ヤマハのESGの取り組みや将来性は?株価推移、配当・優待情報も

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投資する際にESGやサステナビリティを重視する流れは年々強まっています。企業も自社の利益追求のみならず、環境や人権など幅広い課題の解決に貢献するよう求められています。

ヤマハは楽器や音響機器の製造・販売を手掛けるメーカーであり、ESGでも同社の強みである「音楽」をテーマとした興味深い取り組みを行っています。今回はヤマハのサステナビリティの取り組み、株価推移や業績について解説します。

※2023年1月16日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ヤマハの概要
  2. ヤマハのESGに関する取り組み
    2-1.「おとの森活動」と木材資源に関する取り組み
    2-2.公教育に楽器演奏を取り入れるスクールプロジェクト
    2-3.「だれでもピアノ」によるインクルーシブな未来を目指す
  3. ヤマハの10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. ヤマハの将来性
  5. ヤマハの配当・優待情報
  6. まとめ

1.ヤマハの概要

銘柄 ヤマハ
証券コード 7951
株価 4,635円
PER(会社予想) 19.40倍
PBR 1.78倍
配当利回り(会社予想) 1.42%

※2023年1月16日のデータ

ヤマハは静岡県浜松市に本社を構え、ピアノをはじめとしたさまざまな楽器の製造・販売で知られています。創業は1887年(明治20年)であり、200年以上の歴史を誇る老舗のメーカーです。

「YAMAHA」のブランド名でなじみのあるピアノに加え、1960年代からはエレクトーンや電子ピアノなども手掛けるようになり、電子楽器でも高い技術力のある企業です。電子機器の開発から得られた知見を基に半導体やルーター、オーディオ機器も展開しています。

また音楽普及を目的とした音楽教室、楽曲や楽譜データの出版などの事業も行っています。

2.ヤマハのESGに関する取り組み

ヤマハもサステナビリティに注力する企業の1つです。同社の武器である「音楽」を中心としたESG関連の取り組みを紹介していきます。

2-1.「おとの森活動」と木材資源に関する取り組み

「おとの森活動」とは、楽器に適した木材を生み出すサステナビリティに優れた環境を「おとの森」とし、循環型の森林づくりを行う取り組みです。森林保全や木材資源量への配慮といった環境テーマに加え、地域の雇用創出や社会的発展など社会テーマも含めた活動です。

たとえば木管楽器の重要な材料である「アフリカン・ブラックウッド」は伐採可能な大きさに育つまで70年以上必要です。生息域が限定的であること、楽器完成までの利用効率の悪さから、資源量減少が危ぶまれていました。そこでヤマハは資源量や森林環境状況の調査を開始し、森林保全と楽器生産を循環的に推進するバリューチェーンを構築。成長の早い材料の生産や資源利用の研究を進め、新たなビジネスモデルの創出を行っています。

またグランドピアノの「心臓部」ともいえる響板の原材料として、同社は北海道原産のアカエゾマツを利用していました。しかし天然林材の減少で、ほとんどを輸入に依存する状況でした。2016年からアカエゾマツの人口林材の需要拡大を目指すプロジェクトを開始し、適切な森林管理や植樹、森づくりの研究や地域との協働イベントを展開しています。

2-2.公教育に楽器演奏を取り入れるスクールプロジェクト

2015年から新興国を中心にスクールプロジェクトを展開しており、公教育にリコーダーなどの楽器演奏を取り入れるサポートを行っています。これまで楽器に触れる機会のなかった子供たちに音楽の楽しさを知ってもらい、質の高い音楽教育を受けられる環境づくりを目指しています。

これまでマレーシア、インドネシア、インド、エジプトなど7か国で累計129万人の子どもたちに器楽学習の機会を提供した実績があります(2022年3月末時点)。ベトナムの活動では、同国の教育訓練省と連携して教員向けのリコーダーセミナーや教科書改訂などをサポート。2020年度から、学習指導要領に器楽教育が導入されるようになりました。

その他にブラジルでのオンラインリコーダーセミナー、インドではキーボードを活用した器楽教育のスタートなど、地域や環境に適した取り組みを行っています。2023年にはメキシコでの展開が予定されています。

2025年3月期において、累計230万人の子供たちに器楽教育の提供を達成することを目指す方針で、この目標は同社の中期経営計画にも明記されています。

2-3.「だれでもピアノ」によるインクルーシブな未来を目指す

「だれでもピアノ」はヤマハと東京藝術大学が共同開発した楽器です。一本指でメロディーを弾くだけで、伴奏とペダルが自動で加わり、熟練したピアニストのように曲を奏でることができます。

障害のある子どもや高齢者でも弾きやすく、オンラインでの遠隔演奏も可能です。すべての人がピアノを弾ける楽しみを感じられる楽器となっています。身体を動かしにくい人を楽器の世界から排除することなく楽しんでもらう、インクルーシブな社会を目指す取り組みです。

「だれでもピアノ」は「STI for SDGS」アワードにおいて、文部科学大臣賞を受賞。科学技術イノベーションによって社会課題解決につながる優れた仕組みとして認められました。

3.ヤマハの10年間の株価推移と業績

ここからはヤマハの株価の10年間の動き、直近の業績について見ていきましょう。

3-1.10年間の株価推移

10年前の2013年の株価は900円台でした。執筆時点では約5,000円ですので、10年間で5倍以上に成長したことになります。

2018年まではほぼ右肩上がりで株価は上昇し、6,000円以上を記録しました。2021年に再び上昇して7,000円を超えましたが、2021年11月に大きな下落があり、それ以降の株価は5,000円前後での横ばい傾向となっています。

12カ月の移動平均線が24カ月の移動平均線を下に抜けており、現在はやや弱気の傾向です。

3-2.業績

ヤマハの直近4年間の売上収益の推移と2023年3月期の予想は下記のとおりです。

項目 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期予想
楽器 279,472 269,371 238,981 276,153 320,000
音響機器 120,144 114,392 103,813 96,924 108,000
その他 34,757 30,462 29,836 35,119 42,000
合計 434,373 414,227 372,630 408,197 470,000

※単位:百万円

売上収益は毎年2,800億円前後で推移しています。2021年3月期は新型コロナの影響で苦戦しましたが、翌年は業績が復調となりました。なおヤマハは電子楽器も手掛けているため、世界的な半導体不足の影響も受けています。

楽器事業ではピアノと管弦打楽器は2桁増で、電子楽器は半導体の調達困難の要因がありながらも供給が回復しました。総じて世界の各地域で音楽関連の需要回復が進んでいるとのことです。

2023年3月期については、音響機器中心に半導体調達難の影響が残りますが、楽器の供給不足改善により増収増益の見込みとなっています。

国内の音楽需要は飽和状態で大幅な成長が見込めない一方、上記で「その他」に該当する部品・装置事業での成長を目指しています。社内の立体音響を車内の全シートで楽しめる技術を開発し、量産に先駆けて自動車メーカーに向けてデモを実施しています。

4.ヤマハの将来性

ヤマハの将来性について、SDGsと業績の両面から考察していきます。まずSDGsについては強みである音楽領域で、環境・社会ともに課題解決を目指す取り組みをいくつも実施しています。

音楽を好む人は多く、心身にもプラスの影響があると考えられ、取り組みに興味を持たれやすいのもメリットと言えます。興味を持たれれば協力を得られやすく、取り組みも推進しやすいでしょう。今後も音楽を中心としたサステナビリティの取り組みが期待されます。

次に業績について、ここ数年はコロナの影響はあるものの堅調と言えます。楽器や音響設備に関する長年の技術の蓄積があり、他社からポジションを奪われる可能性は低いでしょう。

ただし国内の音楽関連の事業に大きな成長の可能性はないと考えられます。同社の技術を生かし、半導体など部品装置の領域で業績を伸ばしていけるのかが鍵となるでしょう。

5.ヤマハの配当・優待情報

1株あたり年間配当 2022年3月期実績:66円
2023年3月期予想:66円
主な株主優待 ・ヤマハリゾートのオリジナルギフト商品
・ヤマハミュージックリテイリング優待券

2023年3月期の年間配当は1株66円を予定しており、前年度と同水準です。株主優待はオリジナルギフト商品、リテイリング優待券、自然保護団台への寄付のうちの1つから選びます。

また2022年は特別企画として、ヤマハ関連の所属アーティストの作品がもらえる抽選も実施されました。中島みゆき、上原ひろみ、岡村孝子、ヤマハ吹奏楽団などのCDが抽選で当たるという内容です。

まとめ

ヤマハの事業内容やESG関連の取り組み、株価推移や業績について解説しました。楽器や音響機器では国内トップレベルの技術力・ブランド力があり、音楽では確固たる地位を築いている老舗のメーカーです。

技術力を生かしたSDGs・サステナビリティの取り組み実績も多く、特に音楽をテーマとした社会課題の解決への貢献が期待されます。注力している自動車内の設備・ソリューションで成長していけるかにも注目です。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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