ブルームバーグ・エル・ピーは1月26日、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によるレポート「2021年に注目すべき投資アイデア100(BI100)」を発表した。BIのアナリストが21年に大きく発展を遂げる、もしくは重大な事態に直面すると予想する世界的な上場企業、クレジット、マーケット戦略、ETF(上場投資信託)を大胆に特定している。
BIはブルームバーグの端末で提供されるデータ分析ツール。135業種、2000社以上を含む世界の全市場を網羅し、350人以上のアナリストなどのプロで構成するチームが情報の分析を行い、中立的な立場から情報を提供、顧客の投資判断をサポートする。
レポートは、情報誌「ブルームバーグビジネスウィーク」が毎年発行する「ザ・イヤー・アヘッド号」に掲載した、BIが注目する50社についての特集を拡大した内容。具体的には、グリーン・リカバリー、スマートヘルスケア、 デジタルトランスフォーメーションといった重要テーマが公衆衛生や政策の変化によって、どのように影響を受けるかを分析した。
まず、グリーン・リカバリーについて、BIは「パンデミックと世界的な経済危機によって生まれた新常態によって今後の再生可能エネルギー業界は利益を享受していく」と想定。特にグリーン・リカバリーは「3兆ドル以上の刺激策が実施される可能性」を挙げている。また、米国の風力・太陽光発電事業の主要企業であるネクステラ・エナジー(NextEra Energy Inc) がバイデン新大統領のインフラ開発計画によってどのように影響を受けるかなど、視点が具体的だ。
新型コロナ収束後の経済回復については、旅行業界から不動産やエネルギー業界に至るまで、経済回復につれて成長もしくは衰退していく具体的な企業を独自に特定した。デジタルトランスフォーメーションでは、パンデミックによって急伸した通信サービスや電子商取引(EC)の企業以外にも、クラウドセキュリティ・ソフトウェア、 ハードウェア、 デジタルペイメントの企業は21年に成長していく可能性があると予想される。 例えば、米ネットワーク大手のシスコシステムズ、ペイパルといった企業の名が挙がった。
ブルームバーグは今回のレポートを「市場は景気回復の兆しと米国の政策立案者による追加景気刺激策の動向が全体的なトレンドを牽引するかどうかに注目しているが、BI100では、データと豊富な業界知識に基づいた分析を提供し、今後1年間にわたる投資機会を明らかにしている。レポートは、働き方・働く場所、 個人や企業の課税方法が変わり、コロナ収束後の経済でどの産業が繁栄するかが定まる転換期となる年に、実行可能なインサイトを得るためのガイドとしての役割を果たす」と位置付ける。
なお、BIが注目する50社に、日本企業はJR東海、任天堂、ダイキン工業が挙がっている。JR東海(時価283億ドル)については「ビジネス旅行者が仮想会議にますます慣れているため、パンデミックが緩和されても、社会的距離は同社の脅威であり続ける。名古屋、大阪、東京間の旅客の流れが弱いと、主力の東海道新幹線の回復が妨げられ、9兆円(870億ドル)の中央リニアモーターカープロジェクトの見通しが曇る可能性がある」と懸念が示された。
一方、任天堂(同841億ドル)については「Switchゲームシステムの新バージョンのリリースに向けて2022年3月期の収益コンセンサスを上回る態勢を整えている。新しいZeldaや他のSwitchゲームの超高精細リマスターなどの自家製タイトル新しいハードウェアの採用を促進する可能性がある」と推測している。
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