カールスバーグ、40年までにネットゼロエミッション達成目指す。責任ある飲酒やリジェネラティブ農業推進

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ビール世界大手、デンマークのカールスバーグ(ティッカーシンボル:CARL-B)は8月17日、あらたなESG(環境・社会・ガバナンス)プログラム「Together Towerds ZERO and Beyond(TTZAB)」を公表した(*1)。2040年までにバリューチェーン(価値連鎖#1)全体でネットゼロエミッションをめざす。

TTZABは22年2月に発表した新5か年戦略「SAIL’27」にくみこむ。同プログラムを通じて、ネットゼロエミッションの達成に向けたアクションを強化する。責任ある調達および責任ある飲酒の推進に向け、30年までにグローバルポートフォリオにしめる低アルコールとノンアルコールのビールの割合を35%とする。同年までに水リスクの高い地域で使用した水を100%補給することもめざす。

さらに、大麦の栽培からクラブボトル・缶のリサイクルに至るまでの工程で排出される炭素を削減すべく、リジェネラティブ農業(環境再生農業)を推進するほか、サーキュラーエコノミー(循環経済)に実現に向けたパッケージング・ソリューションの提供を試みる。現状、農業と原材料の加工、パッケージの製造・廃棄は、スコープ1~3(#2)の炭素排出量の65%以上を占めているという。

セースト・ハート最高経営責任者(CEO)は「TTZABは、よりよい今日と明日をめざしてビールを醸造するというわれわれのパーパス(存在意義)を実現するうえで不可欠なものだ」と述べた(*1)。また、グループESG部門シニアディレクターを務めるシモン・ボアス・ホフマイヤー氏は「われわれは全ステークホルダーのために、注力するすべてのESG分野において、サプライヤーやパートナー企業と連携して業績を向上させるとともに、開示を充実し、透明性を高めたい」と言及した(*1)。

TTZABを通じた取り組みは、認定取得済みのSBT(#3)やRE100(#4)などのイニシアチブをサポートするものだ。

(#1)バリューチェーン…企業の事業活動(原材料調達から製造、流通、販売、アフターサービスまで)を価値創造のための一連のながれとしてとらえ、付加価値を分析するツール。

(#2)スコープ1…事業者みずからによるGHGの直接排出。
スコープ2…他社から供給された電気や熱などを使用して発生する間接排出。
スコープ3…事業者の活動に関連する取引先の排出。

(#3)SBT…SBT(Science Based Targets):パリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた企業の温室効果ガス排出削減目標。国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による気候変動に関する共同イニシアチブ「SBTイニシアチブ」が目標を認定する。

(#4)RE100…企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ。

【参照記事】*1 カールスバーグ「Carlsberg Group targets net zero carbon emissions by 2040 as part of new ESG programme

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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