする。
(#1)SBT…SBT(Science Based Targets):パリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた企業の温室効果ガス排出削減目標。国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による気候変動に関する共同イニシアチブ「SBTイニシアチブ」が目標を認定する。
(#2)スコープ1…事業者みずからによるGHGの直接排出。
スコープ2…他社から供給された電気や熱などを使用して発生する間接排出。
スコープ3…事業者の活動に関連する取引先の排出。
(#3)バリューチェーン…企業の事業活動(原材料調達から製造、流通、販売、アフターサービスまで)を価値創造のための一連のながれとしてとらえ、付加価値を分析するツール。
【参照記事】*1 コルゲート「Colgate-Palmolive’s Net Zero Targets Approved by The Science Based Targets initiative」
【参照記事】*2 バーバーリー「Burberry receives SBTi approval for net-zero emissions target」
【参照記事】*3 ファイザー「ファイザー、ネットゼロ達成目標を10年前倒し2040年に。化石燃料からの脱却にはパートナー企業の協力が不可欠」
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