仏電気大手シュナイダーエレクトリック(ティッカーシンボル:SU)は9月、世界初となるホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)に接続した電気自動車(EV)充電ステーション「EVリンク・ホームスマートチャージャー」を販売すると発表した(*1)。同ツールを利用することで、EVの充電時間の制御、二酸化炭素(CO2)排出量のモニタリング、再生可能エネルギーの優先利用、および光熱費の削減につなげられる。
EVリンク・ホームスマートチャージャーを、ホームエネルギーマネジメントのエコシステムと連携することで、リアルタイムにEVの消費電力のモニタリングや予測を行える。「charge now(いま充電する)」や「green charging(再生可能エネルギー由来の電力で充電する)」といった4つのモードを活用し、電気使用量の設定も容易にできる。たとえば、「green charging」モードに設定し、太陽光エネルギーが利用できれば、同ツールが自動的に使用電力を太陽光エネルギーにスイッチングする。さらに、変換効率が最も高まる時間帯に合わせてEV充電を行うこともできる。
生活者は炭素排出量を削減する、より持続可能なライフスタイルとともに、車の充電には利便性と手ごろな価格を求めている。また、EVは家庭での電力負荷を最大40%増加するという(光熱費の高騰による影響について言及していない)。家庭部門が交通、産業、エネルギー生産の各部門よりも多くの炭素を排出していることは、環境意識の高い家主にとって悩みの種になっている。
そこで、シュナイダーエレクトリックの「ワイザー・ホームマネジメントシステム」とシームレスに連携することにより、ワイザーのアプリケーションでいつでも、どこからでもすべての電子機器の制御や消費電力のモニタリングができる。EVの充電をいつ、どのように行うか、またエネルギーを大量に消費する他の電子機器との充電のバランスをとることも可能だ。EVリンク・ホームスマートチャージャーで「cost effective」モードにすれば、ワイザーが電気料金の高低をもとに最も効率的な電力使用スケジュールも作成する。
EVの普及拡大を図るうえで、EV充電ステーションの大幅拡大が課題の一つとして挙げられる。そのようななか、英石油大手BP(BP)とスペイン電力大手イベルドローラ(IBE)は、スペイン、ポルトガル、英国でのEV急速充電インフラの大幅拡充に向けて協業する(*2)。
米スターバックス(SBUX)は、スウェーデン高級車大手のボルボ・カー(VOLVAR-B)と提携し、スターバックスの店舗でEVを急速充電する実証実験を開始する(*3)。
【参照記事】*1 シュナイダーエレクトリック「Schneider Electric launches world’s first EV charger to keep energy bills and CO2 emissions in check」
【関連記事】*2 BPとイベルドローラ EV急速充電インフラとグリーン水素製造で協業
【関連記事】*3 米スターバックス、店舗でEVを急速充電。ボルボ・カーと提携
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