GMOコインに新規上場するステーブルコイン「DAI」とは?スペックや特徴を徹底解説

※ このページには広告・PRが含まれています

今回は、新たにGMOコインに上場したDAIについて、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. DAIとは?
    1-1. DAIとは?
    1-2. 仮想通貨としての基本スペック
    1-3. DAIとは?
  2. DAIの発行元であるMakerDAO
    2-1. MakerDAOの概要
    2-2. ガバナンストークン「MKR」
  3. まとめ

2022年2月16日、国内仮想通貨取引所の「GMOコイン」が、仮想通貨DAI(ダイ)の取り扱いを開始したことを発表しました。DAIの取り扱いは、先月1月にコインベスト(CoinBest)が上場を発表し、2月末より取り扱い開始としていたため、GMOコインが先行して国内初のDAI取り扱いとなりました。

そこで今回は、国内初上場となるDAIに関して、その概要や発行元である「MakerDAO」について解説します。

1. DAIとは?

まずは、DAIとは何かについて、その基本的な事項を解説します。

DAIの概要

DAIは、法定通貨の1ドルと同等の価値を維持することを目的として2017年に公開されたステーブルコインで、「MakerDAO」というDeFiプロジェクトによって発行及び管理されています。

ステーブルコインとは、価格変動が法的通貨に裏付けられている通貨のことを指します。ステーブルコインには、「法定通貨担保型」と「仮想通貨担保型」、「無担保型」の3種類があり、DAIは、このうちの仮想通貨担保型に当たります。法定通貨担保型が法定通貨を担保にしているのと同様に、仮想通貨を担保にしているのが仮想通貨担保型のステーブルコインです。

このステーブルコインは、為替変動のリスクがないため、価値の保存手段として利用することが出来るだけでなく、決済のときの有効手段としても注目されています。

仮想通貨としての基本スペック

DAIの仮想通貨としての基本スペックは以下の通りです。

ティッカーシンボル DAI
現在の価格(22年2月17日現在) 0.9998ドル(約115.39円)
時価総額 約104億ドル(約1.2兆円)
時価総額ランキング 19位
循環サプライ 約104億
発行上限 データなし

DAIの特徴

①ERC-20を利用している

DAIの大きな特徴として、ERC-20を利用している点が挙げられます。イーサリアムが提供している規格を利用して開発されているため、他のイーサリアムから派生したトークン同様、同じウォレットで簡単に管理することが可能です。また、イーサリアムに対応したアプリやサービスで管理することができ、利便性が高く、ユースケースの拡大も期待できるステーブルコインとなっています。

②分散型自律組織(DAO)によって管理されている

テザー(USDT)のような一般的なステーブルコインには「発行主体」と呼ばれる中央集権的な組織が存在し、その組織が担保となる資産を管理したり、価格を調整したりしています。一方でDAIは、そのような中央集権的組織が存在しないという点も大きな特徴の1つとなっています。

仮想通貨業界では既に様々な種類のステーブルコインが発行されていますが、多くのステーブルコインが一部の通貨発行主体によって管理される「中央集権型のコイン」となっているのに対して、DAIを発行・管理している「MakerDAO」はガバナンストークン「MKR」を用いた分散型のガバナンスモデルを採用しているため、DAIは「非中央集権型のコイン」と言えるでしょう。

③担保付債務ポジション(CDP)の仕組み

MakerDAOのプラットフォームでは、「担保付債務ポジション(CDP)」というMakerDAO独自のスマートコントラクトを通じて、担保資産を保有している誰もがDAIを生成することができます。

CDPでは、ユーザーが預託した担保資産を通じてDAIの生成が可能ですが、ユーザーには生成と同時に「債務」も発生することとなります。DAI生成者は、等価のDAIの支払いによって債務を返済した時点で担保を引き出すことができるようになっているため、この債務の仕組みによってCDP内に預託された担保資産が事実上保護される仕組みとなっています。

④複数の仮想通貨を担保として使用可能

DAIはイーサリアムブロックチェーン上で稼働する仮想通貨で、2019年10月までは、DAIを発行する際に一つの担保しか行うことが出来ない「Single-Collateral(単一担保)」でした。そのため、イーサリアムのみ担保とすることが可能でしたが、翌月の11月から複数の資産を担保とすることができる「Multi-Collateral(複数担保)」への移行が実施されました。

単一担保の場合は、1つの担保資産のみによって影響されるため、DAIの価格はイーサリアムの影響を多分に受けていましたが、複数担保が可能になったことにより、連動して暴落するリスクが減ったため、今まで以上により価格を安定させることが可能になりました。

2. DAIの発行元であるMakerDAO

次に、DAIの発行元であるMakerDAOについて解説します。

2-1. MakerDAOの概要

MakerDAOは、2014年に設立された自律分散型組織(DAO)で、DeFiを代表するプロジェクトであるほか、分散型ステーブルコインを作った最初のコミュニティでもあります。

DAO(Decentralized Autonomous Organzation)は、日本語で「自律分散型組織」と訳され、ブロックチェーンに基づく組織や企業の形態の一つで、特定の中央管理者を持たず、組織内の構成員一人一人によって自律的に運営されているインターネットネイティブな組織のことを指します。DAOはボトムアップで意思決定が行われる組織であり、構成員が運営をする仕組みとなっています。

DAOによって運営されるMakerDAOは、メーカー財団(Maker Foundation)という非営利団体が開発を主導しており、金融サービスをDAOによって分散的に運営することを目的としている、DeFiを象徴するプロジェクトとなっています。前述の通り、MakerDAOのステーブルコインは「DAI」と呼ばれ、企業や政府・国家といった特定の組織に支配されないアセットとして存在しています。そのほかにも、MakerDAOはレンディングプラットフォーム「DSR(Dai Savings Rate)」などを提供しています。

2-2. ガバナンストークン「MKR」

MakerDAOには前述のステーブルコイン「DAI」以外に、ガバナンストークンである「MKR」が存在します。

MakerDAOでは全ての意思決定がスマートコントラクトによって自動執行される仕組みとなっていおり、執行する内容については、MKRの保有者によって提案され、その都度投票が行われるようになっています。MKRの保有量が多い人ほど、MakerDAOの意思決定に大きな影響を及ぼすことが可能です。

また、MKRはDAIの価格を安定させるための資金調達としても利用される場合があります。DAIはステーブルコインですが、価格が乱れてしまうと他の仮想通貨以上に打撃を受けてしまうため、MKRを発行することで資金を集め、DAIの価格の安定を図るという仕組みです。

bitbankが国内で初の取り扱いを開始したメイカー(MKR)とは?

3. まとめ

DAIは代表的なステーブルコインとして世界中で認知されており、価格の安定性と分散性の高さで評価を受けています。

ほとんどの仮想通貨は価格が絶えず変動するため、実用性では法定通貨に劣るのが現状ですが、ステーブルコインであるDAIならば、価格がドルと連動し安定しているため、幅広いシチュエーションでの利用が可能となっています。

今回GMOコインに国内初上場となったことでより投資しやすくなったため、今のうちに購入を検討してみてもいいかもしれません。

The following two tabs change content below.

中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12