キーエンスの将来性とESGの取り組みは?株価推移、業績、配当も

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SDGsが国連で採択されて以降、世界でESGやサステナビリティの取り組みが加速しています。工場用のセンサや測定装置などを手掛けるキーエンスでは、持続的な企業価値創造、商品を通じた社会的課題の解決に取り組んでいます。

この記事ではキーエンスのESG関連の取り組み、株価推移や業績について解説します。キーエンスへの投資に興味のある方は参考にしてください。

※2022年11月16日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. キーエンスの概要
  2. キーエンスのESGに関する取り組み
    2-1.環境負荷の低減
    2-2.労働環境の改善や安全確保
    2-3.持続的な企業価値創造
  3. キーエンスの10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. キーエンスの将来性
  5. キーエンスの配当・優待情報
  6. まとめ

1.キーエンスの概要

銘柄 キーエンス
証券コード 6861
株価 60,370円
PER
PBR 6.24倍
配当利回り(会社予想) 0.5%

※2022年11月16日のデータ

キーエンスはFA(ファクトリー・オートメーション)、つまり工場の工程の自動化のため、さまざまな製品やソリューションを提供しているメーカーです。FA用センサなどの主力商品は、電気機器・自動車・通信・化学など非常に幅広い業界で採用されています。

キーエンスは自社が新たに出す商品の7割が世界初または業界初だと発表しています。潜在的なニーズを把握した上で革新的な商品を生み出しています。

主な商品はセンサ、画像処理システム、バーコードリーダ、ハンディターミナル、タッチパネル、3Dプリンタ、マイクロスコープなど。この他にも多数の商品群があります。

また同社は高収益企業としても知られていますが、その源泉はデータ活用にあるとしています。自社で培ったデータ活用技術を生かし、分析ソフト「KI」などを外販する事業も行っており、金融機関などで活用されています。

2.キーエンスのESGに関する取り組み

キーエンスで実施している、環境、労働環境などの取り組みを紹介します。

2-1.環境負荷の低減

キーエンスでは環境負荷の低い商品開発を行っています。ハンディターミナル BTシリーズはバッテリーの寿命を延ばすアルゴリズムを搭載し、交換頻度の低減により省エネルギーに貢献します。3Dプリンタにより、サンプル制作に費やす時間や作り直しによる廃棄の大幅削減につながります。

また事業活動における環境負荷低減の取り組みとして、以下を実施しています。

  • 紙材のリサイクル
  • LED証明への切り替え
  • 空調機器を高効率機器へ更新
  • 物流拠点における廃棄物削減
  • 環境配慮型車両の導入

同社サイトのサステナビリティコーナーにて、年度ごとのCO2排出量、電気使用量、水使用量などの数値を公開しています。売上や利益は伸ばしつつも、これらの数値の増加をできるだけ抑える方針です。

2-2.労働環境の改善や安全確保

キーエンスでは自社商品を通じた労働環境の改善にも取り組んでいます。同社のインクジェットプリンタは、インクや補充液に含まれる化学物質による健康被害を防止する仕組みが備わっています。

MK-Uシリーズは、インクや補充液の曝露・吸入を防止する新たな構造を搭載。従来のインクジェットプリンタに求められる特別な対策や追加コストは必要ありません。

専用ステーションにセットすれば、オートシャワー洗浄機能により、化学物質の揮発を抑えられ、洗浄した液体に触れることがないので安心です。

また生産現場で使用される機会やロボットから作業者の安全性を確保しつつ、生産性も維持できる安全機器の開発を行い、現場の安全性向上も推進しています。

2-3.持続的な企業価値創造

キーエンスは創立以来、会社を永続させることを経営理念の1つとして掲げています。永続するには社会に貢献し、支持されなければならないとしています。

社会に貢献する方法として、同社はものつくりの現場の変化を支えて進化を加速するために、今までになかった価値を創造することだと定めています。付加価値を創造するため、以下3つのビジネスモデルで取り組んでいます。

  • 顧客の潜在ニーズや困りごとからの企画・開発
  • 自社工場を持たないファブレス生産体制
  • グローバルダイレクトセールス

特定の業界向けではなく、幅広い業種・業界向けに採用していただける標準品として企画開発を行います。顧客の求めるものをそのまま商品化するのではなく、顧客自身も把握していない潜在ニーズまで捉えて企画・開発に盛り込んでいます。

同社の生産はファブレス生産体制です。全国の協力工場に委託しており、設備投資を抑えたうえで商品の特性に合わせた工場を選択することができます。

グローバルでは代理店を介さない直販体制にしており、直接顧客を担当する仕組みです。顧客の課題やニーズをより把握しやすくなり、中間マージンを省くことにもつながります。

3.キーエンスの10年間の株価推移と業績

ここからは、キーエンスの長期の株価推移と業績について見ていきましょう。

3-1.10年間の株価推移

過去10年間をみると、2021年12月まではほぼ右肩上がりで成長を続けてきました。2013年は6,000円台でしたが、2021年に70,000円台になり、10倍以上に成長したことになります。

2022年に入ってから株価は大幅に下落し、一時期は40,000円台になりました。現在はそこから少し回復し、50,000円台後半から60,000円台前半で推移しています。

3-2.業績

キーエンスの業績の推移は下記のとおりです。

年度 売上高(億円) 営業利益(億円) 営業利益率(%)
2012/3 1,993 911 45.7
2013/3 2,178 992 45.6
2014/3 2,650 1,307 49.3
2015/3 3,340 1,757 52.6
2016/3 3,793 2,013 53.1
2017/3 4,127 2,189 53.0
2018/3 5,268 2,929 55.6
2019/3 5,871 3,179 54.1
2020/3 5,518 2,776 50.3
2021/3 5,381 2,768 51.4
2022/3 7,552 4,180 55.4

売上高・営業利益とも順調に成長していることが分かります。営業利益率は50%前後と非常に高い水準となっており、高収益企業であることを裏付けています。

特に2022年3月期は売上高が前年同期比で141%と大きく伸長し、営業利益も初めて4,000億円に到達しました。

4.キーエンスの将来性

キーエンスの将来性について、業績とESGの両面から考えていきます。まず業績は過去10年で伸びており、2022年3月期は7,000億円を突破しました。過去10年で営業赤字になった年度が1つもなく、営業利益率はおおむね50%台と非常に高い水準で推移しています。

この営業利益率の高さにはさまざまな要因がありますが、提案や生産などビジネススピードの速さ、徹底的なコスト削減、データに基づく意思決定などと言われています。キーエンスは平均年収が高いことでも知られ、2020年度は1,751万円です。高収益の分を社員にも還元できているのではないでしょうか。ただし配当利回りは0.5%と低く、株主への配当より投資を重視しているようです。

ESG・サステナビリティでは商品を通じた社会課題解決などの取り組みが行われており、一定の成果も出している様子がうかがえます。しかし同社サイトに掲載されている情報は、他社と比べるとそれほど多くない印象です。

特に人権について、守るべき理念は記載されていますが、個別の具体的な取り組みが紹介されていません。環境面では、気候変動に関して現在どの程度の進捗ができているのか、状況を知りたいところです。

5.キーエンスの配当・優待情報

1株あたり年間配当 2022年3月期:200円
2023年3月期:300円
主な株主優待 なし

2022年10月28日、配当予想に関する修正が発表されました。2023年3月期は当初、前期と同じく年間200円を予想していましたが、300円に修正するという内容です。2023年3月期の業績推移が現在好調であることを示していると言えます。

まとめ

キーエンスのESGの取り組みや業績、将来性などについて解説しました。工場用のセンサなど多彩な商品群があり、非常に高い営業利益率が特徴のメーカーです。

サステナビリティ関連でも数多くの取り組みを行っていますが、同社サイトでの情報量はそれほど多くないため、今後の情報公開に期待したいところです。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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