一次産業で広がるNFTのユースケース、キーワードは「投資」ではなく「応援」

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近年、NFTが日本国内で注目を浴びるようになって以降、一次産業でもNFTの活用が始まっています。唯一性をもつNFTというプロダクトが生まれたことにより、Web上でも保有者(ホルダー)に限定してユーティリティを提供するなど、会員証のように利用することができるようになったためです。

従来のSNSやネットショップではできないユーザー体験を提供できるWeb3。本記事では、一次産業におけるNFT活用事例、活用による利点、ホルダーとなる際の考え方などを解説していきます。

目次

  1. NFTとは
    1-1.NFTの概要
    1-2.NFTの特徴
  2. 農業支援組織Metagri研究所の「ナカジマみかんNFTシリーズ」
    2-1.ナカジマみかんNFTの概要
  3. なかはた農園「いちごNFT(MetagriLabo Ichigo Collection)」
    3-1.いちごNFTの概要
  4. 牡蠣若手の会「AbyssCrypto NFT」
    4-1.牡蠣NFTの概要
  5. 応援したい気持ちで購入することがおすすめ
  6. まとめ

①NFTとは

1-1. NFTの概要

NFTは「Non-Fungible Token」の略で、「非代替性トークン」と訳されることがあります。NFTはブロックチェーンを基盤に作成された、代替不可能なデジタルデータを指します。簡単に言うと、シリアル番号が刻まれた唯一無二のコンテンツです。

NFTはアート作品やゲーム内アイテム、音楽、トレーディングカード、仮想空間の土地などのデジタル作品だけでなく、不動産や会員権などの資産の所有権をデジタル上で証明することができます。これまでのデジタルデータは簡単にコピーができるため、所有権の所在が分かりにくく、固有の価値を付けることが難しいとされていました。しかし、改ざん耐性が高いブロックチェーン基盤で発行されるNFTによって、デジタルデータに希少価値を付加することが可能となりました。

パーミッションレス(許可不要)なブロックチェーン基盤で発行されるNFTは、イーサリアムなどの仮想通貨と同様に、自由に移転・取引できます。ブロックチェーン上で流通したNFTは、ウォレットアドレスや取引・送付情報が記録されるため、所有の移動履歴を確認することができます。

1-2. NFTの特徴

  1. 誰でも作成や販売が可能
    NFTは、ブロックチェーンに関する専門知識がなくても、誰でも作成や販売ができます。一般的には、「OpenSea(オープンシー)」などのNFTマーケットプレイスを利用して、自作のイラストなどをアップロードするだけで簡単にNFT化できます。OpenSeaを利用する際には、Metamask(メタマスク)などの仮想通貨ウォレットを用意し、トランザクション手数料(ガス代)を支払うためのETHなどの仮想通貨を保持する必要があります。
  2. 多様な分野での活用
    前述のように、NFTは以下のようなさまざまな分野で活用が広がっています。
    ゲーム/アート/コレクターズアイテム/スポーツ/ファッション/不動産/オンラインチケット/会員証/担保ローン/ツイート
  3. 二次流通による報酬獲得
    従来のデジタルデータでは、二次流通(転売)によってもクリエイターに報酬が入ることはありませんでした。しかし、NFTでは二次流通時にクリエイターに報酬が入る仕組みを設定できます。通常は、取引額の一定割合が報酬として還元される形になり、クリエイターは長期的に利益を得ることができます。

②農業支援組織Metagri研究所の「ナカジマみかんNFTシリーズ」

Metagri
ここからは、一次産業(農業や漁業など)が実際に発行しているNFTについて詳しく説明します。農業ブランディングサービスを提供する「株式会社農情人」が運営する農業支援組織「Metagri研究所」は、愛媛県松山市中島で展開する「ナカジマみかんNFTシリーズ」の第三弾として、伊予柑の記念日である1月14日に「ナカジマいよかんNFT」を販売しました。

中島は愛媛県松山市の北西沖合、瀬戸内海に浮かぶ怱那諸島(くつなしょとう)は柑橘の栽培が盛んです。オンライン上の新たな交流手段として注目を浴びるメタバース(仮想空間)で、中島の名産である柑橘や六次産業化(アロマオイルなど)による商品をオンラインで販売したり、オンラインのコミュニティを現地におけるオフラインの体験につなげています。

このプロジェクトの一環として、Metagri研究所は中島で生産された柑橘とNFTを組み合わせた「ナカジマみかんNFTシリーズ」を伊予柑の日にちなんで1月14日に発行しました。NFTをきっかけとしたつながりを通じて、自律分散型組織(DAO)のコミュニティ運営支援も手掛けることで、関係者間の新たなつながりを創出することを目指しています。

2-1.ナカジマみかんNFTの概要

nakajima-mikan-nft

「ナカジマみかんNFTシリーズ」第3弾の”ナカジマいよかんNFT”は、2023年1月14日(土)21時から、限定14点で0.05ETHにて販売されました。また、「ナカジマみかんNFTシリーズ」は中島で生産された柑橘とのセット販売が行われています。

「ナカジマみかんNFTシリーズ」の販売実績は以下の通りです。

  • 【完売】ナカジマはれひめNFT:2022年12月22日(木)21時から<冬至の日にシリーズ初セール>
  • 【0.092WETHで落札】ナカジマどんなNFT :2023年1月4日(水)19時から<24時間限定の1点モノNFTオークション>
  • ナカジマいよかんNFT:2023年1月14日(土)21時から<伊予柑の日に14点限定で発売>
  • ナカジマはるみNFT :2023年2月4日(水)21時から <立春の日に12点限定で発売>

NFTホルダー特典として次のような特典が提供されます。

  • メタ中島コミュニティ(Discord)内の限定チャンネルへの参加
  • メタバース空間でのイベントへの参加
  • 中島におけるいよかんサウナイベントへの案内
  • 中島特産の柑橘や関連商品の割引購入など
コレクション名 nakajima-mikan-nft
使用チェーン Ethereum(イーサリアム)ネットワーク
NFT規格 ERC721

③なかはた農園「いちごNFT(MetagriLabo Ichigo Collection)」

etagriLabo Ichigo Collection
農業ブランディングサービスを展開する「株式会社農情人」が運営する農業支援組織「Metagri研究所」は、なかはた農園と共同で、115点限定のいちごNFT『MetagriLabo Ichigo Collection(略称:MLIC)』をいちごの日(1月15日)に発行しました。NFTを活用して消費者と新たな関係を構築することで、いちごやなかはた農園の価値を高め、「地域に支えられた農業」から「地域を支えていく事業づくり」を目指します。

MLICの販売収益は、いちごNFT制作費やなかはた農園とのプロジェクト運営費に充当されます。今回の取り組みを皮切りに、「農業×ブロックチェーン」をキーワードに、”持続可能な農業”の実現に取り組む「DAO(自律分散型組織)」を構築していくとしています。

3-1.いちごNFTの概要

MLIC

いちごNFT「MLIC」は事前に先着15名の応募者に3枚の優先購入権(AL)が配布されました。中長期的な活動を応援してくれる人を対象に、AL提供が行われ、ALを獲得した人がプレセール日にミント専用ページにアクセスし、NFTを購入することができます。プレセール日は1月15日19時からで、価格は0.015ETHです。

応募情報はMLIC公式サイトやDiscord内で提供されており、なかはた農園を応援したいという方に情報が届く仕組みとなっています。したがって、こうしたプロジェクトのNFTを優先的に安く購入したいという方は情報を追っているのがポイントです。また、NFTはミントすることで二次流通される時よりも安く購入することができます。MLICはNFTマーケットプレイス「OpenSea」でも販売されているため、そちらで購入することも可能となっています。

また、MLICを購入したホルダーには次のような特典が提供されます。

  • なかはた農園オンラインいちご狩り参加権
  • 新たに取り扱う農業NFTの優先購入権
  • Metagri研究所の定例セミナー無料参加権
  • Metagri研究所の限定チャンネル(Discord)への参加権
コレクション名 MetagriLabo Ichigo Collection(MLIC)
使用チェーン Ethereum(イーサリアム)ネットワーク
NFT規格 ERC721

④牡蠣若手の会「AbyssCrypto NFT」

AbyssCrypto NFT
NFTを通じて日本の牡蠣業界を変える、を目的に活動している牡蠣若手の会があります。牡蠣若手の会の創立者なおきち氏は、「NFTを通じて日本の牡蠣業界を変える」という目的でNFT業界に挑戦しています。

牡蠣業界を含め水産業には3つの課題があります。1つ目は、生産者から一般顧客に販売されるまでには仲介業者を挟む必要があるため、ビジネスモデルとして薄利なビジネスとなっていること。2つ目は、水産業ではSNSをはじめとする広告宣伝のノウハウが浸透しておらず、消費者に認知されにくいこと。3つ目は、水産業は「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージが定着してしまっており、漁師になりたいと思う若者が少なく後継者の確保に大きな課題があること、です。

解決の糸口としてWeb3に着目した理由としては、今後の通販にもメタバースが広がっていく可能性が考えられることがあるといいます。水産業もその例外ではなく、漁師自身も販路やマーケティングに興味を持ってもらい、DtoC(Direct to Consumer)を構築していくことが課題を乗り越えることにも繋がるとしています。

4-1.牡蠣NFTの概要

AbyssCrypto

漁師の日常を描いたNFTボクセルアートです。漁師達がサメや亀などと出会いながら、日々頑張って生活している姿を描いています。NFTタイトル「Abyss Crypto」の名前の由来は、Abyssとは英語で「深海」を意味します。現在の水産業はまるで深海にいるかのうように、注目されることがありません。そこで、「NFTを通じて、この産業を深海から海面へ押し上げたい」という思いからきているそうです。牡蠣若手の会のNFT「AbyssCrypto」はOpenSeaにて販売されています。

AbyssCryptoホルダー特典には以下のような特典が提供されます。

  • 牡蠣若手の会のECサイトでの牡蠣を5%オフで購入可能
  • おすすめな牡蠣や他の海産物がプレゼント
  • 東京の西荻窪のオイスターバーWharfにて季節の牡蠣1つ、または、スパークリングワイン一杯無料
コレクション名 AbyssCrypto
使用チェーン Ethereum(イーサリアム)ネットワーク

⑤応援したい気持ちで購入することがおすすめ

NFTはコレクション目的や、投資・投機目的で購入されることもあれば、プロジェクトを応援したいという気持ちで購入する場合もあります。2022年に注目されたふるさと納税の返礼品になったNFTには即完売するものもあり、一次産業が発行するNFTも注目を集めています。

NFTとの関わり方は様々で、単に高値で売却するだけではなく、さまざまな楽しみ方があります。購入後に売却するホルダーが少ないことで、NFTの希少性が高まり価値が生まれるサイクルも期待できるでしょう。しかし、価格上昇も大切ですが、個人的にはNFTの楽しみ方の本質はプロジェクトを支援し、活気づけることにあると考えています。

アート作品を楽しんだり、デザインに魅力を感じて購入するというのが筆者がおすすめするNFTの楽しみ方です。新しいコレクションを発見し、早めに入手することや、そのコレクションのエコシステムが徐々に成長する様子を楽しむことも良いでしょう。さらに進んで、自分自身もプロジェクトに参加し、コミュニティの中で貢献していくといったことも可能なのです。

⑥まとめ

NFTはそれぞれ目的や機能、創設者の人柄、コミュニティの雰囲気などが異なります。今回ご紹介したNFTは、短期投資の対象というよりも長期で保有し、活動を支援していくという要素が強いものです。

筆者自身もNFTを保有しており、コンテンツが気に入って購入したケースと、プロジェクトを支援する目的で購入したケースがあります。現在も農家の収入を向上させることを目的としたDAOに参加しており、今回ご紹介したNFTのようにDiscordでホルダー同士の関わりを深めています。こちらについては下記で詳しく触れていますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

国内発、農家を支援する「支援DAO」ーNFTを活用する支援の仕組みとその実績、メリット・注意点とは?

NFTに興味がある方は、まずOpenSeaなどでNFTが販売されていることを確認し、Discordに参加してプロジェクトのロードマップを見てみることをおすすめします。ご自身の目的に合わせて、NFTとの最適な関わり方を見つけてみてください。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。