食品・飲料世界大手のネスレ(ティッカーシンボル:NESN)は7月26日、3億4,000万ドル(約450億円)を投じ、メキシコ・ベラクルス州に100%水を再循環させ、グリーンエネルギーを活用した持続可能なコーヒー工場を開設したと発表した(*1)。新たに1,200人の地域雇用を創出し、グローバル市場向けにコーヒーブランド「ネスカフェ」を製造する主力工場になる。
新工場では最先端の設備とグリーンエネルギーを活用し、水とエネルギー消費の削減を図る。具体的には、排水処理システムを利用して100%水を再循環させ、排水ゼロと埋め立て廃棄物ゼロを実現する。100%グリーン電力を利用するとともに、有機性廃棄物を活用するバイオマスボイラーも備え付けている。
アンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール・メキシコ大統領は新工場の開設式にて「この工場の開設により、ネスレはメキシコでおよそ10万人のコーヒー農家を支援する。これは我が国に投資を呼び込むために官民セクターが協働することの重要性を示している」とコメントした(*1)。
ネスレ・メキシコのエグゼクティブ・プレジデントを務めるファウスト・コスタ氏は「新工場は最先端技術を採用した最も近代的でサステナブルなコーヒー工場である。当社はサステナビリティをパーパスの中心に据え、地球にポジティブインパクトを与える行動を起こすことにコミットしている」と述べた(*1)。
ネスレは2025年までに100%のコーヒーで責任ある調達を行うことにコミットする。グリーンコーヒーの持続可能な生産・供給、小規模農家の生産拡大、農家の家族およびコミュニティの経済的社会的発展を支援する。「ネスカフェプラン(#1)」を通じ、専門家が農業従事者に対し、生産性向上や良質なコーヒーの持続可能な栽培に向けたアドバイスも提供する。
また、世界的に水不足が懸念されるなか、ネスレを始めとする飲料メーカーは大量の水を消費するため、工場のある地域で地元住民やNPOなどによる反対運動が起きやすい。そのようななか、ネスレは今回、100%水再循環、排水ゼロを実現する工場を開設。世界的に水資源の枯渇解消に向けた取り組みも推進する。
(#1)ネスカフェプラン…ネスレが提唱する「共通価値の創造」を、コーヒー豆の栽培から製造、流通、消費といったすべての工程を通じて、実践することで、消費者にコーヒーを将来にわたって継続的に提供することを掲げたプラン。
【参照記事】*1 ネスレ「Nestlé invests USD 340 million in new Nescafé coffee factory in Veracruz, Mexico」
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